お会計
「じゃあ買うのはこれだけでいいかな?」
「そうですね、とりあえずはこれでいいと思います。」
ユーンさんと2人で店内を回っていくつか気になる武器はあったけど俺の武器は保留ということになった。
いや、想像していなかったわけじゃないけどちゃんとした武器って高いのだ。
現在俺の、というかパーティの共有財産は結構ある。
昨日の盗賊退治で盗賊たちの持ってたお金を没収、漁師さんたちから盗んだ額を返却し残った分を俺たちと【パラサの集い】のダイアスたちと分けて渡されたのだが特に中身も確認していなかった。
それを思い出してついさっき小袋の中身を確認して見たら驚きの金貨4枚入りである。
日本円にして約40万、ポンとくれたわけだ。
そしてそれを見て浮き足立つ俺とイオルに対してユーンさんは
「ふむ、【パラサの集い】と分けてこれですか、盗賊にしては溜め込んでいたようですね。」
と、クールに流されてしまった。
後でイオルに教えて貰ったがギルド職員って結構な高給取りらしい。
大元は国営な上に荒くれ者の冒険者を相手に仕事をしているわけだし当然といえばその通りだが。
それとは別にユキノシタの買取で銀貨22枚があるがこれは後で2人と相談して分けようと思うので今は計算に入れていない。
まぁというわけでお金はあるんだけど俺の武器1本のために使い切るわけにもいかない。
なので今回はユーンさんが選んだナイフとそれとは別に少し小型のナイフを俺とイオルの分で2本。そしてイオルが選んできた反りはないが長さがまばらで全体的に短い矢を20本を買うことにした。
買うものを決めてカウンターに行くと店主さんと話し込んでいたイオルが俺たちに気づいた。
「あ、買うもの決まった?」
「ええ、決まりました。あなたの分のナイフも私たちで決めましたがよかったですか?」
「うん、大丈夫だよ、ありがとー。それじゃあブライダさん、お会計お願いしまーす。」
イオルが店主(彼はブライダさんというらしい)に商品の会計を申し出る。なんかイオルは店主さんと話しているうちに仲良くなったらしい。
「おう、ナイフは3本で銀貨30枚。矢は20本で大銅貨20枚でいいぜ。」
全部で銀貨だと32枚、日本円にして3万2千円ってところ。
どうやら矢は本来の半分の値段にしてくれるようだ。
「わーい、ブライダさんありがとう! でも本当にいいの? 奥さんに怒られない?」
「ああ、どうせこのまま置いといてもまとめ買いの数合わせくらいでしか売れねえようなもんを持ってってくれるんだ。ウチのも文句は言わねえよ。」
在庫処分の意味もあるんだろうがそれでも安くしてくれるのはありがたい。
「じゃあえっと、これでお願いします。」
そう言って大銅貨3枚と大銅貨2枚を渡す。まだ少しこの世界の硬貨の使い分けに慣れない。
「おう確かに。矢は紐でひとまとめにするからちょっと待ってくれよな。」
「はい。あ、そういえば投擲に向いた武器とかって取り扱いはありませんか?」
結局、投擲に向きそうなものは見つからなかったので梱包をしてくれているうちに直接聞いてしまうことにした。
「あー、今ウチに置いてるので投げれるもんっつーと、そこの壁に掛けてある斧くらいだな。」
そう言って壁の一角を指す。見ると確かに斧が掛けられているのだがそれは両刃でかなり大きく、ユーンさんでは投げるどころか振り回すのでも厳しいのではないだろうかというサイズだ。
「あれはちょっと大きすぎる気が…」
「そうか? あれくらいのなら片手で持って振るやつもいるぞ。普段使いは一撃の威力もあるし、思い切り投げればオーガの頭でもかち割れるってんで今売れ筋の商品だ。自信を持っておすすめするぜ?」
「あ、いえ、投擲武器が欲しいのは俺ではなくて。」
チラリとユーンさんの方を見る。
「ん? こっちの姉さんが使うのか?」
「はい、私が欲しいのです。」
「あー、なるほどな。それじゃあの斧じゃいかんな。ちと待ってろ。」
そう言って立ち上がると店の奥に入っていく。
「何かあるのかなー?」
「どうでしょう? どちらにせよ予算内でないと買えませんし。」
「必要なものだしユーンさんが気に入って予算内だったら高くても買っていいからね。」
「よろしいのですか? 私は次は土曜日まで参加できないのですが。」
「いいよー。ユーンはギルドの仕事が休みの日だけ参加っていうのは私たちも理解して誘ったんだから。」
「うん、それにお金の心配もしなくていいよ。明日になったら依頼の報酬も入るし、オークの素材を売ったお金ももらえるからね。」
パーティのお金の使い方についてはここへ来る道すがら少し話した。
依頼の報酬はその依頼を受けた人たちで平等に分ける。その時、何割かをパーティの共有財産としてギルドに預ける。これはそのギルドで登録したギルドカードでのみ受けられるサービスらしい。ただし有料。手数料としていくらか払う必要がある。
だが俺たちにはユーンさんがいる。その引き出しや預け入れをギルド職員が自分の分をやる場合には手数料はかからないとのこと。
ちょっとユーンさんに負担かけすぎな気がするのだがこれを提案してくれたのもユーンさんだ。
本人曰く、使えるものは使うべきとのこと。ありがたいのでお言葉に甘えることにした。
さて、店主さんは何を持ってきてくれるのかな?




