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烈海の艨艟  作者: 鳴木疎水
烈海の波濤
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東の涯ての業火

欠落していた分を追加しました。パナマ運河への2次攻撃と戦艦部隊による運河砲撃の話です。10か月ほど気が付いてなくてすみませんでした。


2026年1月27日記

東の涯ての業火


 第一航空艦隊第一機動部隊は16ノットの速力で航海を続ける。

ハワイの哨戒圏を離れ南東に向けて進む艦隊の進路の先を、常に数機の艦偵が先行して索敵していく。

 真珠湾攻撃から4日後の12月12日第一機動部隊は日本を離れること7,000キロ余りライン諸島の北方で、6日にメジュロ環礁から出撃していた第二機動部隊と邂逅する。


 一航艦第二機動部隊は四航戦、六航戦、十一航戦の3個航空戦隊と、護衛の金剛型戦艦4隻、軽巡6隻、駆逐艦16隻に加え、燃料補給のための高速給油艦2隻、油槽船17隻で編成されていた。

 第一機動部隊に随伴した油槽船と合わせて日本の優良油槽船のほとんどを集めた大作戦は、ここでようやく折り返し点に入った。


 真珠湾攻撃と米機動部隊との戦いで喪失した艦載機は、修理不能として投棄されたものも合わせて100機を超え、戦闘や事故で死傷した搭乗員も118名に上った。

 六航戦と十一航戦の4隻の空母から、合計80機余りの各種艦載機が第一機動部隊の各空母に補充され、第一機動部隊の搭載機は定数に戻る。

 丸一日を費やして一航艦への補給を終えた油槽船団が、一航艦から分離した3隻を合わせて7隻の空母と巡洋艦駆逐艦からなる護衛部隊とともに艦隊を離れていく。


 一航艦は三つの部隊に分かれていた。

 第一機動部隊、翔鶴型2隻、蒼龍型2隻、剣崎型2隻の6隻の空母と、大和型戦艦2隻、阿蘇型大巡2隻、軽巡利根と橿原、駆逐艦秋月型4隻、夕雲型駆逐艦4隻陽炎型駆逐艦4隻、松型駆逐艦4隻からなっていた。

 第二機動部隊は、摂津と龍驤の2隻の空母、金剛型戦艦4隻、軽巡筑摩、5,500t級防空巡洋艦4隻、秋月型4隻と陽炎型8隻の駆逐艦と高速給油艦2隻で編成され、それに続いて油槽船12隻と軽巡加古、松型駆逐艦8隻の補給部隊が従っていた。

 一航艦の三つの部隊は、間隔を大きく広げて東へとそれぞれ進路を取った。


 12月19日、第一機動部隊と第二機動部隊は進路を分ける。

 その前日には補給部隊が両機動部隊へ補給を行った後、速度を落として一航艦から分離していた。

 第二機動部隊は北北西に進路を取り、第一機動部隊はやや南寄りに東進を続けていく。


 12月23日払暁、第一機動部隊の6隻の空母は、パナマ運河西北西420キロから艦戦48機艦攻40機艦爆54機を発進させた。

 日本時間12月23日20時30分、パナマ現地時間では同日06時30分、日本海軍パナマ運河攻撃隊は運河地帯に点在する米国パナマ運河航空軍の飛行場を急襲、奇襲となったこの攻撃によりP-40やP-36で編成された戦闘機部隊の多くは地上で撃破され、哨戒・爆撃部隊のB-18、B17の大半も破壊された。

 艦攻隊の攻撃目標はガトゥンダムに絞られていた。

 ガトゥンダムは800キロ徹甲爆弾と航空魚雷多数を受け半壊したが、第一次攻撃隊はこれを完全には破壊できなかった。


 現地時間05時28分第二次次攻撃隊129機の発進準備に追われる一航艦司令部に、艦隊周囲の警戒に当たっていた哨戒機から一報が入る。

 「艦隊の南南東60キロに空母らしきもの発見」、黎明の空が東から拡がり始める中、一航艦司令部は騒然とした空気に包まれる。

 敵艦は一航艦の存在に気付いていないのか、パナマ地峡沿いに北西に進路を取り一航艦の方へ近づこうとしていた。

 一航艦は戦艦2隻大巡2隻と二水戦から駆逐艦8隻を敵艦に向かわせる。

 最大戦速で進む艦隊と敵空母が接触したのは06時15分、既に周囲の空は明るくなっていた。


 発見された空母はヨークタウン、ハワイ沖で沈めたエンタープライズの姉妹艦だった。

 真珠湾攻撃により大打撃を受けた太平洋艦隊の戦力増強のため12月16日にノーフォークを出港した同艦は、22日にパナマ運河を通過し西海岸サンディエゴ軍港に向かう途中、不運にも一航艦パナマ運河攻撃隊艦隊に遭遇することになった。

 随伴していた駆逐艦2隻がヨークタウンを逃がすべく日本艦隊に立ち向かったが、日本艦隊の攻撃が始まった5分後には両艦とも命中弾多数を受け炎上停止する。

 最大速度32.5ノットのヨークタウンは反転し逃走を試みたが、日本艦隊の殆んどの艦が艦がヨークタウンより優速とあっては逃げようもなかった。

 ヨークタウンは砲戦が始まって20分後には、すべての機能を停止して黒煙と炎に包まれていた。


 戦艦2隻を主力とする日本艦隊はヨークタウンを撃沈した後、空母部隊と合流することなく南下を続けパナマ運河を目指す。

 一航艦から出撃した第二次攻撃隊は、ガトゥンダム攻撃に艦攻隊の半数を向け、残りの艦攻と艦爆隊はガトゥン閘門と運河地帯の鉄道や発電所などを攻撃する。

 第二次攻撃隊の攻撃によりガトゥンダムは完全に破壊され、三つあるガトゥン閘門のうち二つも破壊され使用不能となった。


 翌朝パナマ湾に現れた2隻の戦艦を含む艦隊は、正確な艦砲射撃で太平洋側のすべての閘門を破壊、更に運河施設の大半に加え港湾施設や軍事施設もその主砲で粉砕した。

 2時間半に亘って続いた艦砲射撃を終え、パナマ運河に壊滅的打撃を与え使用不能に陥れた日本艦隊は悠々とパナマを去っていった。






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