洗濯と空き家
アリシア「そろそろ、行こっか」
トウァ「うん」
アリシアとご飯を食べてから、
5時間くらいお喋りをしてた。
もう25時だ。
アリシア「そう言えば、トウァ、
川で体、洗いたいって
言ってなかったっけ?
公域を出たら洗えば?」
トウア「そうだね。そうしよ」
自分は特に洗いたい訳じゃないけど、
アリシアが、自分の髪が
ゴワゴワしてるって言ってたし、
アリシアによく頭を
撫でてもらうから、
髪を洗っておきたい。
あと、そのついでに体も拭こう。
愚富人から逃げる時、
走ったから少し、汗をかいたし。
~公域Sから出た。
川の近くで肩掛け用紐付き袋を下ろし、
中から体表水分拭き取り布を取り出す。
まずは、髪を洗おうかな。
川の前で四つん這いなって、
頭の上部分、髪の所だけを
海水に漬けよう。
トウァ「...落ちたら怖いから、
腰の辺り、掴んでて」
アリシア「うん」
アリシアは自分の左で
膝立ちして、お腹の辺りを両腕で囲う。
これなら大丈夫だろう。
ソーッと水面に頭の頂点を近づける。
...暖たかいな。
熱めの暖かさだ。
どんどん、頭を水中に入れ、
眉毛の辺りまで頭を入れる
頭の上に血が上って嫌な気分だ。
左手を地面から離して、
髪に当て、髪をワシャワシャする。
一通り、髪をワシャワシャしたら、
頭を上げて、ペタンと座る。
すると、アリシアが自分の頭を
体表水分拭き取り布で
ゴシゴシ拭いてくれてる。
トウァ「へへ...撫でられてる時みたいに
気持ちいな、これ」
アリシア「でしょ?
私、幼育院にいた頃、
よく、リサラさんにしてもらったんだよ」
トウァ「そうなんだ」
アリシアが髪を拭き終わる。
次は体を洗うか。体はどう洗おう?
体表水分拭き取り布を濡らして
その体表水分拭き取り布で
体を拭くとしたら、体を拭いた後、
濡れた体の水分を
拭き取る物がなくなっちゃう。
いや、濡らす部分を少しだけにして、
その部分で体を拭けばいっか。
体表水分拭き取り布を掴み、
端っこを水に漬ける。
手のひら2つ分くらいの面積だ。
体表水分拭き取り布を
引き上げ、濡らした部分を軽く搾り取る。
そして...
トウァ「...体、拭こうと思ったけど、
どっしよ...」
脱いでもいいんだろうか。
アリシア「え、あ...」
トウァ「上だけなら
脱いでも大丈夫だよね?」
アリシアに確認を取る。
アリシア「あー、うん。...いいよ」
微妙な感じの表情でアリシアは言う。
トウァ「恥ずかしい?」
アリシア「うん...見た事ないし、
ちょっと、恥ずかしいかも」
そう言えば、そうか。
自分も同性の上裸は見た事がない。
トウァ「ふーん」
そう言って、ササっと上下着を脱ぐ。
アリシアがほんの少し、ビクッとする。
トウァ「どう?見るの恥ずかしい?」
からかってるとかじゃなくて、
単純に気になる。
アリシア「いや、急に脱いだから、
ちょっと、びっくりしたけど、
改めてみたら、そんなに恥ずかしくないよ」
トウァ「そっか」
そんなもんだろう。
体を体表水分拭き取り布の濡らした部分で
擦りつける様に洗う。
正直、洗えてる実感がない。
なんか、濡らしてるだけみたいだ。
立体放射器も濡らしてるだけだけど、
立体放射器は濡らすというより、
水に打たれるって感じがして、
洗えてる感じがする。
だから、こんな風にチマチマ、
体を濡らしても洗えてる気がしないのだ。
