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烈海の艨艟 対米戦勝利の方程式  作者: 鳴木疎水
星墜の凱歌
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95/100

合衆国海軍の終焉

 ニューヨークを塵滅した枢軸艦隊は、北上する高速機動部隊と飛行爆弾母艦を護衛して南下する部隊の2群に分離する。

 北上した艦隊は進路上の港湾や飛行場を空襲、さらにボストンから米加国境に至るまでの交通インフラに攻撃を加え甚大な被害を与えた。

 艦隊は沿岸部への攻撃を続行しつつ北上を続け、カナダ領のファンディ湾で枢軸軍の上陸船団と合流、船団のカナダ領ニューブランズウィック州への上陸を援護した。

 ファンディ湾で補給を受けた高速機動部隊は北米東岸を南下、ペンシルバニア州フィラデルフィア、メリーランド州ボルティモアなどへ二日間に亘る航空攻撃を加え港湾施設や工場、交通インフラに甚大な損害を与えた。


 バハマ方面に向かい南下したもう一方の艦隊は、同地で補給と飛行爆弾の補充を行った後再び北上、ノースカロライナ州の東端ハッタラス岬の北東300キロで南下してきた機動部隊と合流する。

 1944年6月14日、米国海軍最大の根拠地ノーフォークとニューポート・ニューズは、艦載型と空中発射型の合計3,000基を超えるV1号と艦載機から発射された大量の長射程ロケット弾の暴風に曝される。

 途切れることなく飛来する飛行爆弾とロケット弾の炸裂により、露天陣地の高射砲部隊は負傷者が続出し急激に戦力を失っていく。

 VT信管使用の高射砲と機関砲を針ネズミの如く搭載して弾幕を張っていた戦艦や巡洋艦などノーフォークに集結していた艦艇も、時間の経過とともにVT信管装着の砲弾を打ち尽くし通常信管で一向に数を減らさぬ枢軸軍の航空攻撃に立ち向かうことになる。

 レーダー照準による正確な弾幕も、レーダーアンテナや空中線の損傷によりその威力を失っていった。

 迎撃のため後方基地から飛び立った戦闘機部隊は押し寄せる枢軸軍戦闘機との戦いに忙殺され、大半の部隊は爆撃部隊や飛行爆弾への迎撃が叶わなかった。


 飛行爆弾による攻撃が終わってからも夕刻まで続いた爆撃による被害と弾薬の枯渇により、高射砲部隊の殆どが沈黙、チェサピーク湾内で対空戦闘を続けていた艦艇も中小型艦を中心に多くの艦が被弾損傷し戦闘力を失っている。

 枢軸戦艦部隊がノーフォーク方面に向けて進撃を開始したことを知った米国艦隊司令部は、航空戦力と戦闘可能な艦艇の総力をもってその迎撃戦闘に向かわせる。

 6月15日午前8時過ぎ、ノーフォーク西方120キロの海域で枢軸艦隊と米国海軍の間で今次大戦最後となる艦隊戦闘が始まった。


 米軍は後方に温存していた2,000機を超える陸海軍の爆撃機部隊を、枢軸戦艦部隊に向ける。

 戦艦部隊の後方100キロに展開する枢軸空母機動部隊は、戦艦隊の直掩と対潜警戒にその戦力を集中投入、戦艦隊の周辺で日米航空戦力が激突し大規模空中戦が続いた。

 両軍の航空機が高速で飛び交う空中戦の合間を縫うように、戦艦隊周囲の高度150メートルを130キロ前後の低速で飛行する3機編隊の双発機が幾つもあった。

 艦載型の多用途機である九八式艦上哨戒機を対潜哨戒に特化させた後継機として昭和18年採用された艦上哨戒機東海で編成された磁気探知機装備の対潜警戒部隊による潜水艦狩りは払暁前から途切れることなく行われ、午前9時を過ぎる頃には既に20隻近い米軍潜水艦が東海と護衛艦艇による攻撃で撃沈されている。


