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烈海の艨艟  作者: 鳴木疎水
烈海の波濤
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真珠湾炎上

真珠湾炎上


 ハワイ現地時間(以下全て現地時間)12月7日午前7時49分、第一次攻撃隊から打電された「全軍突撃せよ」の無電とともに一航艦空母航空隊によるアメリカ太平洋艦隊への攻撃が始まった。

 第一次攻撃隊の編成は艦戦54機、艦爆63機、800キロ徹甲爆弾搭載の艦攻30機、雷装艦攻30機の合計177機で、発艦中の事故や機体の不調でそのうち7機が攻撃に参加できなかった。

 攻撃が始まる10分ほど前に先行していた零式艦偵により湾内の状況の報告があり、戦艦5隻、巡洋艦6隻等が停泊していることが確認されていた。


 第一航空艦隊による真珠湾奇襲は成功した。

 アメリカ軍はこの攻撃部隊の存在を直前まで察知できなかった。

 航空機は飛行場に翼を並べ、ほとんどの艦艇のボイラーはまだ火が入っていなかった。

  日進・瑞穂・飛隼からなる三航戦の攻撃隊42機と一航戦二航戦の戦爆連合70機は3箇所の飛行場を襲い、列線に並ぶ爆撃機や戦闘機を攻撃した。

 アメリカ軍戦闘機の殆んどは地上で破壊され、真珠湾上空の制空権は日本軍の手に落ちる。

 一航戦二航戦の58機の艦攻は、フォード等の横に並ぶ戦艦に向け水平爆撃と雷撃を敢行する。


 第一次攻撃隊と続いて真珠湾を襲った第2次攻撃隊166機が上げた戦果は、戦艦3隻撃沈2隻が大破着底、乾ドック内の戦艦1隻大破、軽巡洋艦1隻撃沈3隻大破、駆逐艦2隻潜水艦2隻油槽艦1隻工作艦1隻撃沈、そのほか10隻に損傷を与え、太平洋艦隊の戦艦はフィリピンの2戦艦を除いてすべてが撃沈破された。

 午前9時45分、真珠湾上空から日本軍機は姿を消した。

 湾内を覆う黒煙は、壊滅的打撃を蒙り炎に包まれる米国太平洋艦隊の無残な姿を隠していた。


 一航艦麾下の航空戦隊の中で五航戦の2隻高崎と剣崎は、真珠湾への航空攻撃には参加していない。

 両艦の艦隊での役目は、艦艇への給油と艦隊近辺の哨戒、そして周辺海域の索敵だった。

 一航艦がハワイ方面に向け南下を続ける中、三航戦に所属する9機と5航戦の6機、合計15機の艦偵のうち、真珠湾の偵察に向かった3機を除く全機が艦隊の南方から南東方面を2段階に分かれて索敵していた。


 第1段として剣崎から発艦した艦偵が、9時40分に一航艦の南西300キロ付近で空母を伴う艦隊を発見する。

 ハルゼー提督座乗の空母エンタープライズを旗艦とする第8任務部隊がそこにいた。

 第8任務部隊は日本軍の真珠湾攻撃を知り、日本艦隊を発見攻撃するため索敵機を飛ばしているところだった。

 直ちにエンタープライズから戦闘機が発艦し日本軍の艦偵に迎撃をかけたが、速度差の為日本軍機を捕捉することはできなかった。


 米軍空母発見の報に一航艦司令南雲中将は、敵空母に対する航空攻撃を決断する。

 10時頃からハワイ空襲部隊が空母に帰投し始め、第2次攻撃隊全機の収容が終了したのは13時近かった。

 エンタープライズ攻撃のための攻撃準備は第一次攻撃隊の収容後直ちに開始され、13時半過ぎには一航戦と二航戦の各空母の飛行甲板には対艦兵装を整えた攻撃隊が並ぶ。

 14時迄に攻撃部隊の艦戦23機、艦爆27機、艦攻31機が、米機動部隊に向かって出撃した。


 空母エンタープライズと重巡3隻、駆逐艦で編成された第8任務部隊を一航艦の攻撃部隊が捉えたのは15時50分過ぎだった。

 レーダーにより日本軍機の襲来を知った米艦隊から戦闘機が迎撃に向かったが、数に勝る日本軍艦戦により一蹴され、攻撃部隊は1機の欠けもなくエンタープライズに襲い掛かる。

 エンタープライズは400キロ爆弾の直撃6、至近弾多数と航空魚雷8本を受け、殆んどの乗員を載せたまま轟沈した。

 護衛の重巡1隻も沈み、残った艦の多くが損傷を受けていた。

 一航艦は第2次攻撃隊の発進準備を終わっていたが、追撃をした場合の帰投時間が夜間になるため、米空母撃沈の報を受け一航艦司令部は16時半に攻撃隊の出撃中止を決めた。


 攻撃隊の収容を18時前に終えた一航艦は、ハワイの哨戒圏から逃れるようにその進路を西寄りに取り南下を続けていく。




 


  



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