VSゴブリン
ゴブリンたちは川に水を飲みに来たようで今も4匹のうち2匹が川に直接頭を突っ込んでいる。二足歩行しているが手で掬って飲むなどと言うことはないのだろう。
残りの2匹は見張りのつもりかギャイギャイと言いながら周囲を見回すような動きをしている。
イオルが狙ったのは見張りの片割れだった。
見張りのゴブリンたちが別の方を見た瞬間ボウガンの引き金を引く。50m以上離れていると思うのだが放たれた矢は見張りゴブリンの頭に命中し、射られたゴブリンは声も出さずに崩れ落ちた。
「ギャイ⁉︎」
急に倒れた相方に驚いたような声を上げる見張りゴブリン。
一方、見事に矢を命中させたイオルはすぐに岩の陰に引っ込み、次の矢を撃つために弦を引き始める。
イオルのボウガンは直接弦を掴んで引くのではなくボウガンに付いているハンドルをぐるぐると回すことで少しずつ弦を引くことができる。そのため比較的力のない女性でも使えるが次弾装填まで少し時間がかかる。
川に頭を突っ込んで水を飲んでいた残り2匹のゴブリンも見張りのゴブリンが騒いだため仲間がやられたことに気づく。
しかし何にどこからやられたのかがわかっていないようでしきりに声を出しながら周囲を見回し威嚇する。
その間に2発目の装填を終えたイオルはボウガンを構え直し、狙いを定めて撃つ。
2射目は警戒して周囲を見回しているゴブリンに確実に当てるためか頭ではなく胴体を狙い、これも見事に命中。1匹のゴブリンの胸あたりに突き刺さる。
「ギャウゥゥ!!」
今度は即死というわけにはいかなかったようで胸に矢が突き刺さったゴブリンはその場に倒れ、転げ回る。
イオルはまたすぐ岩陰に引っ込んで次弾装填のためにボウガンを引き始めるが流石にバレた。
攻撃された方角がわかった残りのゴブリンがこちらに向かって来る!
こちらに向かって来るゴブリンだがやっぱり結構早い。
イオルは向かって来る間に撃てるかもと言っていたがおそらく間に合わないだろう。つまりは前衛の出番だ。
棒を携えてイオルたちとは別の岩陰から姿を見せる。ゴブリンたちに気づかれないように俺だけ少し近づいて待機していたのだ。
「ギャオ!」
「ギィィ!!」
目の前に出てきた俺が仲間の仇と思ったか、それともただ獲物を見つけたと思ったか、ゴブリンたちは俺に目標を変えて襲いかかって来る。
まずはこれだ。
(水バケツ!)
向かって来るゴブリンの1匹に水魔法を右手から叩きつけるように撃つ。
ちなみに声には出さない。だって水バケツってあんまりかっこよくないし…。便利なんだけどね?
「ギャボッ⁉︎」
水魔法に当たったゴブリンは自分が走って来ていた分の運動エネルギーもあってかなりの衝撃を受けたはず。
しかしまだ距離も離れていたし異世界初日にゴブリンを倒した時と違い【魔法強化】も使えないためダメージが低かったようで多少仰け反りはしたもののまたこちらに向けて走り出した。
だけどこれは想定内。
左手に持っていた棒を右手に持ち替える。そして5m程まで近づいて来たゴブリンに左手を向け準備していた魔法を放つ。
(火炎放射!)
左手から放たれた炎が先を走って来たゴブリンに降りかかる。
「ギィ⁉︎」
が、少しだけ炎に突っ込んだゴブリンはすぐに後ろに下がり俺から距離をとった。
遅れて来たもう1匹も様子を見るようにして近づいてこない。
こいつら昨日の盗賊より賢いのでは? などと思ったのだが完全に俺だけに意識を向けてしまう辺り、やはり魔物ということか。
「ギッ…ゴ…⁉︎」
見れば水魔法を当てて遅れて来た方のゴブリンの喉を矢が貫通していた。
もちろん、俺が足止めしている間に3射目の準備を終えたイオルが撃ったのだ。
それを確認した俺は火魔法を解除する。
「ギャ!」
ここぞとばかりに飛びかかって来るゴブリン。
ゴブリンは最弱の魔物と呼ばれるが群れでいることが多く、囲まれてしまうとこちらがパーティを組んでいてもやられてしまうことがあるという。
だが1匹だけなら大して強くはないのだ。
そこからは大した時間もかからずに最後のゴブリンを戦闘不能にさせた。
久しぶりの戦闘回でした。
まあ戦闘っていうか狩りかな。




