ファァーストコンタクトが最悪ですが致し方ありません
翌日のあるオフィスにて、Aランクの二人とあった。
「まさか、『次期聖女』と『剛拳』とは驚きです」
次期聖女ともてはやされるほどの治癒術の使い手でヒーラーとしては抜きんでた能力を持つ、Aランク治癒術師の紫藤アイサ。
二の打ちいらず、一撃の名のもとにすべてを打ち砕く姿はまさに武神。拳がうなれば敵は消え去る。Aランクの格闘家王山忠。
その相談とは、
「Sランクに至る方法?」
「はい、どうしてもその称号が必要なんです」
「そちらも?」
「いや、だが今のままでは、道が見えないのでな。何かにかないかと、藁にも縋る思いで博士に尋ねたんだ」
「そうですか」
SランクとAランクに能力的な差はないあるとすれば、
「失礼します『看破:技能樹』」
自分の目が緑色に輝く、目の前に半透明なウィンドウが表示される。
ウィンドウを二、三回スライドするような動きをしたあとウィンドウを閉じ、
「多分、なんですけど分かりました」
「「本当ですか(か)!」」
髄っと乗り出して聞いてくる。迫力がすごい、片やオーラが、片や体格が。
「えーと、まず『付与:技能樹窓』」
言葉とともに彼らの前に半透明な板が表示される。
「えっと、これは?」
「今あなたが取得して持っている技能です。画面の端から端へ手を移動させてください」
言われたとおりにすると、また違う画面が表示される。
「そのうち、originalという画面を見てください。何も表示されていないでしょう?」
そう、その画面には、original以外の文字は何一つなかったのだ。
「このoriginalを手に入れること、これがSランクに至る条件なのではないかと思います」
「ではどうやって?」
「それこそオリジナル、つまり自分自身で見つけろという事だろう」
「そうですね、武道でいう教えを守り、教えを破り、教えから離れるのうち、離に至っている状態ですからね。技能、派生技能はもうすでにレベル十がほとんどですし」
「ふむ、教えから離れるか……なるほど道が見えた気がする」
「はぁ、ヒントが得られただけでも前進ですね。……そういえば、桜さんも持っているのですか?」
「……秘密で」
なぜか、どんよりとした空気になってしまっている自分。まあ仕方ないけどね、専用技能のおかげで魔法少女のデメリットの大半無視できるからね。
「何か触れてはいけないことのようでしたね。ありがとうございます、そちらは何か悩んでいると博士からお聞きになりましたが」
「ああ、そちらはそちらで少し調べてほしいことがあったんですよ」
「何をでしょうか?」
「第十三支部の事件の浸食体の重さがわかる動画、そして共闘したパーティーのリーダー以外の証言、あとリーダーとの模擬戦その際に一つやってほしいことがあります。、模擬戦の場所は――」
「そこでいいのか?」
豪拳驚いたように言う。
「むしろ、そこでなければならないんです」
この言葉に笑みをこぼす。
「どちらが、本命だ?」
獣のような顔で聞く、それに対し自分は
「もちろん、危険な方を」
悪戯っ子のように返す。
そうして依頼したことについてのの話し合いをおえたあと連絡先を交換し、二人と分かれた。
場所がちょうどよかったので、第十三支部へ向かう。
途中被害箇所が見えたが、どれもこれも悪ガキのいたずらと相違なかった、ただ込められた魔力だけが相手が浸食体だということを物語っていた。
朝もらったお弁当を食べおえ、それと一緒にもらったスマートフォンの地図を見るのをやめて顔を上げると、第十三支部が見えた、いやがらせでもあれているのだろうか全体的な空気が沈んで見えた。
さてどうしたものかと悩んでいると、ご近所さんらしき年配の女性が近づいてきた。
「ちょっとあんた、そこにどんな用があるんだい。やめときなさい、今あの子たちは傷ついているんだから、そっとしておいたほうがいいだよ」
「かもしれません「なら」でも時間で解決させてくれないから、動くしかないんです。本当でないことが本当にされて、このまま放っておいたら真実になってしまう。そうして本当が葬られた後で残るのは、彼女たちを傷つけて無責任に笑う大人たちです。私は、それなら子供でいたいいんです」
「わがままね。そう子供のわがまま、でもどうするの?真実があるかもしれない第十三支部は、傷けられたあの子たちのように固く閉ざされているのよ」
「ちょっと、手品を」
そういって悪戯っぽく笑った。
ガチャ、などとはならずに窓のカギを開け静かに開けるむろんSランクの認識阻害消費30秒/秒は発動中である。
「おじゃましまーす」
誰に聞かれるでもなく、ついいってしまった。
入った場所は会議室だったようだ、ただしコインロッカーのようなものが、開きっぱなしで置いてある。
コインロッカーの上にまつられるかのように、座布団の上に置かれているものがある。
世代的には一昔前の自立式のカメラ付き球体羽根つき機械名称『リトルエンジェル』だ。
動いていないということは、電池切れかなのだろう。
よく見ると、手入れそのものはされているが、重要なメンテナンスがされていない。
データそのものは生きているだろうが、再び動かすためには、ある程度知識が必要となるだろう。
奉られているそれに、両手を合わせたのち、球体の真ん中あたりに手をかける、目論見通りパカっと開いたその中におさめられているのは、メモリージュエル――異能式のそれはかなりの容量、それ相応の価格とそれを使いこなすための知識が必要となるため、割と普及はしなかった――だ。
それに同じ、空のメモリージュエルを触れさせて、思考だけで操作し始める
「これなら、あとは、『読み込み:複製』件の日の、オッケー動いてる。間に合うかな?」
じりじり伸びるバー、に不安を覚えながら完了音が鳴ったと同時に、リトルエンジェルを閉じ離れようと
「こんなところに何の用?あいにくと金目のものは、支部長が持ち逃げしたわよ」
右腕だらんとさせた少女が、こちらというよりは、部屋全体を眺めながら声をかけてきた。
「それとも、無遠慮に真実とやらを調べに来たの?ここにはあなたの望む真実はないわよ?あるのは間抜けに友達を無残にやられて再起不能になった小娘だけよ」
変身しているようだが、服装から魔装解除状態なのだろう、時間が伸びるし何より戦闘しないのなら、その時間はほぼ無制限だ。
ただし防御はないに等しい。
唯一浸食に対して有効ではあるが、ほかのエインなら気合だったり魔法だったりでなんとかできるのだ。
魔法少女だけが、根底から浸食されているという結論だ。
ゆえにどうすることもできない、と考えているのだが、
「さて、不審者には通報がお似合いかしら?」
にらみつけるような、ツインテールで金髪の少女に音どころか気配すらなく近づくと
「『催眠』」
「な?!くっ、しくじっt……」
ゆっくりと倒れる体を抱きとめて右腕に向かって、
「『クリフォトをセフィロトへ:回復』」
ノイズに侵されている右腕が、少女の腕へと戻ってゆく、
「これで良しっと。実験もできた。あとは本人の意思次第」
ゆっくりと地面に寝かせ、そのまま窓からでて、外から鍵を閉めた。
「ただまあ、ファーストコンタクトは最悪だね」
一人ため息をつきながら帰路につく。
しかしその顔に、不幸を嘆くような表情ではなく希望を道を見つけたような満面の笑みだった。