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烈海の艨艟  作者: 鳴木疎水
烈海の波濤
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ソロモンの激浪

ソロモンの激浪


 ビスマーク海とソロモン海に挟まれ東部ニューギニア、アドミラルティ諸島、ソロモン諸島を扼する南太平洋の要衝ラバウル、陸海軍はラバウルが所在するニューブリテン島とその周辺の島嶼に多数の飛行場を建設し、ニューギニア方面からの航空攻撃に備えていた。

 大本営統合作戦部は南北太平洋方面での軍事行動を、当面の間持久防衛に専念する方針を立てていた。

 第一段階作戦の作戦成功によって米太平洋艦隊の無力化とパナマ運河の破壊による北米東西両岸間の交通途絶、南方資源地帯の確保が達成されたことにより、それに続く第2段階作戦のインド洋制圧が進行中のため、南太平洋方面で攻勢を行う余力に欠けることが専守方針の一つの要因だった。

 もう一つ大きな要因として、パナマ運河を破壊しインド洋の制海権を奪ったことにより、オーストラリア・ニューギニア方面での攻勢に意義が見いだせないことがあった。

 日本軍が太平洋インド洋で優勢な状況により、豪英間、豪米間の交通を維持するためのリスクが連合国に大きく圧し掛かっていた。

 オーストラリアは交通路途絶により孤立したも同然の状況にあり、この方面からの本格的な反攻を行う余力はないとされていた。

  統合作戦部はインド洋方面が完全に日本の勢力圏に落ち東太平洋での優勢が続けば、南太平洋の連合軍勢力は立ち枯れも同然であり、あえてこの方面に手を伸ばす必要はないと判断していた。

 この方針に従い日本軍はビスマーク諸島を中心とした島嶼域に造り上げた航空拠点を連携して米豪軍の反抗に備えるとともに、ラバウルを潜水艦隊による米豪遮断の根拠地としていた。


 昭和17年4月16日、ニューギニア、ロッセル島沖東方200キロにおいて通商破壊戦の任に当たっていた伊18は、空母を含む複数の艦からなる艦隊に接触し、これを報告後敵艦隊を追尾する。

 同日のうちに高速で移動する艦隊を見失った伊18は、翌17日多数の輸送船からなる船団と遭遇し追跡監視行動に移った。


 4月18日早朝、アメリカ海軍の二つの機動部隊から出撃した攻撃部隊がラバウルを攻撃する。

 伊18からの報告で警戒態勢に入っていたラバウルの陸海軍航空隊は、電波探信儀で米軍飛行部隊の接近を知ると50機近い戦闘機でこれを迎撃する。

 2波にわたる攻撃で、米軍は40機を超える艦載機を失った。

 米艦隊は攻撃隊からの報告から、ラバウルの飛行場を破壊し日本軍の航空戦力の撃破がなったとして、攻撃部隊を収容後撤退を始める。

 反撃のためラバウルとその周辺の基地から出撃した第十一航空艦隊の攻撃隊は、ソロモン海のアメリカ機動部隊に対して戦闘機18機に護衛された40機を超える陸上攻撃機による攻撃を行ったが、護衛の戦闘機と強力な対空砲火の為半数近くの陸攻を失ったにもかかわらず、戦果は巡洋艦1隻と駆逐艦1隻に損傷を与えるにとどまった。


 連合軍輸送船団を追尾していた伊18からの報告は、17日の敵船団の動向を知らせる『船団はソロモン諸島東部方面に向かう』の一報を最後に途絶えた。

 4月19日、ショートランド水道の水上機基地から飛び立った二式大艇は、ソロモン諸島ガタルカナル島の沿岸部で大船団を視認報告した後、米艦載戦闘機の攻撃を受け撃墜された。

 ラバウル方面の海軍航空隊は、アメリカ機動部隊によるラバウル空襲と米機動部隊に向けた反撃の結果戦力を半減していた。

 更にニューギニア方面からの米豪空軍機による爆撃が連日に亘り続いたため、19、20日の時点ではアメリカ上陸船団に対する攻撃を見送っていた。


 4月21日、トラックを始めとした各所からの増援により戦力を回復したラバウルの十一航艦は、ガタルカナルの米上陸船団に対し攻撃部隊を長駆出撃させた。

 ブーゲンビル島ブイン基地から出撃した戦闘機部隊と合流した攻撃部隊は、米空母から発進した戦闘機部隊の迎撃のなか船団を攻撃し、貨物船2隻と護衛の駆逐艦1隻を沈めたほか数隻に損傷を与えた。

 この日の戦闘で再び戦力を消耗したラバウル航空隊は攻撃を打ち切り、翌日以降の輸送船団への攻撃を断念した。


 4月20日、3日前にトラック泊地を出撃した5隻の空母と2隻の戦艦を主力とする第二航空艦隊第四機動部隊は、ラバウル沖で第四遊撃隊を一部を残して分離する。

 翌21日、ソロモン海において日米機動部隊の戦闘が発生、双方の空母から互いに航空隊が出撃し攻撃を繰り返した。

 戦闘の結果双方に損害が生じ、日本艦隊は龍驤を喪失、摂津と飛隼の2空母が大破戦闘不能、1隻が小破し、米軍はレキシントンを喪失サラトガが大破した。

 日米両部隊ともその損害の大きさから戦闘の継続を断念し、それぞれ戦場を離脱し後方に下がっていった。


 4月21日午後10時40分、第四遊撃部隊は前衛部隊の3隻の駆逐艦に続いて大巡吾妻、軽巡青葉、衣笠、古鷹、開聞と最上、4隻の駆逐艦が後続、その後方を戦艦長門と陸奥が続く隊形で、進路を米輸送船が蝟集するツラギ泊地に向けガタルカナル島北西海域に突入した。




 





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