興奮すると早口になる系女子
「ありがとうございました。またのご来店をお待ちしております。」
雑貨屋の店員さんの挨拶に見送られて外に出た。
「感じの良いお店だったね。」
「ええ、それに2人とも目当てのものが見つかったようで良かったです。」
「えへへー、そうだね〜。」
ここでの買い物はみんな個人の所持金から払った。
冒険に必要無い物も多いし、自分のお金の方が気兼ねなく買い物できるだろうと話し合った結果だ。
俺は着替え用の服を選んだ後は日常で必要なものを買った。石鹸とかカミソリとかだ。
別にそんな髭は濃い方じゃないけど3日も放置すると流石にね。
ユーンさんは化粧品各種。
ギルドで受付の仕事を始めてから付けるようになったらしいのだが結構面白いらしく今では色々な物を試すのが趣味になっているらしい。
そしてイオルはというと
「はぁぁ〜。良い、すごく良い。」
たった今買ったばかりの手鏡を取り出して自分の顔を見て悦に浸っている。
いや別にイオルがナルシストに目覚めたわけではなく
「高級感もあって質感、手触り最高。その上カッコいい! もう、すっごいいい買い物したよ〜」
興奮気味に俺たちに買った物を紹介するイオルの右目には高級そうな革製の眼帯が装着されている。
「えっと、気にいるのがあってよかったね。」
「うん! 最初に医療用の眼帯を見て思ったのと全然違うくて落ち込んでたんだけど、そのあとこの眼帯を見せて貰ってね! もう一目惚れだったよ〜。試着も何もせずに決めちゃったんだけど今着けて見てびっくりの着け心地! 吸い付くっていうか着けてるのを感じさせないっていうか、でもそれなのに今までただ片目を瞑ってた時よりも見やすいのっ! しかも左右どっちの目にも着けられるって言う優れもの! これはもう革命だよ!」
「あ、うん。」
テンション爆上がりである。
「触り心地も最高で硬いんだけど弾力があって表面はツヤツヤで。あ、2人とも触る? 触ってみる?」
「あー、じゃあちょっとだけ…。 あ、ホントだ、これはいい物使ってるね。」
少し押され気味にイオルの右目に装着された眼帯を触ってみる。別に革の良し悪しなんて詳しくは無いけれどなんとなく高級感は伝わってきた。
「なるほど、確かにこれは…。魔牛、いえ魔鹿でしょうか? イオル、これだいぶ高かったのでは?」
ギルドで解体も手伝っているらしいユーンさんには違いがわかるらしい。
「うんっ、大銀貨3枚!」
「大銀貨3枚ですか。確かに高いですが思ったほどでも無いですね。」
「でしょ? 元々は高級革鎧に使った革の余りなんだって。それを武器屋の旦那さんが仕入れて売ってたらしいんだけど売れなくてお隣で雑貨屋してる奥さんが店に置いてたんだけどこれまた売れなくてってなってたから安くしてくれてたんだと思う。」
「ふむ、それならいい買い物でしたね。元が革鎧なら防具にもなるかもしれません。」
「えっ、やだ。傷つけたく無いもん。」
右目を庇うように手で押さえる。厨二感がすごい。
「いえ、別に眼帯で魔物の攻撃を受けるなんて考えていません。ものの例えです。」
「それならいいけどねー。」
とりあえず予定していた買い物は終えた。
「さて、じゃあこれからどうする?」
「そうですね。私はお母さんに食事に行くと言ってしまったのですがお2人はこれからまだ時間はありますか?」
「うん、俺は大丈夫だよ。」
「私もー」
「そうですか。では食事にー」
「あ、待って待って。」
ユーンさんの言葉を遮ってイオルが手を挙げる。
「どうしました?」
「食事も行きたいんだけどさー。いっかい荷物置いて行きたいとこあるんだけどいい?」
「? まあ確かに少し荷物は多いですが。何かまだ買うものでも?」
「ううん、そうじゃなくてー。今泊まってる宿には無いから今日は行きたいなって」
「宿に無い?」
イマイチ要領を得ないイオルの話に首を傾げる俺とユーンさん。
イオルはちょっと恥ずかしそうにしながら
「…昨日入れなかったから、お風呂入りたいなって。」




