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あなたの中でそれが事実でも構いませんがそれはそれとして殴ります

 四月某日、真新しい制服に身を包み私は新しい学園で高校一年生として、新しい生活を送ることなった。

結局自分でも簡単に決めてしまう事ではあったものの。悩んではいたのだ。

それまでを捨て去るのか、どうかを。

しかし結論として、もう戻れないということは確定しておりなおかつ、第十三支部を救うという自分に課した命題をこなすためには、こちらのほうが近いし何よりも自由度が高い。

エインに理解のある学園なので多少の無理も効く。

ただし、授業については今の学力では危うく中三から開始になりかかけたくらい高い。

なので、高校一年生として、通うことになった。

始業式も終わり、親戚の娘と屋上に来た。

どうして同級生なのかを説明すると、


「それで、私と同級生になったんですか」


「頑張りました、頑張ったんです。自分にできる範囲で精いっぱい頑張りました」


そういいながら崩れ落ちる、


「でも結果はついてこなかったと」


「はいそうです、結果はついてこず」


「(スマフォを見せながら)これがその結末と」


画面の中には、コスプレしている自分の姿目は完全に死んでる。

しかも一枚ではなく、ほかに数枚その中には木花鈿女の姿もある。


「そのあと第十三支部の……いえこれは別件ですね」


「なんとかなりそうですか?」


「何とかするんです、そのためにここに来ました」


決意を伝えると、溜息を吐きながら


「私は、あなたに縋ってしまったんですよ。東雲の名を名乗っているのに」


「当たり前です、この問題は一人でどうこうできる範疇を越えて、本来大人たちが守るべきなんです。それを怠ったなら、子供が子供らしく騒動を大きくしながら大人を動かすしかないでしょう」


