サルコス正門
適当に離れた岩場の上に放置していた籠を回収し、サルコスの町へ向かう。
遠目に町が見える辺りまで帰ってくると町の正門が何やら騒がしい。
「ふむ、何かあったのでしょうか。警備兵の数も普段より多いですし。」
「そうなの?」
「はい。金属の鎧を着ている人たちが見えますか? 冒険者はあまり重いものを装備に選ぶのを避けるので革鎧が多いのですが警備兵はそうそう出歩くことはないので防御力の高い金属鎧を着けるのです。普段でしたらもう少し町に入る人が多い時間帯でも外に出ているのは6人ほどです。ですが今は見える限りで11人もいます。それに皆さん武装済みです。」
「あー、確かに、みんな槍とか剣とか持ってるな」
2人と話しながら歩いて行くと警備兵も俺たちに気づいたようで4人の男がガチャガチャと金属音を鳴らしながらこちらにやってくる。
「失礼、あんたら行商人か? 護衛はどうした?」
「いえ、まだ新米ですが冒険者です。この通りこの町で登録したギルドカードもあります。」
話しかけてきた警備兵の男にユーンさんがギルドカードを見せる。
「あ、ああ、冒険者だったか。若い女の子が2人もいるもんだから冒険者とは思わなくてな。すまない。」
話していた男が頭を下げると他の3人もそれに倣う。
「いえ、大丈夫です。それより警備兵の数が多いようですが何かあったのですか?」
「ん、いや、申し訳ないが警備の仕事に関係するからあんま話せねえんだ。」
警備兵の男はばつが悪そうな顔で笑う。
「そうですか、それならば仕方ありませんね。町には入れるのですか?」
「それは問題ない。だが一応他の2人も身分の証明が出来るものを見せてくれ。」
イオルと目配せを送り合い、言われた通りに俺とイオルもギルドカードを提示する。
「よ、よし、確かに確認した。全員がこの町所属のGランク冒険者だな。」
イオルと同時にビシッという効果音が聞こえるような勢いでギルドカードを見せつけた。警備兵の人は少したじろいだようにしながらもカードの確認をしてくれる。
「…何をしているのですか。ジンさんまでイオルと一緒になって遊ばないで下さい。」
「ははは、悪いな。」
「えへへー、ジンさん私がこれやってみたいって言ってたの覚えててくれたんだねー」
呆れるユーンさんを置いて上機嫌の俺とイオル。
「…はぁ、せめてもう少し冒険者ランクを上げるなりしてやらないとイオルのよく言うカッコ良さは出ないのではないですか?」
「えー? そうかなぁ?」
うん、乗って置いて何だけど俺もそう思う。さすがにGランクじゃドヤれないよなぁ。
「よくわからないが身分の確認は出来たからもう町に入ってもいいぞ。お前、この人たちと門まで行って身分証明ができとことを伝えてやってくれ。」
「はっ、了解しました。」
後ろに控えていた内の1人が正門まで送ってくれるらしい。
「ありがとうございます。」
「おう。あーそれとな、ついさっき回ってきた情報なんだが町の近くにはぐれオークが出たらしいんだ。低ランク冒険者じゃまだ危険だから討伐されるまでは休みにして町でいたほうがいいぜ。」
「ふむ。その情報元ですが10歳くらいの女の子を連れた男性ではありませんでしたか?」
「おっ? 確かにそんな感じの奴からの話らしいがなんで今、外から帰ってきたアンタらが知ってる? …まさかとは思うが虚言癖で有名な奴とかじゃないよな?」
警備兵の人たちが嫌そうに顔を顰ませて聞いてくる。
「いえ、考えの浅い行動をする方だとは思いましたが虚言癖があるかは知りません。」
「え、ユーン、なんでそんな辛辣なの⁉︎ 初対面だったんだよね⁉︎」
「ええ、まあそれは置いておきますがオークはいましたよ。ですがもう討伐したので問題ありません。」
「は? 誰がってまさかアンタらがか?」
「はい、私たちで倒しました。証拠もこちらに」
そう言ってオークの討伐部位である鼻を取り出して警備兵たちに見せた。




