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烈海の艨艟  作者: 鳴木疎水
烈海の波濤
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巨艦激突

巨艦激突


 アメリカ軍は、日本の機動部隊から分離した戦艦を含む強力な艦隊のソロモン海への侵入を察知していた。

 ガタルカナル島に飛行場を建設し拠点化することで日本軍の海軍戦力をそこに誘因拘束し、インド洋方面への軍事圧力を軽減する。

 そのために海兵隊1個師団をはじめとする大戦力を載せた上陸船団を送り込んだ以上、アメリカ軍は日本の艦隊が来襲するとしてもここで引くわけにはいかなかった。

 日本軍の航空攻撃が続いたため、米軍の上陸スケジュールは遅延していた。

 敵艦隊に差し向けるべき空母航空戦力は、前日の日本軍機動部隊との戦闘による損害のため、自らを守ることに専念せざる得ない有様だった。

 大量の物資を積載した輸送船がツラギ泊地を埋る中、そこに日本艦隊の突入を許せば、それは連合軍のインド太平洋戦略が破綻することを意味していた。


 日本艦隊の来襲を迎え撃つ米豪艦隊は、ツラギ泊地の西、ガタルカナル島エスペランサ岬の沖合に浮かぶサボ島を挟んで、南北にそれぞれ巡洋艦戦隊と駆逐艦部隊を布陣していた。

 ノースカロライナとワシントンの2戦艦は、3隻の駆逐艦とともにツラギ泊地とサボ島の中間域で遊弋、日本艦隊を待ち受けていた。


 海戦は日本軍の第十九駆逐隊の3隻と米駆逐艦5隻の間で交わされる砲撃戦で始まった。

 駆逐艦搭載の電探により距離12,000メートルで米艦隊を発見した十九駆は、サボ島の北側に位置していた3隻の巡洋艦と5隻の駆逐艦に向け8,000メートルの距離からそれぞれ6本、計18本の魚雷を発射した後、米艦隊との距離を詰め6,000メートルから砲撃を開始した。

 アメリカ艦隊は砲撃を受けるまで、日本艦隊の接近に気付いておらず応戦が遅れた。

 混乱する駆逐艦部隊の後方にいた巡洋艦部隊が応射を始めたところで、日本軍の魚雷がアメリカ艦隊に到達、駆逐艦に2本の魚雷が命中し爆沈、更に巡洋艦1隻に1本が命中する。

 日本艦隊の急襲から立ち直った米艦隊は、星弾と探照灯の光芒で十九駆を捕らえ猛射を始めたが、砲炎の奥の闇から撃ちかけてきた日本の巡洋艦部隊の砲撃に次々と絡めとられ炎に包まれていった。


 サボ島の南側にいた米豪艦隊は、北側で突然始まった砲撃戦を感知しサボ島を西回りで日本艦隊へ向かおうとしたところで、日本軍の水雷戦隊5隻によるすれ違いざまの射撃を受ける。

 麾下の駆逐艦部隊にこの戦隊の対応を任せ、日本軍巡洋艦戦隊への後方からの攻撃を狙った米巡洋艦戦隊に向け40センチ砲弾が降り注いだ。

 長門と陸奥から撃ちだされる巨弾は、米豪艦隊にほとんど応射の時間を与えず、わずかの間に3隻の米重巡を沈黙させた。

 

 サボ島の南北に配置されていた巡洋艦群が無力化される前、十九駆で唯一損傷を受けていない綾波は、新たな敵艦との戦闘に入っていた。

 綾波の電探が捉えたのは一群の小さな影と二つの巨大な影、大破炎上した米艦の燃え盛る炎を背景に浮かび上がった綾波の周囲に大小の水柱がそそり立った。

 満身創痍になりながらも砲雷撃により駆逐艦2隻を撃破した綾波が、大破炎上しながら戦場を離脱するのと入れ替わりに、大巡吾妻と4隻の古鷹型軽巡が米戦艦部隊と対峙する。

 ノースカロライナは5隻の巡洋艦から叩きつけられる20センチ砲弾と15センチ砲弾の暴風に、短時間のうちに非装甲区画は鉄屑の山と化し、電気系統の損傷により主砲が沈黙する。

 ノースカロライナに後続するワシントンの主砲と両用砲による反撃が吾妻と青葉を次々と撃破、更に主砲弾を水線部に数発受けた古鷹が大傾斜停止する。


 ワシントンは次の相手に巡洋艦戦隊の救援に来た陸奥を選んだ。

 必中距離からの40センチ砲弾の応酬はワシントンに軍配が上がり、火災を起こした陸奥はよろめくように進路を変えた。

 とどめを刺すべく主砲を旋回するワシントンの艦橋が爆炎の中砕けた。米駆逐艦の雷撃を回避する間に陸奥との距離を開けていた長門が戦場に現れ、斉射したその主砲弾がワシントンの命運を断った。


 連合軍の船団を守る最後の戦力だった2隻の巡洋艦がツラギ泊地から逃げ出す船団の盾となって沈み、2時間近い夜戦は終わった。

 参加した連合軍艦艇のうち戦艦1隻と2隻の巡洋艦と5隻の駆逐艦がヌーメアに戻った。この夜連合軍は1隻の戦艦、6隻の巡洋艦、駆逐艦11隻を失い、上陸船団は20隻が沈むか拿捕された。

 ガタルカナル島に上陸した海兵隊の兵士たちは孤軍となり、4か月にわたって同島を占拠し多数の傷病死者を出した後日本軍に降伏した。


 戦艦ノースカロライナはヌーメアからサンディエゴへ向け回航中、東太平洋で日本軍潜水艦の攻撃を受け駆逐艦1隻とともに撃沈された。

 



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