あるいみで、むてきだよね!
かなり偏った物の見方となっています。
七歳位の少女が、椅子に座っていた。彼女は賑やかな教室の中で、何の違和感もなく孤立していた。
周囲の少年少女は彼女に話し掛けようとしない、また、彼女も話し掛けようとしなかった。何もせず、ぼぉっとしていた。
彼女の興味が向かうのは、教室のヒヤシンスが咲くのはいつ頃だろうかとか、今日は暑くなるだろうとか、そんな事ばかり。
他人の事など、ほとんどない。
「それでは二人一組になってください!」
先生の命令に従い、他の生徒たちが組を作り上げていく。彼女は立ち上がりもせず、他の人の組が組終わるのを待っていた。
そして、彼女は一人の端数として余った。
「それじゃあ先生と組もうか」
先生の申し出に、彼女はコクリと頷いた。
みんな組みたい人がいるのだろうから、私が行ったらじゃまになる。そんな事わざわざしたくない、めんどくさい。
だからせんせいとか、ほかのあまった人と組めばいい。せんせいとかあまった人とかがめいわくするような気はするけど、組まなきゃいけないんだからしょうがない。
相変わらず彼女は一人だった。その彼女に、名前も覚えられていない少年が怒鳴り散らしていた。一方的に、これと言った理由もなく。このくらいの年齢の少年では、さして珍しい行動でもない。
「おまえキモいんだよ!」
少女は少年の言葉を適当に聞きながら、どうしようかなぁと考えていた。
このうるさい人はどうしたら黙ってくれるんだろう?
「ムシすんなよ!」
「……うるさい」
彼女が小さな声で少年に告げると、少年はまた騒がしくなったのだが、少女はかまわず無反応でいる事にした。
だって反応しただけ反応するから、だまっていればその内あきる。
そうやって無反応で居続けた彼女を、少年が殴った。たかが少年のパンチである、痛いと言えば痛いが、そこまで痛い訳でもない。彼女に一発食らわせた少年は、そのまま立ち去った。
まんぞくしたのかな?
彼女は、少年の行動はウサ晴らしだと思っていた。日ごろのうっぷんを、自分にぶつけているのだと、そう思っていた。
ある日、彼女は靴を隠された。探そうにも、靴が無くては探しに行けない。靴下だけを履いて、彼女は家路についた。
自分にウサ晴らしをしてそれで気が済むのなら、それで構わないと思って、本気で抵抗もしなかった。
べつにいいんだけど、私をぶっても。私ががまんすれば、それで気が済むなら、それでいいんだけど。
やっぱり、うざったい。ちょっと泣きそうだ。
孤独と言うものを知らなけば、苦痛と言うものを知らなければ、それを味わう事は無かった。
それはある意味無敵の存在。
しかし、いずれ自覚するだろう、自分の中の寂しさに、悲しみに。
彼女も、いつの間にかそれらを知る事になった。周囲の人から様々な感情を向けられた彼女は、自身の中でそれを探し出し、理解しようとした。自分にはあまりに乏しい感情で、良く解らない感情も、何とか理解しようと努力した。
そう、努力したのだ。
周囲にいるのは家族だけだったのが、彼女の預かり知らぬ間に他人が増えていた。どうでもいいはずの他人が、どうでもいい存在ではなくなり、自身から離れて行く事を恐れた。
だから、自分から皆が離れて行かないように、努力したのだ。他人を理解して、他人の有利になるように動いて、傍にいて欲しい人が傍に居るように。
そして彼女は回想する。
もし、私に誰もよってこなかったら。私はどうなってたんだろうね? 他人がいなければ、孤独と言うものも知らなかった訳だし。
社会にあろうとした彼女に、社会が押し付けてきたのは社交性。
ねぇ、これって本当に必要だったのかな。私、別にこんなものいらなかったよ、なくても幸せに、むしろない方が幸せだったんじゃないの?
楽しい事もあったけど、つらい事の方が多かった、何か大したものが得られたとも思えない。
あのまま一人でつらい事も知らず、生きていた方が幸せだったんじゃないの……?
彼女は後悔していない。
ただ、あり得たかもしれない今に思いを馳せただけだ。
全体的な更新スピード、四月ぐらいまで現状のまま、とっても遅いままになる事が決定いたしました。
……落ちたぜ、チクショー。