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トリック  作者: ジョゼフィーン
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真夜中のお買い物

スキー友達以上の感情を持てる人に二人も出会えたことに嬉しくなった。スキー帰りの車で、ケイとオカが同乗することがあり他の同乗してる人も誘い、うちで夕飯を食べていくように誘った。


ケイ達は「おじゃましまーす」と上がり物珍しげに家の中を見て「へーお洒落だねぇ」と感想を言った。オカはインテリアに興味あるようでライトや飾ってある絵を見て「リカはセンスあるな~」と感心していた。


冷蔵庫にあるものでパスタとサラダと他にもう一品作り、皆にご馳走した。お世辞でも皆「美味しい」と言ってくれた。ケイは「チョーウメー」と言っていた。


この時気付いたのだがケイはチームの皆といる時と、私と二人きりの時には言葉遣いが違っていた。私と二人きりの時は、もっと丁寧だった。一応、年上として気を使ってくれているだと思った。


オカは「リカは一体いくつ出来ることがあるんだ?」と言った。「ははは、そんなにないよ。凝り性なだけだよ。女らしいことは、そんなに出来ないもの。ただ料理は食いしん坊だから好きなんだ。」と私は肩をすくめながら答えた。


みんな遅くまでいて楽しい時間が過ぎた。それから、またケイとオカが同乗することがあると他の人も誘い、うちで夕飯を食べていってもらった。


その日、仕事が早く終わったため早く帰ってきた。ケイの車に乗ると「今まで撮り溜めたスキーのビデオをみんなに渡すためのテープをドンキホーテまで買いに行くけれど、一緒に行く?」と聞かれた。「うん、行ったことないから行ってみたいな。でも何で地元にも電気屋はあるのに、わざわざ遠くへ行くの?」「なんかドンキって面白いんだよね。理由もなしに行くのも何だから欲しい物があった時に行くんだよね。」「へー、それは楽しみだなぁ。でも一回家帰って着替えてきてもいい?その、ついでに夕飯をうちで食べて行ってね。」と私はお願いをした。


ケイはちょっと驚いた様子だったので「大丈夫、大丈夫。襲ったりしないから。」と私は笑い「ケイさん、きのこが好きだったよね?きのこパスタでも作りましょうか?スーパーにも寄って行ってくれる?」と続けた。ケイは、そこでやっと笑顔になり「じゃーお言葉に甘えて。」と言った。「スキーへ行くのも仕事の帰りも車に乗せてもらってるのだもの。たまにはお礼でもさせてくれないと悪くて気が引けちゃうよ。」と私は付け加えた。


スーパーへ一緒に買い物へ行き、ケイはカゴをカートに載せた。黒スーツの黒シャツのケイがカートを押している姿を見て、私はお腹が痛くなるほど笑い、ケイはそれを見て「ひどいなー。」と笑った。


「サラダも作るから何サラダがいい?」と聞くと「母ちゃんが作るサラダでカリカリのベーコンのってるのが好きなんだよねー。よくお願いするんだけど時間が掛かるからと、たまにしか作ってもらえない。」と答えた。こんなに柄が悪いのにお母様と仲が良いなんて意外だな、と思った。「ケイさん、お母様と仲が良いんだね。」と言うと「だって、もう親に反抗したり冷たくするなんて格好悪いでしょー。」と答えた。


買い物後、家に着くと直ぐにきのこパスタとベーコンのカリカリサラダを作って食べ、ドンキホーテへ出掛けた。私は夜中のお出掛けなので、化粧を少し強くし、グレーのシンプルな膝丈ワンピースに黒のロングブーツを履いた。ケイは、それを見て「うわっスカート!ホント、リカは年に見えないよなー。」と言った。私は「若い人とお出掛けなので若作りをしました。」と笑いながら肩をすくめて答えた。


ドンキホーテの駐車場に着くと、夜遅いにも関わらず混んでいて沢山の車のライトが眩しかった。人もぞろぞろ歩いていた。いくつもの男性の集団があり大騒ぎしていた。車から降りて店へ向かう途中、店周りの毒々しい煌びやかさに目を奪われ、ケイとはぐれそうになった。


ケイは「迷子になったらいけないから」と手を出した。私はネオンの眩しさに感覚が麻痺してしまったようで何も考えずに言われたまま、出された手に自分の手をのせた。ケイは「手が冷たいね」と言い、ケイのコートのポケットに繋いだ手を入れた。私はときめくわけでもなく、驚くわけでもなく、その行動は自然だったのでリラックスを感じ「温かいね。ありがとう。」と答えた。


店内はおもちゃ箱とガラクタ箱をひっくり返したようで面白かった。手はつながれたままで、いろいろな売り場を案内してくれ、その度に私は驚いたり笑ったりした。


家でも店でもケイと一緒にいるのは楽しく、また私が珍しくリラックスが出来る相手で心許し、自分のお願いを出来るようになった。行きたい所があればお願いし、たまには自分も車を出し、私はケイの前では思うがままに行動し話が出来るようになった。

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