ていうか、これ、背中が洗いずらいな。
トウァ「アリシア、
背中、洗ってくれない?」
アリシア「うん」
体表水分拭き取り布を掴んだ手を
後ろに差し出して、アリシアに
体表水分拭き取り布を手渡す。
すると、体表水分拭き取り布ごしに
アリシアの手が当たる。
やっぱり、アリシアの手は柔らかい。
背中を触られてるだけでいい気分だ。
アリシアは丁寧にゴシゴシ、
隅々まで背中を拭いてくれる。
アリシア「拭いたよ」
アリシアがそう言って、
体表水分拭き取り布を自分に手渡す。
トウァ「うん」
濡れている部分を再び海水の中に入れて、
ジャブジャブ洗い、
海水から引き揚げて絞る。
そして、濡れた体をいつも通り、拭き、
新しい服に着替える。
あとは脱いだ服を洗うか。
脱いだ服を川でジャブジャブ洗い、
川から出して絞る。
絞った服は袖を
肩掛け用紐付き袋の紐に縛り付けて、
肩掛け用紐付き袋の上に乗っける。
これで多分、乾くだろう。
トウァ「アリシアは洗わないの?」
アリシア「んー、髪だけ洗おっかな。
トウァ、さっきみたいに、
私の事、抑えてて」
トウァ「うん」
アリシアが自分の左に来て、
四つん這いになる。
獣耳が付いてるアリシアが
その姿勢したらまんま猫だ。
アリシアのお腹を両腕で囲う。
抱きかかえる。
すると、アリシアは
髪を海水に漬けて洗いだす。
あ、お腹、柔らかい。
左腕でお腹を繰り返し押す。
こうして抱きかかえてると、
手がお腹に当たっていいな。
そうだ。直接、触っちゃおう。
服の中に手を入れて、
お腹をなでなでする。
トウァ「へへ、やっぱり、柔らかい」
お腹を何回も撫でた後、
脇の下の肋骨という、
胸に近くて際どいところを触ってみる。
そこを触ってると、
悪い事してる感じがしてぞくぞくする。
それに、思いっきり、
おっぱいに手を当てて、
揉みしだきたくなっちゃうな。
ほんの少し手をずらしたら
手のひらで思いっきり
おっぱいを触れちゃうって意識したら、
また、前みたいに興奮し過ぎちゃうから、
その事は意識しないようにする。
色々、触ってたら、
アリシアが頭をあげる。
アリシア「変なとこ、触んないでよ」
口を尖らせて言うアリシアが可愛い。
トウァ「へへ、無防備だから
悪戯したくなった」
アリシア「もう...」
ムッとした表情のアリシアの頭に
体表水分拭き取り布を投げる。
アリシアの頭が
体表水分拭き取り布に包まれる。
アリシア「え?」
それに返事をせず、アリシアの頭を
体表水分拭き取り布ごしにゴシゴシする。
獣耳に強く当たらない様に
気を付けて、ゴシゴシする。
拭き終わって、
体表水分拭き取り布をアリシアから取る。
アリシア「はぁ...急に
体表水分拭き取り布、投げないでよ」
トウァ「ごめん」
半笑いで言う。
アリシア「外が見えなくなったり、
聞こえなくなったら、
人が来てもわかんないじゃん」
トウァ「あ、そうだったね。ごめん。
...てかさ」
アリシア「ん?」
トウァ「髪、濡れたアリシアって
綺麗で...ちょっと、ドキドキする」
アリシア「...フフッ、そっか」
トウァ「そう言えばさー、
アリシアの人口って
増えたり、減ったりしてるのかな?」
ふと、疑問に思う。
アリシア「どうだろ。
でも、ずっと増え続けたり、
減り続けるのは問題だと思うから、
多分、ずっと同じくらいなんじゃない?
