討伐部位と素材の鑑定
冒険者ギルド受付。
「お母さん、依頼を達成してきたので処理をお願いします。」
ユーンさんはギルドの受付にいたナユさんに話しかけた。
「あら、ユーン。おかえりなさい。ちょっと待ってね。」
ナユさんが俺たちの受けた依頼の書類を探して持って来てくれる。
「お待たせ。それじゃ確認するわね。えっと、依頼の内容は野草の採取ね。無事に終わった?」
「はい、少し予定外のこともありましたけど問題なく終わりました。」
「そう? じゃああなた達からの報告はこれで完了ね。あとは依頼をしたマッシュさんが報告に来て依頼料を受け取ったら完了よ。それが確認され次第、ギルド側の手数料として2割を引いた残りをお渡しします。なんてこんな説明、ユーンには必要ないわよね。」
「もちろん理解しています。」
「よろしい。それで、予定外のことって何があったのかしら?」
「はい、少しだけ魔物と戦闘になりました。討伐部位を回収してきたので冒険者ランクの昇進の材料として鑑定をお願いします。」
町でやることその2の魔物の討伐部位と素材の鑑定を申し出る。
「あら、もう魔物と戦ったの? とりあえず見せて貰えるかしら?」
ユーンさんがまずゴブリン4匹からはぎ取った上顎の犬歯を合計8本カウンターに出す。
「ゴブリンの討伐部位ね。採取の途中で襲われたのかしら?」
それを見たナユさんは少し心配そうな顔をして聞いてくる。
「いえ、これは採取が終わったあとにパーティで魔物と戦えるかの練習として私たちの方から仕掛けました。もちろん思いつく限りの安全対策を話し合ってからです。」
「そうなの? じゃあ予定外のことっていうのは別のことね? 何があったのかしら?」
ここでユーンさんが少し声を落とす。
「はい、野草採取とゴブリンとの戦闘を終えて町に帰って来ている途中でオークを発見しました。」
「…町の近くでって話よね?」
ユーンさんに合わせてナユさんも声を落とす。
「そうです。それでそのオークですが既に獲物、成人の少し手前くらいの男性と10歳前後の女の子の2人組を見つけて追いかけていたところでした。」
「なんてこと…、警備隊には連絡しましたか?」
「驚かないで欲しいのですが、オークに追われている2人を発見し、話し合った結果、間に合わないと判断して助けに入りました。」
「っつ! なんて無茶なことを⁉︎」
ナユさん、驚きはしたものの声は小さいままという。流石に年季が違うようだ。
「緊急事態でしたから仕方ありません。ですが結果的にはなんとかなりました。」
「全員逃げ切れたのですか?」
「追われていた2人は逃がしました。この町にいるらしく明日にでもギルドを訪ねるように話をしたので会えると思います。それとオークですが、討伐しました。」
あ、ユーンさん、あの2人とそんな話してたんだ。それと討伐のところでナユさん固まってるよ?
「…討伐とは? あなたたちで倒したということですか?」
「はい、そうです。詳しい内容はここでは話せないので家に帰ってから話せる部分だけ話します。」
いや流石にその説明じゃお母さん納得しないんじゃ…
「………わかりました。」
へ? ナユさん納得したの? 今の説明でいいの⁉︎
「お母さん、ありがとうございます。」
「嘘を吐いているようには見えませんからね。でも家に帰ったらもうちょっとだけ詳しく教えてね? ユーンの初冒険の話、聞きたいもの。」
「ええ、もちろんです。私も話したいことがいっぱいありますから。」
仲が良いんだな。なんかユーンさんが敬語混じりの話し方してるから勝手に距離があるのかと思ってたけど余計な勘繰りだったか。
「ふふっ、楽しみにしてるわ。それでオークの討伐部位や素材は持って帰りましたね?」
「はい、これです。」
そう言ってカウンターの上に今度は袋ごと出す。
「確認します。…討伐部位の鼻、それに両耳と上下の犬歯4本に眼球が1つ。これだけですか?」
「唯一持って行った刃物がこれなので。」
コトリと磁石の力でボウガンの矢とぶつけ合ってひしゃげたナイフを置く。
「これは…。」
「すみません、ギルドの備品で借りた物でしたが壊してしまいました。もちろん弁償します。」
ユーンさんに謝らせてしまった。壊したの俺だから申し訳ない。
そこでチラッとナユさんと目が合う。とりあえず頭を下げた。
「…なるほどね。うん、わかった。ギルドの備品については壊したなら弁償はしてもらわないといけないわ。でもこの犬歯1個でお釣りが出ますね。これ全部買取で良いのね?」
「ええと、ジンさんそれでいいですか?」
「え、ああ、うん。任せます。」
いや正直相場が分からないからおまかせするしかない。でも犬歯1個でナイフ1本分のお釣りが出るって意外といい値段つくのかな?
「わかったわ。じゃあこれは預かりますね。鑑定終わるのに少し時間かかると思うけど待ってる?」
「ああ、いえ。これから少し買い物に行こうと話していて。なので後で取りに来ると思います。」
「わかったわ。あ、ユーン今日は晩ごはんどうするの?」
「そうですね、お昼に川で魚を獲って食べたのとさっき食堂で少しお菓子をもらったのでまだあまりお腹は空いていませんね。」
「せっかくだし買い物終わったら2人と一緒に食べて来たら? 仲間との交流も大事よ。」
「ふむ、それもそうですね。まぁ買い物が終わってから考えることにしますがとりあえず今日は私の分のご飯はいらないです。」
「わかったわ。じゃあ気をつけて行ってくるのよ。あんまり遅くなりすぎないようにね。」
「む、あまり子ども扱いはしないでください。」
「あら、親からすればいつまでも子どもよ。」
なんかいつのまにか家族の会話になってしまってる。
腕をイオルに突かれる。
「…2人とも仲良いでしょー」
「…ん、そうだね。」
「…ユーンはお母さん大好きで家に帰ったらべったりなの。」
「…マジか、想像つかないな。」
「…でしょ。ここだけの話、いまだにお母さんの膝の上で耳掃除してもらったりしてるの。想像したらかわいいでしょ?」
「…それはかわいいな。」
さっきの反省を踏まえてこっそりユーンさんから離れたところで教えてくれた。
…でもイオルも確かファザコンだよね?。




