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生物の紹介と悪戯

~下校中

アリシア「トウァって

何、飼育してるの?」


トウァ「んー、硬塊コゥカィ軟葉ナゥハ子蝟胃夢スレィム

柱肉蟲チュニクチュウだね」


アリシア「えー、趣味悪くない?

全部、食べられないやつだし、

気持ち悪いやつじゃん」

自分も気持ち悪いとは思っている。

他の人と違って。

どうやらアリシアもそうみたいだ。


トウァ「んー。

だって、人気があったから、

飼ったら楽しいのかなぁって。

実際に飼ってみると、

本当に気持ち悪くて後悔してるけど」

高人(こぅと)が絶賛していたからか、

幼育院の絵本で愛らしい生き物として

描かれていたからかわからないけど、

自分が今、飼育している

気持ち悪い生物は人気なのだ。


アリシア「トウァは...他の人みたいに

柱肉蟲(チュニクチュウ)とか、可愛いと思わないの?」


トウァ「うん。

それも、洗脳の1つなのかな。

自分は幼い頃から、

あまり洗脳が効いてないんだよね。

特に最近は、洗脳を疑い過ぎて

疲れちゃってたくらいだし。

アリシアが、洗脳の事を

教えてくれなかったら、

ずっと悩んだままで、

気がおかしくなってたよ」

何処までを、何を信じればいいのかが

ずっとわからなかった。


アリシア「そっか、私もだよ。

ずっと1人だった。


人永時真伝は家の寝床(ベッド)

下から見つけたんだけど、

それを見つける前から、

皆とは住んでる世界が違ってた気がしたの。

洗脳の内容を世界にしてた人とは、

やっぱり、根っこが違ったの。


それに、この獣耳もあったから、

なおさら「皆とは違う」って

感覚が強かった。


高人(こぅと)の人も、この獣耳(ケモミミ)が何なのか

説明してくれなかったしさ」

アリシアも元々、

洗脳を信じていなかったんだ。


もしも、人永時真伝を見つけたのが

アリシアじゃなかったら、

見つけた人はその内容を

信じてなかったかもしれない。


それくらい、人永時真伝に書いてある事は、

この世界の根底を覆す様な事で、

その内容を受け入れる事は、

途方もない孤独を意味するのだから。


アリシアは...ずっと、

1人で人永時真伝に書いていた

重大な秘密を抱えていたのか。

これからは2人で抱えていきたい。


アリシア「ねぇ、トウァ。

ちょっと、今更だけど、

やっぱり私の家、来ない?


トウァに何が、そのままでも

食べれるのか教えるって、

学校に行く時に言ったけど

トウァの家だと、

食べられそうな物ないし、

私の家で食べられる物を教えるね」


トウァ「うん。わかった」



~アリシア宅の庭

アリシア「じゃあ、1つ1つ紹介するね」


トウァ「うん」

アリシアの庭には見たところ、

動物がいない。


アリシア「まずは、これ。甘玉(アマァダ)

アリシアは赤い砂みたいなのを

手に掬って自分に見せる。

[563842616/1690637553.jpg]

トウァ「甘玉アマァダって

確か、1粒が直径0.1ミリの、

球体の果実だよね」


アリシア「そう、甘くて美味しいよ。

食べてみて」


手に掬って口に入れてみる。

舌の上で転がすけれど味がしない。

嚙まないと味がしないみたいだ。


嚙んでみると、じゃりじゃりとした

小さなたくさんの破裂が

歯と歯の間で発生する食感と共に、

はっきりとした甘みを感じる。

甘味なんて久しぶりだ。美味しい。


トウァ「アリシア、これ美味しいね。

アリシアはいつも食べてるの?」


アリシア「うん。12歳くらいの頃、

なんとなく食べてみたの。

それから、好きになって毎日、食べてる。

トウァもやっぱり甘いの好きなんだね」


普通の人は甘い物を毛嫌いしている。

トウァ「そうだね。

それも洗脳なんじゃない?

甘味を変な味、甘ったるくて

気持ち悪くなる味って

刷り込んでる感じが幼育院ではあったし」


アリシア「うん。

あと、甘味を「食べたい」と

思う人がいないから、

誰も思っていないから、

甘味を美味しいと思わないってのも

ありそうだよね」


トウァ「...こうやって労働で

収穫した物を食べるとか、

味を確かめるって発想も、

他の人はしないんだろうなぁ。


他の人からしたら服の味を

確かめるのと同じくらい、

しずらい発想なのかも」

当たり前を疑う。

それが誰にも騙されず、

洗脳されずに生きる方法なんだろう。


アリシア「トウァは飼育してる物、

食べたり、口の中に入れた事あるの?」


トウァ「あるよ。

ミルク を前に舐めてみた事ある」


アリシア「え...あれ?

