ブラックジャック
ユーンさんとイオルに水曜日の能力【磁石化】をお披露目した。
「…なるほど、【磁石化】ですか。確かに室内、というより冒険者ギルドで使うのは問題がありそうですね。」
「そう?磁石なんて町でも売ってるし問題ないんじゃないの?」
「いや、周りの鉄製品が飛んできたら危ないだろ?剣とかも吸い寄せちゃうぞ。」
「え、怖っ。そんな強力な磁石になれるの?」
「うん、多分。」
どのくらいまで磁力高めれるかは試して見ないと分からないけど慣れるまでは怖い。
「はい、それもありますが魔道具の種類によっては磁力で狂うものや壊れてしまうものもあるのです。なので多くの魔道具を所持しているギルドでの使用はやめておいた方がいいかと」
「あー確かに。」
精密機械の側に磁石とか置いちゃダメだもんな。
「うーん、鉄を引きつけたり魔道具を壊しちゃう能力かー。…使い所が難しそうな能力だね?」
「そうだなぁ、今のところ河原で砂鉄集めるくらいしか使い道思いつかないし。」
「ちなみに今まではどうだったの?」
イオルが思いついたように聞いてくる。
「今までって?」
「え?だから今までこういう事に使えたーとかないのかなって。」
「ジンさんの人生の中で【磁石化】が使えた場面、という事ですね。」
「…あー、そういうことね。」
どうしよう。
(2人に転生した話はしてないからなぁ。『俺、この世界だとまだ生後3日だから能力1週目なんだよねー』とは言えないし。)
「あーうん、家具の隙間に落ちた小物に鉄が使われてたら取れたとかそんくらい?」
「わー、地味。」
「…確かに便利ではありそうですが。」
(っく、咄嗟に思いついた便利な磁石の使い方だったのに不評か。いや地味だとは思うけどさ…。)
何とも言えない空気が流れる。
「……えっと、そういえばさっきの砂鉄?って何かに使えるのかな?」
「うーん、砂鉄というだけあって鉄の材料になりますね。まあ鉄は鉄鉱石という石からも取れるのでそちらが主流ですが。ただ買い取ってくれるところはあると思いますよ。」
「あと俺の知ってるとこだとブラックジャックって言う武器とかかな。あとアルミがあればテルミット爆弾もできるだろうけど。」
昔、厨二病の嗜みとして色々な武器などを調べた時に知ったことを思い出す。
「ブラックジャック?なんだかかっこいい名前ね。」
「てるみっと?…ジンさんはたまに知らない言葉を話しますね?」
「ははは、あんまり気にしないで。それより砂鉄、売れるんなら集めていく?」
どれくらいの値段で売れるのかは分からないけど【磁石化】の数少ない活躍の場だと思ったのだが。
「いえ、今日はいいでしょう。持ち運ぶためのビンなどもありませんからね。」
「来週の水曜日も【磁石化】使えるんでしょ?だったら次でもいいんじゃ無いかな。それまでに砂鉄を買い取ってくれるとこ探しておいたらいいと思うよ。」
なるほど、それもそうか。
「そうだね、何も無理に今やることもないか。」
それに1週間経てば【磁石化】の使い道も思いつくかもしれない。
何というか、とりあえず能力を使わないとって思ってたところがあったかもしれない。
まだまだこの世界での生活は始まったばかり。何も焦る必要はないのだ。
ブラックジャックとは皮や布の中に砂鉄などを詰め込んで作られる殴打武器です。
袋の中に硬貨を詰め込んで振り回すタイプもありますね。
証拠隠滅のしやすさなどからミステリー小説では使われることも多かったりします。




