ランク1の魔法
俺の能力についての考察をひとまず終えたので次の話をする。
「それじゃあ能力はここまでにして次は魔法かな。ユーンさんの魔法見せてもらってもいい?」
「ええ、いいですよ。」
他人の使う魔法を見るのは初めてなので楽しみだ。
「ではランク1の魔法というものがどの程度かお見せしましょう。指先を見ていてください。」
そう言ってユーンさんは人差し指を立てて見せる。
「ではよく見ていてくださいね。」
そう言われたので指先を集中して見ているとパチッっと何かが見えた気がした。
「今のが火魔法です。」
「えっ?これだけ?」
「はい、ランク1の火魔法は一瞬火花を散らすくらいしかできませんから。」
「な、なるほど。」
「では次は水魔法ですね。こちらはまだわかりやすいですよ。」
そういうと肩から下げた鞄から木のコップを取り出した。
「こちらのコップをご覧ください。中には何も入っていませんね?」
コップの中が見えるようにこちらに向けてくれる。
「うん。」
「ではコップに手をかざしまして…。はい、ではご覧ください。」
そう言って見せてくれたコップには数粒の水滴が付いていた。
「……。」
「今、たったこれだけ?と思われましたね?」
「ギクッ⁉︎」
「まあそれも仕方ありませんね。ですがランク1の魔法とはこの程度なのです。ではもう少しだけお待ちください。」
ユーンさんはまたコップの上に手をかざしたのでしばらく待つ。
「………。こんなものでしょうか、ではどうぞ。」
そうして渡されたコップには半分ほど水が入っていた。
「あ、今度はちゃんと、あ、いや別にさっきのがどうのと言うことじゃないんだけど。」
「ふふ、お気になさらず。ですがランク1の水魔法ではそれだけの水を出すのに1分以上かかってしまうのです。」
「なるほど。確かにこれは使い勝手が悪いね。」
「でしょう?それに私はズルをしてこれですから。」
ユーンさんがにこりと笑って言う。
「ズル?」
「まあズルと言っても自分の能力ですけどね。本来ランク1の水魔法ではいくつかの水滴をつけるくらいのことがせいぜいです。ですので今くらいの水を出すためには水魔法を何度も使わなければなりません。」
「ああ、それで時間がかかったのか。」
「ちなみにですがそのコップ半分の水には100回分の水魔法を使いました。」
「100回⁉︎」
思っていたよりはるかに多い回数の魔法を使っていたようだ。
「魔法を使った時の気力の減少は魔法ランクが違ってもあまり変わらないとのことなので本来なら相当な疲労だと思います。私は能力のおかげで魔法を連発してもほとんど疲れませんが。」
「水魔法を連続100回か、…多分俺には無理だ。」
【低燃費】やばいな。
「火魔法も枯草などを集めてから連発すれば火はつきます。まあ普通の人なら火打ち石を使った方が疲れないと思いますが。風魔法も使ってみましょうか?」
「一応お願い。」
「わかりました。イオル、ちょっとこちらへ。」
「ん、何ー?」
俺とユーンさんの話を聞きながら周囲を警戒してくれていたイオルを呼び寄せる。
「そのまま立っていてくださいね。」
そう言ってイオルの顔に向けて手のひらを向ける。
「ではいきます。」
「…お?」
するとイオルの長い髪がふわりとそよいだ。
「こんな感じですね。イオル、どうでしたか?」
「ちょっと気持ちいい風だね。ユーン、もうちょっとやってー」
「はいはい。」
そう言うとユーンさんはまた風魔法を連続して使う。
「おお〜、いい風だね〜」
気持ちよさそうに目を細めるイオル。
何度もふわふわとイオルの髪が揺れる。うちわで優しく扇いでもらっているかのようだ。
「風魔法はこんなものですね。あとは回復魔法ですが怪我にはほとんど効きませんね。何度も使えば筋肉痛や肩こりに少し効くので重宝しますが。」
「なるほどね、ありがとう、参考になったよ。」
【低燃費】のおかげで気にせずに連続使用できるユーンさんだからこそ使えているようだけど普通の人からすればランク1の魔法はほとんど使い道がなさそうだと言うことがわかった。
というか【低燃費】チートすぎるだろ。その上で能力もう一個あるとかユーンさんヤバいよな。




