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曜日替わり能力  作者: 向風
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狙撃の腕前

「さて、次はどうしようかな。」

「まだ何か確認したいことあるの?」

イオルが首を傾げて聞いてくる。

「うん、イオルの能力を使って魔物を探して貰おうかどうか迷ってて。」

「え?さっきからずっと超音波は飛ばしてるよ?」

「ああ、うん、別に疑ってるわけじゃないよ。もし見つけたら教えてくれると思ってるし。そうじゃなくてこっちから探しに行くのはどうかなと思ってさ。」

「そりゃあ歩きながらでも超音波は使えると思うけど…。」

「もしかして魔物と戦うのですか?」

「戦うっていうか狩りって言う方が正しいと思うけどね。これも実験の続きかな。イオルの能力の探査範囲の確認とか見つけた魔物を遠距離から仕留められるかとかだね。」

「なるほど、暗殺者アサシンね!」

遠距離攻撃の話をするとイオルのテンションが上がった。

暗殺者アサシンって何?何の話?」

効き慣れない言葉を発して急にテンションの上がったイオルに訝しげな目をするユーンさん。

「あー、昨日イオルとパーティをやっていく上で魔物の戦闘の話になってさ、敵に全く気付かれないまま一撃で倒したり、仲間のピンチを影からの狙撃で救うのってカッコいいよなって話をしたんだ。それで前者を暗殺者アサシン、後者を支援者サポーターって言うんだよって教えたんだ。」

「な、なるほど、暗殺者アサシンに後者を支援者サポーターですか。…何というかイオルが好きそうな響きですね。ジンさんの故郷の言葉ですか?」

「うん、かなり気に入ってくれたみたい。故郷の言葉って言うか外国語だけども。」

「他国の言葉まで知っているとは驚きです。広い知識をお持ちなのですね。」

とても驚いたように言うユーンさん。いや、他国どころか世界が違うんだけど…。まあいいや。

「まあ、その暗殺者アサシンの練習をして貰おうかと思うんだけどその前にイオルのボウガンの腕前を見ておきたいかな。」

正直いきなり実践は怖いし。

「いいよー、何か的にして撃てばいいの?」

「そうだね。じゃあその辺の流木でも」

と言いかけたのだが

「ジンさん、それは流石にイオルを侮りすぎですよ。」

ユーンさんに止められてしまった。

「え?そ、そう?」

「はい。」

「そうだよー。」

「えっと、ごめんなさい。」

とりあえず謝っとく。

「いえ、謝ることではないのですが…ただイオルの射撃の腕はなかなかのものですから。」

「ふっふっふー。」 

自信満々の2人。

「えっと、じゃあ的は」

「大丈夫です、ちょうどよくここは川ですからね。ではイオル、ジンさんに見せてあげてください。」

「うん、任せて!」

イオルがボウガンについているハンドルのようなものを回し始めると少しずつ弦が引かれていく。

たっぷり20秒ほどして弦が引かれたボウガンにロープ付きの矢を乗せ川を目掛けて構える。

少しの静寂。そしてー

「!!」

発射。

撃ち出された矢はロープを伸ばしながら川の真ん中辺りまで飛び着水する。

「うん、当たった。」

「さすがです。」

…何に?

俺の疑問に応えるようにイオルは川に近づいてからロープを引っ張り始めた。とりあえず手伝うことにする。

すると、

「…マジか。」

「大したものでしょう?」

「ドヤァ…」

ロープを手繰り寄せ川から引き上げた矢は30センチほどの大きさの魚を仕留めていた。

「え、これ本当に狙って撃ったの?まぐれじゃなくて?」

「そう思われても仕方ないですね。ですがイオルは狙って撃ってますよ。私はこれまでに何度も見せてもらったことがありますから。」

「ドヤァ…」

イオルがボウガンを撃った場所と矢が着水した辺りを交互に見る。目測だが50m近く離れているんじゃないだろうか。

「こんなに離れててしかも川の中を泳いでる魚を撃ち抜くって…。」

「すごいでしょう?ちなみに頭に当たっていますがこれも狙っているんですよ。身を傷つけたら食べられる部分が減るかららしいですが。」

「ドヤァ…」

「すごいな…。落ちてる流木を狙えなんて言いかけたことが申し訳なくなる。」

「イオルは昔からこれだけは凄かったんです。狙いに関しては先ほど聞いたイオルの能力によるものかもしれませんが実際に撃って当てて見せるのは完全に実力ですね。」

「ドヤァ…」

「そうか、超音波で魚の位置を…。いや位置がわかったところでこの距離で水の抵抗もあるのに正確に撃ち抜くなんて俺には無理だ。」

「カルノ湖の漁師さんたちもボウガンでの漁ではイオルには敵わないと言っていますね。あとイオルそろそろうるさいです。主に態度が」

「ドヤァ…って態度がうるさいってなに⁉︎」

ドヤ顔決め込んでたイオルだったがついにユーンさんから苦情が入った。

「全く…。まあこんなですがボウガンの腕だけは確かなので安心してください。」

「こんなって何よもう。まあいいけどさー」

「ははは。あ、そうだ。この魚どうしよう?」

今しがたイオルが仕留めた魚を持って聞く。

「そうですね。せっかくですし持って帰りますか?ああ、でも魔物を探すんでしたね。どうしましょう?」

「んー、よかったらジンさん焼いて食べる?まだお昼ご飯食べてないでしょ?」

「あ、そういえばまだ食べてなかった。」

せっかく宿の女将さんがお昼を持たせてくれたのに忘れるとこだった。

「お昼ご飯ですか?」

「そう、ジンさんの故郷だと朝昼晩で3回食べるのが普通だったんだって。」

「ふむ、貴族の方でもないのに珍しいですね。あっ、そういえばジンさん姓を…」

「俺の地元はみんな姓を持ってるけど貴族じゃないから気にしないで。」

この話題になるとすぐ出てくる貴族疑惑をキャンセルする。

「そ、そうですか、すみません。」

「ユーン、せっかくだし私たちも食べようよ。あと1匹獲るから半分こしよー。」

「あ、いいですね。では私は魚の下処理をしますね。」

ユーンさんは鞄からナイフを取り出すと手早く捌き始めた。

「おお、慣れてるなぁ。焼くんだよね?それじゃあ俺は流木拾って火でもつけとこうか。」

「はい、お願いします。」

というわけで俺たちは遅めのお昼ご飯の準備に取り掛かった。




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