マッチポンプ
ゴブリンとの戦いを終え、周囲の確認しながら来た道を戻る。
「お、ここだな」
最初の地点、俺がこの世界で目覚めた場所に着いた。
目印はもちろん俺が魔法を打ち込んで抉れてしまい、回復魔法をかけて治したいこの木だ。
「こいつは始まりの木、いや、自分の失態誤魔化したものにそんな綺麗な名前つけるのは無いな」
自業自得はなんか違うし、ブーメランでも無いしなぁ
「うん、マッチポンプの木、これで行こう!」
木からすれば不名誉な名前を付けられたものだ。
「さて、次はさっきと反対に進んでみるかな」
一応何も考えてないわけでは無い。さっき進んだ方で魔物に遭遇したということはあっちは森の奥である可能性が高い、と思う。ので、次は逆に進めば森を抜けれるんじゃ無いかなという考えである。
「希望的観測が強すぎるけど現状他に手がかりもないからね」
自分に言い訳する様にしながら歩いていく。手にはさっきの戦闘の戦利品であるなんかいい感じの木の棒を持っている。
「いい歳して木の棒持って町に入るとか大丈夫かね?というかこの世界のお金もないんだよねー」
ギルドの登録にはお金入らないって女神様から聞いてるから大丈夫だけど寝床や食事のためには稼がないといけない。
そんなことを考えながらどんどん歩く。
「ちょっと明るくなってきた?お、道だ!」
どうやらうまく森を抜けられたようで、道らしきところに出れたらしい。
「よしよし、それで近くに町があるはず…お、あれか」
森を出て左、周囲を柵で囲われた町を見つけた。
「んー町って言うか、村?」
勝手なイメージで壁で覆われてる町を想像していた。
「魔物が出る森も近いのにあんな柵で大丈夫なのかね?行ってみればわかるか、っと一応この場所覚えとこう。なんか目印ないかなー?」
また来るかどうかはわからないが一応覚えておきたい。
「あー、この石でいいか」
その辺に落ちてた漬物石サイズの石を森から出てきたとこの地面に置いておく。
何かの弾みで動いてしまうこともあるかもしれないがまあその時は仕方ない。
ただ何となくの行動でここに帰ってくることはほぼないと思うからだ。
「よし、今度こそ出発!」
短めです。