通行許可
ユーンさんは真っ赤に染まったイオルのギルドカードを自分の鞄に入れてしまった。
「………。」
イオルは何か言いたそうだったが黙ってると言ったばかりなので大人しくしている。
「さて、これで納得して貰えましたね? 次はこちらの質問に答えてください。」
「ああ、いいぞ。」
「では、なぜ私たちが警備隊の方に見咎められるのでしょうか? 私たちが盗賊にでも見えましたか?」
ユーンさん、攻めるなぁ…。
「…アンタら警戒されたいのか、されたくないのかどっちなんだ?」
「されたくないに決まっています。これからギルドに行って依頼の報告を終わらせてから買い物に行く予定なので、コソコソ監視されるのも嫌ですから。私たちはやましい事は一切ありませんからね。」
「それで話し合おうってか。俺が言うのも何だが警備兵に話しかけられるってのは特に悪いことしてなくても余計な気を張って嫌なもんだろ?」
「無駄に疑われるよりも話し合った方がお互いのためになるでしょう? この方が効率的です。」
「そういうもんかね。で、盗賊の件、どこまで知ってんだ?」
「はい。一昨日、カルノ湖で漁師組合の金庫から大量の金貨が盗まれました。犯人は盗賊でリストの森周辺の避難指示が出ている村に住み着いており、次の日、まあ昨日ですね。依頼を受けて向かった冒険者の手によって討伐され、何人かは捕縛して警備隊に引き渡されました。警備が増やされた理由は町のすぐ側のカルノ湖まで盗賊の侵入を許してしまったから。こんなところですかね、最後のは予想ですが。」
一切の淀みなく答える。
「ああ、最後のも含めて合ってる。で、なんでそんなに詳しいんだ? 冒険者ってのはそこまで横の繋がりがあんのか?」
「ふむ、どうなんでしょう? …ここからは当事者が話した方が良いですね。ジンさん、イオル。お願いします。」
「ん? ああ、そうだね。じゃあ交代するよ。」
ここまでユーンさんに任せっきりだったので急に水を向けられて一瞬反応が遅れた。
「当事者?」
「ああ、昨日の盗賊退治は俺とイオルも参加してたんだ。」
「うん。」
「アンタら冒険者ランクGだろ? 盗賊討伐の依頼は受けれねぇ筈だ。」
「討伐任務はGランクじゃ受けれないね。俺たちが受けたのは盗賊の追跡と討伐任務を受けた冒険者の道案内だ。」
「本当か? 嘘ならすぐにバレるぞ?」
「そんなすぐバレる嘘吐かないよー。」
「なら討伐任務を受けた冒険者パーティを言えるか? それと捕縛した盗賊の数もだ。」
「ああ、討伐依頼を受けたのは【パラサの集い】だ。捕縛したのは6人。もうちょい詳しく言うと盗賊の下っ端4人と盗賊団の頭1人に盗賊たちに協力してた漁師1人だ。」
「うむ、合ってるな。【パラサの集い】からは他にも男女の同行者がいたことは聞いている。流石にGランクの冒険者とは思わなかったがな。」
「隊長! まだこいつらがその同行者とは限りません! それにGランク程度でオークを倒せるわけがない。」
「しつこいぞエンガー。冒険者ランクってのは別に強さを表すもんじゃねえ。大した実力が無くても何年も堅実に冒険者やってれば上がって行くし、逆に言えば王都で騎士団長やってるような奴が冒険者になってもしばらくはGランクなんだ。実際にオークの討伐部位や素材を持ってるじゃないか。それに報告にあった男女のパーティというのも合ってる。」
「ですが、どうやって討伐したのかを頑なに話さないじゃないですか!」
尚も食い下がるエンガー君。なんか恨みでも買ったのだろうか?
「討伐方法についてはしょうがないだろ。道具なり武器なり能力なり、彼ら冒険者にとっては飯の種だ。簡単に他人に話すわけがない。」
「しかしー」
「しつこいっつーの。つーかこれからオークの倒れてるとこに確認に行くんだぞ。よっぽど原型とどめてでもない限り戦い方の想像は付くんだよ。」
あ、警備隊長さんぶっちゃけた。
「アンタらもう通って良いぞ。ジュガル、今度こそ門まで送ってやってくれ。」
「はっ!」
「部下の人、すごい睨んでるんだが良いのか?」
「構わん、気にすんな。」
手をひらひらと振ってこれで話は終わりと言いたげにする警備隊長。
「変に監視とかつかないんならいいんじゃない? それより早く町入ろーよ。結構時間経っちゃったよー。」
「そうですね、行きましょう。では失礼します。」
「おう、引き止めて悪かったな。とりあえずアンタらの顔は覚えたから門通る時には手続き省いてやるよ。まあ俺がいる時だけだがな。」
「助かるよ。もう弓で狙われるのは勘弁して欲しいからな。」
「はは、言うねぇ。…弓兵の奴ら簡単に見つかりやがって、ちょっと扱いてやらねえとなぁ。」
「…で、ではご案内します! どうぞこちらへ!」
ジュガルさんが冷や汗を流してズンズン進む。
警備隊長さんが最後何か言っていたのが聞こえたがまあ俺たちには関係ないしな。
うん、弓兵の皆さんごめんね?
良いサブタイトルが出なかった…。
やっと町に帰り着きましたね。




