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公域SL4 柱肉蟲

トウァ「そこも同じなのかな」

アリシアの顔を見る。


アリシア「知らないよ!」


トウァ「うん。そうだよね」

アリシアはちょっと恥ずかしそうだ。

こんな事で恥ずかしがるなんて、

やっぱり、アリシアは恥ずかしがり屋だな。


トウァ「あと公域SLにいる、

生物(いきもの)って何があるの?」


アリシア「柱肉蟲(チュニクチュウ)子蝟胃夢(スレイム)だよ」


トウァ「両方、知ってる生物(いきもの)だね」


アリシア「私は知らないんだけどさ、

柱肉蟲(チュニクチュウ)って、どんな顔してるの?

気持ち悪い顔してるって聞いてるけどさ」


トウァ「...代謝効物の授業で使う、

漏斗あるでしょ?

それみたいに大きな穴と

小さな穴が複合した形なんだよね。

その小さな穴が口で、

大きな穴の表面が顔って感じ。


漏斗程、急な穴じゃなくて、

顔全体が凹面鏡みたいな感じだよ。


それで...表面はすごくヒダヒダしてて、

長さ5.5cmくらいの、

ヒダがびっしり生えてる。


......やばい、吐きそう」


アリシア「え、大丈夫?」


トウァ「柱肉蟲(チュニクチュウ)の顔を見た事は、

1回しかなくて、

13歳になってすぐの時だったんだけど、

気持ち悪すぎて吐いたし、

気持ち悪くて怖くて、

ちょっと、泣いちゃったんだよね。


今でも思い出すと怖くなる」


アリシア「それなら無理して

思い出さなくて良いよ!」


トウァ「いや...アリシアには

言っておきたい。

衝撃的な体験って、

誰かに語りたいものでしょ?


柱肉蟲(チュニクチュウ)の顔はヒダヒダしてて、

そのヒダヒダはすごく柔らかいんだよね。

いや、触ってないけどさ。

あれは絶対に触りたくない。

触ったら想起不快記憶(トラウマ)になる。


アリシア「うん」


トウァ「そのヒダヒダは柔らかいせいで、

ちょっと、柱肉蟲(チュニクチュウ)が身動きするだけで、

プルプル揺れるんだよ。


色はほぼ灰色の茶色で、それが不気味でさ、

死んでるみたいななんだよね」


アリシア「柱肉蟲(チュニクチュウ)の顔以外の部分は

私も遠くから見た事あるけど、

灰色に近い茶色だったよね」


トウァ「柱肉蟲(チュニクチュウ)の顔は、

それがもっと、灰色に近くなった感じだよ。


それで柱肉蟲(チュニクチュウ)の顔は

そんなヒダヒダに、

無造作に埋め込まれる感じで

目玉がポツポツ3,4個ある。


自分が柱肉蟲(チュニクチュウ)の顔を見た時は、

ギョロってその目玉が回転して、

自分の方を向いたんだよね...

その瞬間、動けなくなった」


アリシア「そうだったんだ。

どれくらい、そこにいたの?」


トウァ「1分くらいかな。

その目がしつこくずっと、

こっちを見てきてさ。


その目が違う方向を

見るまで動けなかった」


アリシア「確かに、

じっと見つめられたら動けないよね」


トウァ「うん。

あと、柱肉蟲(チュニクチュウ)の顔はさ、

ヒダヒダがザラザラしてて、

目が粗いザラザラだから、

ちょっと、手を軽く擦ったら、

無数に引っ掻き傷ができそう。


確か、柱肉蟲(チュニクチュウ)は、

そのザラザラで捕食対象を、

擦って殺すんだっけかな」


アリシア「私もそれは知ってる。

柱肉蟲(チュニクチュウ)の顔は教えられてないけど、

どんな生物(いきもの)かは知ってるんだよね」


トウァ「そうなんだ。

じゃあ、それを教えて」


アリシア「うん。

柱肉蟲(チュニクチュウ)頭丸(アタマル)を、

食べるって言ったでしょ?

あと、数珠虫も食べるんだよね」


トウァ「そうなんだ。

でも、頭丸(アタマル)はまだしも、

数珠虫に追いつけるのかな?

柱肉蟲(チュニクチュウ)って遅そうだけど。

ていうか、どうやって動くの?

飼ってた柱肉蟲(チュニクチュウ)

移動した事なかったから、

移動する所、見た事ない」


アリシア「柱肉蟲(チュニクチュウ)の皮膚ってさ、

左右に11cmずつ深い皺があるでしょ?

その皺は5.5cmの深さがあって、

その皺を伸ばすと柱肉蟲(チュニクチュウ)の長さは

2倍の16mになるんだよね。


だから、体を伸ばしたり、

縮めたりして移動する。

その移動方法はやっぱり、

遅くて、1.5km/hしかないんだよ。

だから、待ち伏せするの。

頭丸(アタマル)を食べる時は巨大絡釣の近くにいたり、

数珠虫を食べる時は鳴土夢(なきどぉむ)の前にいる」


トウァ「へー、相手が自分に、

近付かざる負えない状況にして、

食べるんだ。


それで、どうやって食べるんだろ。

数珠虫とか頭丸(アタマル)って、

柱肉蟲(チュニクチュウ)に比べたら大きくない?

