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烈海の艨艟  作者: 鳴木疎水
烈海の波濤
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ミッドウエイ

ミッドウエイ


 昭和17年8月6日払暁、新たに再編された第一航空艦隊の二つの機動部隊は北西ハワイ諸島に属する孤島ミッドウエイの北西400キロから、180機の攻撃隊を同島に向けて出撃させた。

 一航艦は前日米軍潜水艦の接触を受けており、この日の攻撃は九分九厘強襲となると予測され、攻撃部隊のうち80機近くを戦闘機が占めていた。


 ミッドウエイ島では当時、飛行場のキャパシティの限界に近い160機余りの航空機が、日本軍の来襲にそなえていた。

 戦闘機はF4Fが41機 とF2Aが18機稼働状態にあり、日本軍攻撃隊をレーダーに探知すると全力で日本軍機の迎撃に向かった。

 ほとんどの米軍搭乗員はこの日の空戦が初めての戦闘だったのに対し、一航艦の搭乗員は多くの戦闘を重ねて経験を積んでいた。

 搭乗する戦闘機でも日米の間には少なからぬ性能差があった。

 すでに二線級扱いのF2Aは言うに及ばず最新型のF4Fでさえ、日本軍の主力艦戦である零式艦上戦闘機三三型に対し、最大速度、上昇性能、旋回性能など大きく差を付けられていた。

 この朝の戦闘でミッドウエイ守備隊の戦闘機隊の多くが撃墜され、撃墜を免れた機体も滑走路が破壊され使用できなくなったため、全機が不時着を余儀なくされた。

 ミッドウエイ島基地を一撃で破壊使用不能にした一航艦は、遊撃部隊の一部を分離しミッドウエイ島に向かわせる。

 

 その当時アメリカ太平洋艦隊は、新型戦艦2隻を含む戦艦6隻空母2隻などを復旧なった真珠湾軍港に配備していた。

 日本軍のミッドウエイ島攻略の情報を知りながら、太平洋艦隊司令部は艦隊を動かすことは無かった。


 8月7日、ミッドウエイ攻略部隊は戦艦、巡洋艦による艦砲射撃を終えると、上空を空母航空隊に護られ上陸を開始する。

 上陸部隊に対するミッドウエイ守備隊の反撃は航空攻撃と艦砲により素早く制圧され、橋頭堡を確保した攻略部隊は、重戦闘車両を次々揚陸し短時間で守備隊の抵抗を排除した。

 同日夕刻までにイースタン、サンド両島の守備隊は降伏した。


 攻略部隊は守備隊の抵抗が微弱になると直ちに飛行場滑走路の修復をはじめ、9日の早朝には空母からミッドウエイ島への戦闘機部隊の移動が始まった。

 ミッドウエイ飛行場には零式戦闘機が36機、陸海軍共通採用の2式局地戦闘機24機の他、陸攻24機、艦爆18機、偵察機9機が配備された。

 サンド島には水上機基地が置かれ、二式大艇の他九八式中艇など30機近くが活動を始める。


 ミッドウエイ島攻略が開始された4日後に、一航艦第二機動部隊と摂津、飛隼からなる第五機動部隊がアラスカ州ウナラスカ島ダッチハーバーを攻撃し、2日間にわたる航空攻撃と艦砲射撃で同地の米海軍基地に壊滅的な打撃を与えた。

 8月15日にはベーリング海に浮かぶアッツ島とキスカ島に陸軍部隊が上陸し二つの島を占領した。


 アメリカ太平洋艦隊は、真珠湾から約2000キロ西方の自国領ミッドウエイ島が日本軍に占領されたにもかかわらず、なにも行動も起こさなかった。

 陸軍の重爆撃機がミッドウエイ島への小規模な爆撃を繰り返したが、効果は上がらず徒に損害を出すだけだった。

 アメリカはインド洋、地中海を制した日本軍が本格的な攻勢を東太平洋で行うことを予測し、兵力の温存を図るとともにハワイ諸島の守備兵力増強を急いでいた。


 昭和17年10月、日本海軍の蘭印とソロモン海で損傷を受けた全ての艦艇が修理を終え艦隊に復帰する。

 新たに就役した艦艇の錬成も終り、艦隊に配備された。

 地中海に残した一部の艦艇を除く連合艦隊の主力部隊は、整備補給と休養を済ませ万全の状態で新たな作戦の開始を待っていた。


 





 

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