吹雪の日
その日の山スキーは吹雪でラウンジで天候の様子を見たが回復しそうもないので午前中で帰ることにした。時間も早く、そのまま帰るのも惜しいのでケイも含む8人で私の家でゲームとスキーのビデオ鑑賞会をすることになった。
山からの帰りに、みんなでスーパーへ行き、食材や飲み物を買って帰った。家に着き、買ってきた食材で簡単に出来る料理を作り、エキストラテーブルを出し、料理や皿やコップを並べた。食べようと座ると取り皿が足りなかったので立ち上がると、ケイも手伝うと一緒に立ち上がり台所へ一緒へ来た。
私は食器棚に向かい「んー、どれにしようかなぁ」と暫く悩んで、その後ろにケイが立っていた。「よし、これにしよう。」と呟き皿を取り出し、「じゃーケイさん、これを運んで。」とパッとケイの方へ振り向いた。
振り向き見たケイの顔は紛れもなく恋する男の顔だった。眉毛を潜め、目は切なく潤み、口は一文字に閉じられていた。
私は、やっとそこでケイが誰を好きなのか気付いた。
驚きケイの目を見つめた。ケイは、そのまま真っ直ぐ私を見ていた。
私は、その視線の意味を気付かないふりをして視線を外し「さぁ、これ持って行ってね。」と手に持っていた皿をケイに渡した。ケイは皿を受け取り首を小刻みに頷き、皆のいるところへ戻っていった。
私は台所に残り(あぁビックリした。ケイさんの好きな人って私だったんだ。年が違いすぎて全然そんなこと考えもしなかったから気付かなかったよ。今までの行動の意味はそういうことだったんだ。それにしてもケイさんチャレンジャーだな。レベル高すぎるだろ。)なんてことを考えていた。
皆のところに戻るとケイは私を見ていた。意識してみて分かったが、ケイはいつも視線で私を追っていた。私が皿を片付けようとしたり、何かを取りに行こうとすると、ケイはサッと立ち上がり手伝ってくれ、私が話していると見守るような視線で優しく笑い、ゲームではしゃいでいると眩しそうに見ていた。
こんなに分かりやすい行為をされているのに全然気付かなかった。私としたことが!さて・・・これから、どうするかなぁ。ケイのことは好きになれそうだけれど年が離れすぎて無理!付き合ったことを想像も出来ない。想像してみようとすると「無理。無理。」と身震いがした。でも、このまま避けるのも寂しいしなぁ。就職したら引っ越すし自然とフェードアウトするだろうから、それまで楽しませてもらおうか。