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烈海の艨艟  作者: 鳴木疎水
星墜の凱歌
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アゾレス諸島沖海戦

 昭和19年1月、大西洋には日本海軍の3個航空艦隊が展開し連合軍の輸送船団攻撃の任に当たっていた。

 大破した金剛型戦艦を改造した装甲空母榛名を新たに加え、装甲空母5隻と雲竜型空母2隻、大型改造空母隼鷹で編成された一航艦、翔鶴型空母2隻と雲龍、飛龍、蒼龍、回天型空母2隻、日進の8空母からなる二航艦、安土型空母12隻の三航艦、合計28隻の空母に加え、戦艦12隻重巡洋艦11隻、軽巡洋艦21隻、駆逐艦82隻を擁する大艦隊が英米間の海上交通路を遮断し、北部に追い詰められ補給を断たれた英本土の連合軍の命脈は尽きようとしていた。

 

 連合軍は東部大西洋の制海権を失っており、英国本土への補給は艦艇や高速輸送船を使用した強行輸送作戦しか手段がなく、多大な損害と引き換えに僅かな補給物資を届けることしかできていなかった。

 イギリス海峡での戦いの後も大西洋で連合軍艦艇は出血を続けており、強大な日本海軍機動部隊と正面から対峙する戦力は無く、その主力艦隊は北米大陸東海岸に逼塞する状況が続いていた。

 連合軍艦艇で唯一活発に活動していたのは、この時期量産が軌道に乗り大量配備が始まった潜水艦部隊だけだった。

 連合軍潜水艦はアフリカ大陸西部の港湾に拠点を置き、ジブラルタル海峡を通過して大西洋に入る枢軸国輸送船を襲撃し損害を与えていたが、多数の対潜哨戒機と護衛艦艇に護られた輸送船団の守りは固く、戦果と引き換えに多くの損失が生じていた。


 昭和18年7月に枢軸同盟に新たに参加したポルトガルが領有するアゾレス諸島、カナリア諸島、マデイラ諸島には日本海軍の対潜哨戒機が多数配備され、連合軍潜水艦部隊の捜索と攻撃にあたっていた。

 1月10日、アゾレス諸島サンミゲル島に建設された日本海軍航空基地から長距離哨戒のため飛び立った陸海軍共同開発の最新式4発爆撃機三式大攻連山の機載電波探信儀は、アゾレス諸島の西北西1,800キロの海上で西方120キロに航空機を探知する。

 探知方向に向けて飛行を続けた同機の電探は、海上を進む多数の艦船と思しきものを捉えた。

 探知された海上目標に向けて進路を取った連山は、目標の80キロほど手前で自機に向かって飛来する迎撃機らしきものを複数探知し、その回避のため海上目標から距離を取った。

 迎撃機は尚も連山へ接近し続けたため同機は海上目標への触接を断念し、無電によりサンミゲル島から発進した高速偵察機三式艦偵彩雲3機に後を託し帰投した。

 

 彩雲は敵戦闘機の迎撃を躱して海上目標への触接を果たし、空母を主力として編成された連合軍高速打撃部隊の偵察に成功する。

 航空母艦多数と戦艦を含む護衛艦艇は3群に別れて東に向かって高速航行を続けており、11日中にアゾレス諸島を攻撃範囲に収める海域まで進出すると予想された。

 連合軍高速機動部隊群出現の情報は直ちに各枢軸国に伝達され、各国海軍は迎撃のためそれぞれが主力艦隊の出撃準備に入った。


 この時期日本海軍の空母打撃群は、三航艦が北海方面とアフリカ沿岸で作戦行動中で、一航艦はブレスト基地で出撃準備を終えて待機中、二航艦は大西洋中央での作戦行動を終え帰還の途にあった。

 ドイツ海軍とフランス海軍は英本土での陸上戦闘の支援のため主力艦の多くは北海で作戦行動中、イタリア海軍は主力艦の半数近くが伊本土で整備中で、ジブラルタルを拠点とする艦隊戦力は半減していた。

 このため連合軍の機動部隊に対抗できる戦力はほぼ一航艦に限られており、それ以外で期待できる戦力はアゾレス島に配備された海軍航空部隊と大西洋で作戦行動中の各国の潜水艦部隊しか存在しなかった。


 一航艦と安土型空母六隻を主力とする三航艦がサンミゲル島の北東540キロの海上で合流を果たした1月11日午後2時半の時点で、アゾレス諸島は4波に亘る連合軍機動部隊の攻撃を受けている。

 サンミゲル島を主体にアゾレス諸島に配備されていた300機余りの海軍航空隊は、敵艦載機による空襲と敵機動部隊への攻撃で既に戦力の殆んどを消耗し壊滅していた。

 連合軍機動部隊はアゾレス諸島の海軍基地航空部隊の攻撃によりインディペンデンス級軽空母プリンストンが大破航行不能になり自沈処分された他、空母2隻戦艦1隻巡洋艦2隻が損傷する損害を受けている。

 連合軍機動部隊は一航艦が艦隊を攻撃範囲に収める前に反転して退却を始めていたが、ドイツ海軍のUボート部隊による襲撃を受け、エセックス級空母1隻と巡洋艦1隻駆逐艦1隻が被雷し、弾薬庫を魚雷が直撃した駆逐艦は轟沈する。


 被雷により速力が15ノット前後に低下した損傷艦の処置を巡って連合軍艦隊司令部で意見が分かれ、最終的に損傷艦は護衛艦艇を付け本隊から分離、本隊の安全を確保できる距離から可能な限り損傷部隊に対し直掩機を出すことになった。

 この決定がなされた時点では、連合軍機動部隊司令部は追撃する日本艦隊の機動部隊の所在を察知できていなかった。

 1月12日、一航艦の攻撃部隊が損傷艦部隊を捕捉攻撃したが、連合軍機動部隊本隊は反撃の航空部隊を送ることなく退却を続ける。

 損傷艦とその護衛部隊は、同日夕刻までに2隻の駆逐艦を残し洋上からその姿を消していた。


 翌13日未明、英国王室と英国政府とその関係者は秘密裏に高速客船で英国本土を離れ、英国機動部隊に護衛され英連邦カナダに脱出した。



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