時計とアリシアの見た目
アリシア「今日は
この公域Sで休憩するね。
そろそろ10時半になるし」
アリシアが公域を前にして言う。
トウァ「わかった。
公域の近くの川に
釣竿を設置するんだよね」
4,5時間くらい前に
そんな話をした。
アリシア「そうそう。
公域の近くにある川に、
釣竿を置いて、労働が終わる
25時に回収するの」
トウァ「わかった」
肩掛け用紐付き袋の中にある、
釣り竿を取り出す。
この釣竿は元の釣竿を5等分に割った、
長さ1mの物で、自分とアリシアの
肩掛け用紐付き袋に1本ずつ入ってる。
この釣竿を右にある川に、
平行になる様に置き、釣り糸を川に落とす。
この釣竿は元々、
釣り糸が10本、付いてたけど、
2本を残して袋に入れた。
だから、長い時間、
釣竿を放置しても釣れるのは2匹。
自分達で食べるにはこれくらいで十分だ。
アリシア「じゃあ、
公域の中央に行って寝よっか」
トウァ「うん」
アリシアに抱きついて寝るのが
今の日常で1番の楽しみだ。
アリシア「明日はまた別の
公域Mまで行こっかな。
着いたら、軟葉を集めて、
焼いたりして、5時半になったら出発」
トウァ「そうしよっか」
アリシアが立ち止まり、
肩掛け用紐付き袋を下ろす。
公域Sの中央に着いた。
アリシア「ねぇ、私が時刻を確かめる時に
思い浮かべてる時計を
公域に着いたら地面に書くって、
さっき、言ったでしょ?
だから、今から書くね」
トウァ「あー、
そう言えば言ってたね」
アリシアは肩掛け用紐付き袋から
釣竿を取り出す。
その釣竿を使って地面に描くみたいだ。
ガリ、ガリガリ、ガー
軽石でできた地面が削れる音がする。
トウァ「アリシアが描いてる間に、
袋、地面に敷いとくね」
アリシアの肩掛け用紐付き袋から
袋を取り出して、
昨日、アリシアがした時と
同じ様に敷いていく。
...1分くらいで敷き終わったけど
アリシアはまだ描き終わってないみたいだ。
敷いた袋の上に座って、
描き終わるのを待つ。
...アリシア「できたよ」
トゥア「うん」
立ち上がり、アリシアの描いた
時計を見に行く。
うわ...複雑だな。
アリシア「色も決めてるんだよ。
Mって書いてる所は黄緑色、
Yって書いてる所は桃色、
TRって書いてる所は紫色、
Aって書いてる所は緑色、
Rって書いてる所は水色色だよ」
アリシアはその時計の絵の
横に書いて文字を読んで解説する。
成程、こんな感じの時計か。
目の前にある時計の図に
色がついた物をを想像する
トウァ「これって、それぞれの
目盛りはどれを表してるの?」
アリシア「真ん中の五角形にある
目盛りは秒を、
それを囲う五芒星の目盛りは分を、
それを囲う五角形の目盛りは時間を、
それを囲う五芒星の目盛りは日を、
それを覆う正13角形の
目盛りは月を表してるよ」
トウァ「なるほどー。
家とか学校にある
普通の時計を強化した感じだね」
アリシア「うん。
じゃあ、そろそろ寝よっか」
アリシア「うん。
じゃあ、そろそろ寝よっか」
アリシアが靴を脱いで、
袋の上に横になる。
そのアリシアの隣に
自分も横になる。
顔が近い。
やっぱり、アリシアは
いつ見ても可愛い顔してる。
丸顔で優しそうな顔だ。
鼻がシュッとしてるから
ちょっと触りたくなる。
アリシア「なに、
ニマニマしてるの」
アリシアがからかう様に言う。
トウァ「可愛いなぁって思って」
アリシア「...うん」
アリシアはちょっと
恥ずかしそうに微笑む。
アリシアのほっぺって
柔らかそうだな。
そんな事を思って、
アリシアのほっぺにそっと手を当てる。
数回、頬を撫でて、耳を触る。
そう言えば、獣耳は
触った事あったのに
人の方の耳は触った事がなかった。
アリシア「触ってて楽しいの?」
アリシアが不思議そうに聞いてくる。
トウァ「楽しいよ」
アリシアの髪の毛に
5本の指を差し込んで
スーッと手を下ろす。
アリシアの髪が手の内側を
滑る感触が心地いい。
トウァ「アリシアの髪って
サラサラしてて、軽やかだね。
髪が細いのかな」
アリシア「そうだね。
リサラさんにも言われた事ある」
トウァ「アリシアの髪の長さは
いつもこれくらいなの?」
髪を切りたい時は、学校が終わった時、
学校にいる高人に
申し出れば切ってもらえる。
アリシア「うん。
いつも、これくらいだよ。
前に切ったのは2ヶ月前かな」
トウァ「そっか。
アリシアの髪型、好きだよ」
アリシアの髪は中目で、
少し内巻きだ。
横の髪は長くて、耳をすっかり覆い、
顎の高さまで届いている。
けれど、前髪は短くて、
ぴったり眉毛までの長さだ。
アリシア「そっか。
この髪型がトウァは好きなんだ。
でも、長くなっちゃうかもね。
次、髪、切れるのは
いつかわかんないから」
トウァ「そうだね。
髪を切れそうな道具とか持ってないし。
まぁ、髪が長いアリシアも見てみたいから、
別にいいけどね」
きっと、それは新鮮で、見たら、
ドキドキするだろう。
アリシア「でも、
前髪、長くなっちゃったら
目に入ったり、口に入ったりして
邪魔になっちゃうよ」
トウァ「確かに」
前髪が長いと食事中に口に入っちゃう。
アリシア「トウァは短目だよね。
かっこいいよ」
トウァ「うん。
かっこいい...のかな?
まぁ、男性はこれくらいの
髪の長さが1番、かっこいい気するけど」
自分の髪型は、
横髪が耳の下まで、前髪が目まで、
後ろ髪は顎と同じ高さまである。
アリシア「トウァはかっこいいけど、
ちょっと可愛くもあるかな。
だから、甘えられるのが嬉しいし、
甘やかすのが楽しいの」
トウァ「可愛いって言われるの、
なんか微妙な気分だなぁ。
まぁ、甘やかされるのは好きだけど」
アリシアの髪を手で梳きながら言う。
トウァ「...アリシアはやっぱり可愛いな。
誰よりも」
アリシアの頭を撫でる。
こうやって自分がアリシアを
撫でるのは珍しい。
いつも撫でられてばかりだし。
アリシア「私は...普通だよ。
なんていうか...地味」
トウァ「それが好きなんだよ」
自分はアリシアの事が全部、好きだ。
アリシア「...そっか」
アリシアは小さな声でそう言う。
アリシア「ねぇ、今日は
甘えてみたいかも」
アリシアは枕から頭を下ろし、
自分の左腕に頭を乗っけて、
自分の胸に顔を当てる。
トウァ「...可愛い」
ニマニマしちゃうし、
なんだかドキドキする。
こういう風に甘えてくる
アリシアって可愛いんだな。
アリシアの頭を撫でながら思う。