柱肉蟲(チュニクチュウ)は高さと幅が2mだけど、

頭丸(アタマル)は高さが3m以上ありそうだし」


アリシア「そうだね。

だから、結構、強引な食べ方だよ。

食べ方は袋を裏返すみたいに、

口から体を裏返していって、

頭丸(アタマル)とか数珠虫に口をくっつけた状態で、

裏返した体を元に戻して、

体の中に入れるの。


頭丸(アタマル)とか数珠虫は大きいから、

体の中に入れたら、パンパンになる。


数珠虫を食べる時は、

1つの体を食べるだけだよ。

体を起こして、首に乗っかって、

首に巻きついて、

体を口の表面で削り取るの。

体に穴が空くまで削り取ったら、

体が分離するから丸呑みする。

さすがに全部は丸呑みできないみたい」


トウァ「体の中に入れた後は

どうするんだろう?

柱肉蟲(チュニクチュウ)は体液がないから、

消化液で溶かしたりしなそうだけど」


アリシア「擦るんだよ。

体の中も顔の表面みたいにザラザラしてて、

移動すると中にある生物(いきもの)が擦れて、

粉末化していくんだよ」


トウァ「顔の表面と(おんな)じなんだ。

粉末化...絶対に食べられたくないな。

生きながらゆっくり、削られてくんだ...」


アリシア「大丈夫だよ。

生物(いきもの)は人を食べる事がないから」


トウァ「まぁ、そうだね。

柱肉蟲(チュニクチュウ)の子供はどう生きるんだろ?

分裂した柱肉蟲(チュニクチュウ)って

すごい小さくなるから、

どう自力で生きるのか不思議」


アリシア「柱肉蟲(チュニクチュウ)の子供は自力で生きずに、

柱肉蟲(チュニクチュウ)以外の生物(いきもの)

数珠虫、頭丸(アタマル)二輪駆(ニリンク)に寄生するんだよ」


トウァ「寄生...やっぱり、気持ち悪いな」


アリシア「うん。寄生する生物(いきもの)

体をよじ登って、口かお尻の穴に入るの。

入ったら、宿主が餓死しない様に、

食事量を調節しながら、

宿主の食べた物を食べて、

ある程度、大きくなって、

生きてるだけで宿主がいずれ

餓死しちゃうくらいの食事量になったら、

宿主の食べた物を全部、食べる」


トウァ「じゃあ、宿主は最後、

餓死しちゃうんだ」


アリシア「それか大きくなった

柱肉蟲(チュニクチュウ)に体を

破裂させられて死んじゃう」


トウァ「でもさ、柱肉蟲(チュニクチュウ)の糞って

毒あるよね?寄生してる間、宿主が毒で

死んじゃったりしないのかな?」


アリシア「寄生してる間、

糞に毒はないから大丈夫らしいよ」


トウァ「あ、そうなんだ。よくできてる」



トウァ「アリシア、あと何kmで着く?」


アリシア「あと9kmで、

公域SLの中央に着くよ」


トウァ「そっか...楽しみ。

前はアリシアが、

自分にこの世界の事を、

教えてくれたけど、

今度は2人一緒に新しい事を知れるね」


アリシア「うん。そうだね。

だから、怖くないよ」


トウァ「人永時真伝を読んだ時はさ、

書いてある事を知って、

やっぱり、嬉しくはなかった?」


アリシア「うん。

私だけが、こんな重大な事を

知っちゃったのが

誰にも言えない秘密を

持っちゃったのが嫌だった。


ただでさえ、この獣耳(ケモミミ)があるのにさ。


だから...トウァと同じ秘密を共有できて

嬉しかったんだよ。

トウァが私の獣耳(ケモミミ)

可愛いって言ってくれて嬉しかったんだよ。


まぁ、あんまり、触って、

イジって来たのは嫌だったけど」

アリシアは笑って言う。

その黒くて小さい獣耳(ケモミミ)

ピョコピョコ動かして。


トウァ「うん。また、アリシアの獣耳(ケモミミ)

めちゃくちゃにこちょばしたいなぁ」

軽く笑いながら言う。


アリシア「()だよ」

アリシアはツンと言う。


トウァ「でも、あれはあれで、

気持ち良かったりしないの?

こちょばしい事と気持ちい事って、

表裏一体じゃない?」


アリシア「...そうかもしれないけど、

好き放題、イジられるのって、

悔しいんだよ。


私がくすぐったくて声、出したり、

顔が赤くなってたら、

からかってくるじゃん」


トウァ「だって....それが良いんだもん。

好き放題、アリシアを味わって、

自分の物にしたい。

アリシアの事、負かしたい」


アリシア「悔しいから()だよ」


トウァ「そういうもんかぁ」

性的(エッチ)な事はいつさせてくれるんだろ。


トウァ「ところで、中央にある、

地面に刺さった棒って、

どれくらいの大きさなんだろ。


公域SLの中央までの長さって、

18kmちょいだから、

もし、斜めに歩いてたりしたら、

棒、見つけられなそうじゃない?」


アリシア「気を付けてるから大丈夫だよ」


トウァ「...そういうもんか。

アリシアならそういうもんなのかな」

アリシアの頭脳は自分とは色々と違うから、

そういうもんなのかもしれない。


多分、真っすぐ歩こうと思えば、

100km歩いても、

誤差は1mくらいに収まるんだろう。


アリシア「そうだよ。

私はそういうもんなんだよ」



「ラァ?」


...人が目の前に現れた。

子蝟胃夢(スレイム)の後ろから、

現れてこちらを見ている。


アリシア「私の獣耳(ケモミミ)...」


そう、その人物には獣耳(ケモミミ)が生えていた。








参考画像

公域の生物 比較

挿絵(By みてみん)

公域と学区の大きさ

札幌市との比較

挿絵(By みてみん)

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