子蝟胃夢(スレイム)の体液だよね?

変な匂いしてるし、

どう見ても、美味しくなさそうじゃん」

アリシアが困惑した様子を見せる。


トウァ「でも、だからこそ

気になっちゃったんだよ」


アリシア「どんな味したの?」


トウァ「精液に胃液、混ぜた味だよ。

すごい気持ち悪い味した」

歩いていたアリシアが何故か止まる。

そして、変な目で自分の事を見てくる。

少し恥ずかしそうに。


アリシア「...変な事、言わないでよ」


ふと、思い出す。

トウァ「そう言えば、人永時真伝に

騙幸(カタサ)人は性的な事を

恥ずかしがるって書いてたね」


アリシア「そうだよ...って、

あれ、そこ、私、読んでなくない?」


トウァ「アリシアが寝てる間に読んだ」

読むのはまずかっただろうか。

アリシアはあえて

読まなかったのかもしれないし。


アリシア「...そっか。

トウァはそういう(エッチな)の恥ずかしくないの?」


トウァ「恥ずかしくはあるけど、平気。

じゃあ、昨日、耳舐めた時、

恥ずかしそうに顔赤くしてたのって、

そういう事?性的(エッチ)な感じしたの?」


アリシア「...それもだよ。

別にそれだけじゃなくて、

こちょばしくて顔赤くなってたんだよ。

触るならともかく、

普通、口の中に入れたり、

舐めたりしないじゃん」

アリシアは口を尖らせる。

まぁ、獣耳(ケモミミ)をどう可愛がるのかが

普通なのかなんて、

アリシア以外に獣耳(ケモミミ)のある人が

いないからわからない気がするけど。


トウァ「じゃあ、今日、

朝ごはんで同じ食器使うの

恥ずかしそうにしてたのも

そういう事なんだ」


アリシア「うん。

ていうか、よくあんなの、

口に入れようと思ったよね。

どう見ても美味しくなさそうじゃん」

確かに、ミルクは不味そうだ。


トウァ「興味本位だよ。

見ただけじゃ、どんな味かあんまり、

わからないじゃん。

だから、どんな味してるん

だろうなぁって気になっちゃってさ」

美味しそうだなと思って

口に入れた訳じゃない。


アリシア「ふーん。

...あれ....その...なんで、

ミルクがその味だってわかったの?

その...胃液の味だってわかったのは、

まぁ、わかるけど」

アリシアがすごく不審な目で

自分を見つめる。しまった。


...同じ事を言うか。

トウァ「興味本位。

見ただけじゃ、どんな味かあんまり、

わからないじゃん。

だから、どんな味してるん

だろうなぁって気になっちゃってさ」


アリシア「は...え?

その...それを...口に入れたの?」

アリシアが恐る恐る聞く。


トウァ「飲んではないよ」


アリシア「スーッ」

アリシアが歯と歯の間から

息を漏らす。顔が赤い。


アリシア「飲んでないとか、

そういう問題じゃないでしょ...

馬鹿じゃないの?

ほんと、なにしてんの」

アリシアに罵られるのは

悪くないかもしれない。


アリシア「...はぁ。話、戻すよ。

次に紹介する食べれる物はこれ」

アリシアが指を指した先には、

2つの輪っかが結びついた形をした

綺麗な黄緑色の何かがあった。

挿絵(By みてみん)

トウァ「これは何?」


アリシア「知らない?