「おおきく?」


「はい大きくです、真実を隠そうとするのならば、暴かなくていいことまで暴いて虚飾の火を真実の火で覆い隠すだけですs」


「できるんですか?」


立ち上がりながら、メモリージェムを見せる。


「そのために、開かなくていい傷口を開いたんです。流した血に見合うだけの対価があってしかるべきです」


「……よろしくお願いします。東雲分家、東雲彩音がお手伝いできることがあれば何なりと」


「じゃあ、ゴリラの再教育を」


「承りました」


深く深く頭を下げて、感謝の意を示す少女が流した雫を自分は見なかったことにした。




始業式終わった同じ週の土曜日、


「よう、来てやったぞ」


ある異能模擬戦可能な体育館にて、あの共闘したBランクパーティーと先日会ったAランクの二人があっている。

そこに今回の一件を企画した少女の姿はない。


「本当なんだろうな、推薦の話は」


「ええ、あなたたちが勝てたなら、推薦してあげるわ」


エサは推薦の話である。

自分たちはもっと上に行けると、焦ったことがそもそもの話である。

焦りが隙を生み、生まれた隙は簡単に連携を崩せるだけの弱みになった。

それまでの戦績を見るに、リーダーがトドメ、つまりフィニッシャーとして活躍できるような相手にしか勝てていない。

それ以外、メンバーが補助によりすぎなのだ。

いやリーダーが、自分以外の存在が目立ってしまうのを嫌った結果であろう。

先の動画でもわかるように、根拠がなくても自分よりも目立つようなことをした=先走ったである。

ちょっと考えればわかるのだが、そこからアンチによる捏造の根拠が示され、今も炎上の原因となっているのだ。

真実は違う、これはあのメモリーから分かったことだ。

まあそれを見せても、彼の牙城は崩れることはないだろう。

彼の中に彼自身がSランクより強いという妄想の中にとらわれているのだから。

当たらないのは、ほかのパーティーが抑えきれなかったせい。

やられたのは、魔法少女たちが功を焦って先走りしたせい。

他人にしか理由を求めず自己を研鑽しない男がBランクなのは、鍛錬しない男の限界がBランクだからに他ならない。

鍛錬すればもっと上に行けたはずの男は、自己の研鑽を怠りパーティーの補助という安寧の中で強さを誇示するその様は檻の中のゴリラと相違ない。

しかし今は、周囲から言われての、自粛中――しかも自分の中では何一つ悪いことはしていない――にふってわいた上に行けるチャンス、逃すはずがなかった。


「さあ、とっとと始めようぜ」


男の目にぎらついたものが宿る、自分は成功者で失敗はないそう確信した目だ。

むろん、そんなことはない。

相手は、Sランクに近い、いや専用技能(オリジナル・スキル)がないだけでほぼSランクであるAランクの二人と自身の力を過信して、パーティーの連携が一撃必殺一択になっておりそれ以外の状況になると途端にもろくなる限りなくCランクに近いBランクパーティー五人。

結果など、火を見るよりも明らかだった。

開始一発、全体化された聖なる槍(ホーリー・ランス)がリーダー以外を打ち貫き、リーダー以外は戦闘不能と判断された。


「は?」


黄金パターンを崩され動けないでいる、リーダーと剛拳の一対一である。


「言われたこと守ってくださいね」


「いい修行になるといいけどな」


「な、な、な」


向かってくるのは山のような気配を出す大男、控えるのは聖職者らしからぬ怒りの気配を見せる女性。

一歩後ずさる。

飲まれたと意識したときリーダーは吠えた。


「うおおおおおお!!」


気概十分であっても技量がない、知恵のない獣を相手にするかのように拳を受け流す。

まるでしつけをするかのように、稽古というには技量差がありすぎたのだ。

さらに言えば、リーダーはスタミナの面で不安要素しかない。

あの動画で叫び続けられたのは、実際連続二分ほどであり、まくしたてるように言ったのちぜーぜー呼吸を荒くしながらしゃべっていた。

それががむしゃらに打ち続け、最小限で最低限の動きしかしていない剛拳に打ち込み続けられるのは、相手側の次期聖女がスタミナ回復のエリアサークルを張っているからだ。

これは非常にごまかしがきき相手が自分の補助に徹しているから決着がつかないということに周囲すらきづかれることなく時間を引き延ばすことに成功していた。




???視点

同時刻、その地位区間から少し離れた森にてそれは目覚めた。

力のぶつかり合いそれだけで何が起きているのか理解する。

獲物だ、狩るべき獲物が現れたのだと。

誰にしようかと品定めをするために自分の能力をフルに活用して音も姿も見せずに近づいてゆく。

中ほどまで来たとき、それは聞こえた。


「ミツケタ」


音もなく自分の首が落ちた、理解できない正体もわからない。

ただ自分の正体もわからずにコアに傷を入れられる存在が、今この場にいる。

恐怖というものを初めて理解した、今まで狩りだったものが、途端に戦いに変わってしまったのだ。

わき目もふらず、元居た森の中へ戻ってゆく。

傷を癒すため、何よりそのわけもわからない存在を自分のテリトリーに誘い込むために。


「クラック完了」


小さくつぶやかれた声に気が付かぬまま




木花視点

見つけるための手間はかかったが、まあふたを開けばこのとうりだ。

あいつは、糸をつけた弱いエネミーにかまっている雑魚を気づかれないままに狩るそういう生き物だ。

なぜ、今回の件まで事態が発覚しなかったか、おそらくそれは時間と範囲。

三分以上魔法少女は戦闘に時間をかけられない、だから短時間速攻で倒す。

それを実行できるメンバーだったことは見てわかる。

そして第十三支部の活動範囲を円で囲ったとき、三分以上時間がかかったのは一度だけ。

さらに、エネミーの感知及び行動範囲は極端に狭く、気づかれる前に仕留められる距離にしか動かないことがエネミーの発見の困難さに拍車をかける。

しかしこれではっきりした、奴の正体も行動パターンもそして攻撃方法も。

あとはし仕留めてもらうだけ。

彼女を助けるのは、そのあとだ。

そのまま息を一つはいて体育館のほうへと向かう。

多分補助ありでも長期戦だ、さぞ疲れ切っていることだろう。

だからどうした問話でもある。

それはそれとして殴るだけだ。

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