総務宮とかが調節してるのかも」
トウァ「確かに、
騙幸人の役割は物を生産する労働だから、
減ったら困るだろうし、
総務宮が減らない様にしてるのかも。
あと、この世界の広さが有限なら、
人口の多さに限界があるだろうし」
アリシア「...多分、
特別労働の回数を調節して、
人口を調節してるんだろうね」
トウァ「そうだね。
...でも、軽い人口の変化はあるよね?
ちょっと増えたら、ちょっと減らすとか、
ちょっと減ったら、ちょっと増やすとかを
今まで繰り返して、
人口を維持して来たんだと思う。
そしたら、家の数は多めにあるのかな?」
家が余るのはあまり、
問題じゃないだろうけど、
家が足りなくなるのは問題だろうから
家は多めに作ってそうだ。
アリシア「そしたら、誰も住んでいない家、
空き家があるって事だよね」
トウァ「うん」
アリシア「それなら、寝る時はさ、
空き家で寝ればいんじゃない?
そしたら、寝床で寝れるし、
立体放射器だって浴びれるでしょ?」
トウァ「確かに、そうだね!」
声色が明るくなる。
なんだかんだ言って、
公域の地面に袋を敷いて寝るのは
寝心地が悪かったし、
寝床で寝れるのは嬉しい。
それに何にも囲われてない
地面で寝るより、
壁と天井に囲まれた
室内で寝た方が落ち着いて寝れる。
アリシア「あ、でもさ...
空き家にいる時に愚富人が
その空き家に入ってきたら、
逃場ないよね...。
それに家の壁が音を遮って、
愚富人が近くに来ても気付きずらいし...」
トウァ「それも...そうだね」
露骨に声色が暗くなる。
トウァ「家の中にいたら、
アリシアはどれくらい
遠くまで人の声、聞こえるの?」
アリシア「んー、わかんないかな。
家の中で聞こえる声って、
どれくらい遠くから
聞こえてるのかわかんないし」
トウァ「そっかー。
......家の中にいる時、
外から聞こえ始めた声が
どれくらいの時間で
聞こえなくなるかはわかる?」
アリシア「え?
んー...と.......1分11秒くらいかな」
トウァ「そしたら、
アリシアが聞こえ始めた声は
その半分の33秒で
アリシアの家を通り過ぎて、
更に33秒で聞こえなくなる距離まで
離れたって感じだよね。
あとはその33秒に
騙幸人が歩く秒速をかければ
アリシアが家から何mまで
先の声が聞こえるかわかると思う」
アリシア「そうだね。
私達は1時間で1学区を横断、
4.4kmを歩いてるから、
分速は...88m/M。
秒速は......1、6、1.6m/S。
だから、1.6×33で
33+48、81m。
家に居る時は81mまで
離れた人の声がわかるみたいだね」
トウァ「81m...
その距離なら逃げ切れ...るかな?」
アリシア「足音を殺してたら、
その1/3かな。だから......27m」
トウァ「それはキツそうだね。
でも、扉を開けちゃえば、
もっと遠くからの声も
聞こえるんじゃない?」
アリシア「そうだけど、
そしたら、不審がられないかな?
学校が終わる10時半のちょっと前に
空き家に入って、
扉を開けっぱにするんでしょ?
そしたら、下校で家沿いの道を通る人が
開けっぱなしの扉を見て、
不審に思いそうだけど、気にし過ぎかな?」
トウァ「それなら、空き家に入って、
生徒の下校が終わるまでは、
扉は閉じておこっかな。
生徒の下校が終わってから扉は開ける。
そして、下校が
始まってから終るまでは(ドア)の前で、
耳を澄ましてればいんじゃない?」
アリシア「そうだね」
トウァ「じゃあ、
その空き家はどうやって見つけよっか。
家の見た目は同じだし。
中に入って生活感があるか
見ればいいのかな」
アリシア「んー、勝手に
人の家に入っちゃダメだよ。
庭に品物とか生物がいない家が
空き家じゃない?」
トウァ「確かにそうだね。
じゃあ、今日の5:00は
空き家で休憩しよっか」




