表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

ねーねー、この世にあるすべてのモノってさー、生きてるんじゃないのー?

哲学が嫌いな人には嫌な話かもしれません。

 十歳位の少女が、本を読んでいた。重たそうな図鑑を、目を輝かせて読んでいる。その本のとある一ページを、食らい付くように見つめていた。


 ばたん 


 彼女は閉じた本を胸に抱え、姉の元へと向かった。とてもうれしそうな、きらきらとした目で。


 「ねー、おねぇ!」


 「なんだよ?」


 けだるそうな姉に、彼女は笑顔で問いかけた。


 「あのさー、この世にあるすべてのものって生きてるのぉ?」


 「はぁ?」


 「だってさー、人のからだの中に金属あるんだよー、だったらさ、金属って生きてるんじゃない?

 なんかね、キカイも生き物もおなじモノでできてるんだって。だったらさ、こーゆー机とかも生きてるってことじゃない?」


 「んなわけないだろ?」


 「えー、なんでだよー?」


 「知るか」


 妹の話に興味を失った姉は、適当にしか返事を返さなかった。


 「ぶーぶー、ねぇのバカー」


 そう言い残した彼女は、母の元へと向かった。


 「ねーねー、おかーさーん」


 洗い物をしていた母は、そのまま洗い物を続けながら娘に返事を返した。


 「なぁに?」


 「あのさー、この世にあるすべてのモノって生きてんのー?」


 「……はい?」


 娘の妙な発言に、母の手が一瞬止まった。


 「だってさー、人もこのへんのモノもおなじものでできてんだよー。だったらさー、この世にあるすべてのモノは生きてんじゃないのー?」


 「生きてるわけないでしょ」


 「なんでだよー」


 「そんな事より、ちゃんと宿題やった?」


 「んー、まだ」


 「早くやりなさい」


 「はぁーい」


 母に怒られたので、彼女は本を持って部屋へと戻った。宿題のドリルを開いて宿題を始めるのだが、ものの数秒で飽きて、机を叩きだした。心の中で不満を言い散らかす。


 何でだれもまじめに答えてくれないんだよー。


 そういや、つくえが生きてるとしたら、私すごいつくえ引っぱたいてるんだよなー。


 わるいことなのかなー?


 そう思い、彼女は机を叩くのをやめた。代わりにその表面をなで、その質感を味わう。滑らかなその触感は、磨かれた木の物だ。


 たしか「植物は生きているんですよ」って誰かがいってたよなー。


 つくえって植物だよね。でもさー、つくえは生きてないっていうんだよね。


 おんなじ植物なのに、何でだろ?


 傍らに置かれていた図鑑を再び開き、先ほど凝視していたページをまた見始めた。そのページの項目は“生命ってなんだろう?”元素の存在を元に、宇宙にある物質は同じ物質である、と言った内容をわかりやすく綴った、短い文章がそこにあった。それを眺めつつ、彼女は再び問いかける。


 ねー、なんで? 何で生きてないっていうの? 中身はおんなじじゃん、だったら生きてるんじゃないの?


 水も土も木も鉄も、人も、おんなじものでできてるなら、みんな生きてるんじゃないの? なんの差があるの?


 ねぇ……、何が生きてて、何が生きてないの?


 ねーねー、誰かおしえてよ。


 ねーねー


 ねーねー……



 彼女の心の中の問いに、答えるものはいなかった。





今こんな質問はしませんよ、誰にも。

変な目で見られますよ!


ちなみにまだ忙しいです、ちゃんとした連載は期待しないでください。すみません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