表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
烈海の艨艟  作者: 鳴木疎水
灼光の戦譜
76/99

ロサンゼルス沖夜戦

終劇が近づくにつれ更新ペースが落ちるであります

ロサンゼルス沖夜戦 


サンフランシスコ一帯が戦艦部隊による艦砲射撃で灰燼に帰した8月19日、第一航空艦隊は終日ロスアンゼルス周辺の航空制圧を続けていた。

 米軍航空隊は15日から続く日本軍機動部隊との戦闘で消耗を続けており、五月雨式に届く東海岸からの増援部隊も逐次投入で戦場に送り込まれ日本軍への反撃の核となることなく失われていった。

 サンフランシスコ砲撃を終えた8隻の戦艦と軽巡2隻駆逐艦21隻からなる遊撃部隊は、次の目標となるロサンゼルス大都市圏に向け星明りの下を16ノットの艦隊速度で航行していた。


 西海岸時間3時50分、遊撃部隊の前衛を務めていた駆逐艦綾雲の電探は、西方15キロの距離に高速で接近する十数隻の船影を捕らえた。

 カリフォルニア沿岸を南下する遊撃部隊は、艦隊の前方と左舷側を主に警戒した隊形で航行しており、艦隊の西側には対潜警戒のため2隻の駆逐艦を配置していただけだった。

 艦隊の上空で対潜哨戒任務に就いていた九八式哨戒機が、接近する敵艦隊に向け吊光弾を落としその姿を闇の中に浮かび上がらせた。

 

 吊光弾にその姿を曝け出された3隻のオマハ級軽巡と4本煙突の旧式艦を含む14隻の駆逐艦からなる米艦隊は、4列の縦隊を組んだまま日本の戦艦部隊に向け突進した。

 距離15,000メートルから戦艦部隊に向け砲撃を始めた米艦隊に対し、最前面にいた2隻の駆逐艦は8000メートルの距離で全砲門を開き応射を開始した。

 

 米艦隊の突撃開始から戦闘は加速的に進行していく。

 米艦隊に正面から立ち向かった2隻の夕雲型駆逐艦は集中的な砲撃を浴び、砲雷撃で駆逐艦2隻に損傷を与えたのと引き換えに猛火に包まれ戦場から脱落した。

 8隻の戦艦の右舷側の全砲門が向けられた米艦隊は、圧倒的な鉄と火薬の暴力に僅かの間にその数を大きく減じる。

 戦艦部隊の前方4,000mで左右に分かれて回頭し魚雷射出まで辿り着けたのは、僅かに軽巡1隻と駆逐艦4隻だけだった。

 その5隻のうち3隻は魚雷発射から3分後には、松明のように燃え上がる鉄屑へと変わっていた。

 続出する損害を省みず米艦隊が放った魚雷のうち2本が戦艦武蔵に1本が陸奥にそれぞれ命中した。


 米艦隊の突撃からが始まってから30分余りで戦闘は収束した。

 米軍艦艇のうち戦場から脱け出すことができたのは3隻の駆逐艦だけだった。

 日本艦隊は駆逐艦1隻が自沈処分され、戦艦1隻大破、1隻中破、軽巡1隻中破、駆逐艦1隻大破、2隻中破の損害を出した。

 損傷した2隻の戦艦と駆逐艦1隻は、駆逐艦4隻を護衛にシアトル方面へと向かい、残った艦隊はロサンゼルスに向けて進撃を再開した。


 8月20日7時40分、サンディエゴ港を攻撃中の第一航空艦隊第三機動部隊は、南西から飛来した50機を超える米軍艦載機の攻撃を受けた。

 その時間帯の第三機動部隊は、断続的に西海岸各地の航空基地から飛来する米陸軍重爆への対応に追われ、艦隊の西側に対してほとんど無警戒だった。

 電探に捕らえられた敵影に向けるべき迎撃機は、その大半が艦隊東側での戦闘に拘束され、母艦で待機していた戦闘機隊が敵編隊に向かった時には既に米軍攻撃隊は機動部隊の空母に向け攻撃を始めていた。

 天をも焦がす日本艦隊の猛烈な対空砲火の中で行われた米軍攻撃隊の雷爆撃により、第三機動部隊の空母2隻が被弾する。

 それに続いて米陸軍重爆隊が、突然の攻撃で艦隊の防空体制が混乱した隙をついて更に2隻の空母に損傷を与えた。


 第三機動部隊を襲った米艦載機群は発艦した空母へは戻らず、西海岸に向けて去っていった。

 9時35分、米軍空母が存在すると想定される海域に向かった艦上偵察機は、南に向かって航行する4隻の護衛空母と6隻の駆逐艦で編制された機動部隊を発見した。

 日本の空母機動部隊に一矢を報いた米軍機動部隊だったが、一航艦の反撃により2隻の駆逐艦を残して壊滅する。

 一航艦戦艦部隊はロスアンゼルス大都市圏への艦砲射撃を終えると、続いて予定していたサンディエゴ砲撃を中止し艦隊を北に向け反転させた。


 この日起こったふたつの海戦が、今次大戦における太平洋での最後の艦隊戦闘となった。

 

 
















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