 米軍航空部隊の攻撃は9時半過ぎにピークを迎え、この時点で枢軸艦隊は戦艦4隻が損傷により脱落したほか、巡洋艦3隻駆逐艦7隻が撃沈、巡洋艦駆逐艦合わせて14隻が大破し戦力から外れている。

 米艦隊は午前9時チェサピーク湾から軽巡洋艦、駆逐艦と重雷装艦及び大量の魚雷艇を前衛に出撃、アイオワ級戦艦3隻を含む6隻の戦艦とアラスカ級大型巡洋艦2隻、重巡洋艦6隻軽巡洋艦8隻重雷装艦と駆逐艦44隻などからなる艦隊は、午前10時過ぎノーフォーク西方40キロの海域で枢軸艦隊と砲雷撃戦に入った。


 枢軸軍機動部隊は米艦隊がチェサピーク湾から外洋にでたところで攻撃部隊を出撃させる。

 その攻撃はもっぱら前衛艦隊に対して向けられ、前日からの戦闘で対空砲弾が底を尽いている米艦隊は次々と被弾しその数を減らしていった。

 潜水艦や潜水艇は潜望鏡深度での魚雷戦となるため上空を飛ぶ哨戒機に容易に捕捉され、枢軸艦隊の容赦なき砲爆撃を受け戦果に見合わぬ損害を重ねていった。

 

 昭和19年6月15日午前10時25分、30キロの距離を置いて枢軸軍戦艦隊と米国戦艦隊の間で砲撃戦が始まる。

 低速戦艦群を置き去りにするように速度を上げたアイオワ級とアラスカ級は数で優る枢軸艦隊に対して高機動を活かした接近戦を試みる。

 戦艦部隊は後続する巡洋艦駆逐艦の楯となり駆逐艦戦隊による肉薄雷撃の成功を期したが、超低空を500キロを超える速度で疾駆する新型艦攻流星が一斉に放つ8発の射程6000m弾速720キロ弾頭炸薬量60キロのロケット弾に、全速で戦艦隊に突撃する駆逐艦は次々と絡めとられその数を減らしていく。

 空からの猛攻を躱し戦艦群を魚雷の有効射程に捕らえようとした米駆逐艦を待っていたのは合計80隻を超える戦艦巡洋艦駆逐艦から撃ち出される中小口径弾の奔流だった。

 その圧倒的な弾量にほとんどの駆逐艦は脱落、枢軸戦艦隊に向け雷撃を成功させた艦は五本の指で数えれるほどだった。


 起死回生を期した水雷襲撃があっけなく潰えた後、1時間も経たないうちに海戦は収束する。

 ノーフォークに逃げ帰った一部を除くほとんどの艦艇が沈むか戦闘力を喪失した鋼鉄の箱となっていた。

 艦隊の指揮系統は失われ、生き残った艦艇はそれぞれ降伏自沈抵抗逃走を個艦単位で判断する状況に置かれることになる。

 枢軸艦隊は損傷艦と残された米艦艇に対処する部隊を分離し、チェサピーク湾に向け進撃を再開、空母航空隊の援護の下ノーフォークやニューポートニューズに残されていた艦艇や港湾施設、造船所に向けて砲撃を行う。


 東海岸内陸部の米軍航空基地への掃討攻撃を終えた空母部隊がカリブ海の拠点に進路を取った6月20日を以て、2週間余りにわたって続けられた枢軸艦隊の東海岸強襲作戦は終了した。

 この一連の戦闘により大西洋方面の米国艦隊は壊滅、北米東海岸一帯に配置されていた米軍航空戦力は殆んど無力化される。

 この作戦では東海岸の軍事力だけではなく米国の工業生産力や交通インフラの破壊も軍事目標となっており、特に沿岸部に設備が集中する造船所は徹底的に破壊されている。

 ニューヨーク、フィラデルフィア、ノーフォークの3大海軍工廠が壊滅したほか、ニューヨーク造船所、ノーフォーク造船所、ベツレヘムスティール・クインシー造船所といった米国を代表する巨大造船会社の施設も再建の目途がつかない程に破壊され、米国海軍はその息の根を完全に止められることになる。

 


 

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