ラヴダーナッツっていう植物。

甘くて美味しいよ。

お団子みたいな触感なの」


アリシアはその1つを

手に取って自分に手渡す。


良い事を思いついた。

トウァ「これ、2人で食べると、

ちょうどよさそうじゃない?」


アリシア「あ、確かに。

じゃあ、2つに分けるね」


それじゃダメだ。

慌ててアリシアを止める。

トウァ「待って待って。

ねぇ、そのまま、

2人で同時に食べてみようよ」


ついニヤけてしまう。


アリシア「えぇ。

何でそんな事したいの。

...もう」

文句を言いながら、

自分の言う通りにしてくれる

ところが優しくて好きだ。


アリシアはラヴダーナッツの

片方の輪を咥えて、

顔を上げる形で、

自分に、もう片方の輪を差し出す。

その動作がなんか可愛い。

頭を撫でちゃいたくなる。


自分もアリシアと同じ様に

ラヴダーナッツを咥えてみる。

柔らかくざらざらしている。

そして、ほんのり甘い。

ちょっと、噛んで食べ進めてみる。

アリシアもそれを見て食べ進める。


なんというか、

餅と団子の中間の様な食感だ。

モニュモニュしている。

餅程じゃないけど、

飲み込むのに時間がかかる。


ていうか、さっきから、

ずっと目が合っているし、顔が近くて、

なんだかドキドキする。


アリシアは少し恥ずかしそうだ。

そして、互いのラヴダーナッツは

どんどんなくなり、

どんどん、顔が近づいていく。


アリシアは困った表情をして、

ラヴダーナッツを咥えたまま

食べ進めるのをやめた。


じっと、自分を見つめてくる。

そんな状態が3秒ほど続いた。

なんだか、また、あの時みたいに

アリシアを恥ずかしがらせたくなった。


あえて、再び食べ進める。

アリシアが慌てた様子を見せる。

可愛い。


でも、咥えたまま、放す事はない。

口に入れた物を

出したくないのだろう。

ラヴダーナッツは

噛み切りにくいから、

口を開けてラヴダーナッツを離したら

咀嚼していた部分を

口から出すはめになる。


そして、自分の方の輪は

食べ終わったので、

アリシアの方の輪も食べ進める。

アリシアは顔を横に振りながら

凄い慌てている。面白い。

アリシア「んー!んー!」

なんだか、アリシアは

怒ってる声を出している。

顔が赤い。


もう、アリシアの顔がすぐそこだ。

鼻と鼻が触れ合いそうな、そんな距離だ。

このまま食べ進めて、

アリシアの咥えているところも

食べてしまおうかと思う。


いや、それをすると、

接吻(キス)しちゃうなと思いつつ、

このまましちゃいたいなと思いつつ、

少し速度を落として食べ進める。


そういえば、人永時真伝には、

本来は同種族で性的行為をすると

書いてあったから、

このまましちゃっても、

何の問題もないのだろう。


半ば強引に自分の欲望を正当化する。

そんな事をしたら

アリシアは怒るのだろうけど。


さっきから、

近い距離で見つめ合ってたせいで、

アリシアが可愛いせいで、

変な気分になってきた。


あと、少し、あと1口、

食べ進めれば、唇が触れ合える。

アリシアの事で頭がいっぱいになる。

アリシアと接吻(キス)がしたい、

興奮と欲求が最高潮に達した瞬間。

アリシアは遂にそれを

口から放してしまった。

凄く残念な気分になる。


あとちょっとだったのに。


アリシアが咀嚼していた

部分が口の中に入る。

変に柔らかくて、

アリシアの唾液でレロレロ

しててえっちな食感だ。

これはこれで嬉しい。

アリシアの味だ。


そして、そんな

ニヤニヤしている自分を、

アリシアは赤い顔で睨んでた。


アリシア「ねぇ、最初からそういう事

する気で私に提案したの?」

アリシアはかなり怒った口調で言う。

一気に不安になる。

優しさのある怒り方じゃない。

真面目に怒ってる。


トウァ「...そういう訳でもない」

目を合わせられなくて、俯く。

アリシアの怒ってる顔が

不安で見れない。


アリシア「私が放してなかったら...

絶対...してたじゃん」

獣耳(ケモミミ)をバタバタさせながら

アリシアは言う。

不機嫌な時の仕草だ。


トウァ「ダメだった?」

アリシアの顔をチラッと見て言う。


アリシア「ダメに決まってるじゃん!

ほんとに怒るよ?ねぇ?」

アリシアは思ったより

怒ってるみたいで、

大きな声で、早口で自分を責める。


トウァ「ごめん。

なんか、顔と顔が近くて、

変な気分になっちゃった。

衝動的にしそうになっただけだから、

最初からそうしようと

思ってた訳じゃないから、許して」


アリシア「それでも、酷いよ」


トウァ「...ごめん」

5秒くらいの気まずい沈黙が流れる。


アリシア「はぁ、もういいよ。

何か疲れた」

アリシアは地面にごろんと横になる。


自分もアリシアの隣に寝転がる。

さすがに、不安になってくる。


トウァ「ねぇ...その...アリシア、

何でもするからさ、

機嫌、治してくれない?

もう、アリシアが

嫌がる様な事はしないし、

アリシアの言う事ちゃんと聞くから」


アリシアの後ろ髪を見ながら言う。

アリシアの髪は綺麗な黒色で、

サラサラしてそうで触りたくなる。


アリシア「はぁ...

もう、何でそういう事

しようとするの?」

アリシアはこちらに

背を向けたまま不機嫌な様子で言う。


トウァ「それは...アリシアが

可愛いからだよ」

改めて言うと恥ずかしい。


アリシア「...わかったよ。

はい、もう、許した」

アリシアは投げやりに言う。


トウァ「ありがと」


アリシア「そういえば、トウァ。

トウァは成績どれくらいなの?

学籍帳見せてよ、

服備袋(ポケット)とかに入れてるでしょ?

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