持て余し気味の水曜日の能力
「それではこれより実験を始めます。」
「「実験?」」
「そう、実験。イオルは悪いんだけど魔物の警戒を引き続きお願いね。」
「うん、それは任せて。」
イオルが力強く頷いてくれる。
「それで何を実験されるのですか?」
「能力と魔法だね。いくつか試して見たいことがあるんだ。」
「そっか、外で能力の説明をするって言ってたね。」
「そういえばランク1の魔法がどの程度かも知りたいと言われていましたね。」
「そうそう、まあまずは俺の能力からかな。ちょっと待っててね。」
そう言って2人から離れるように川の方まで行きしゃがみこむ。
「さて、どうなるかな?」
右の手のひらを川と地面の間くらいにかざす。
(能力の指定は右の手の手首まで。効果がどれくらいか分からないから弱めに設定っと。よし、発動!)
能力を発動するとすぐに地面から黒いものが右手にくっついてきた。
「よしよし、これくらいなら大したことないな。」
そのまま手首を回しながら水平に動かすとどんどん黒いものが手に吸い付く。しばらくすると右手は黒いもので覆われてしまった。
「結構あるもんだなぁ。」
「あの、ジンさん?何をされて…。な、なんですかそれ⁉︎」
「うぇ⁉︎なにそれ!怖い怖い!!」
俺の手を見たユーンさんとイオルが気味悪そうに驚く。
「あーごめんごめん、もう除けるね。」
そう言って能力を解除すると黒いもの、砂鉄は地面に落ちた。
「な、何だったのですか?」
「鳥肌立ったよー。」
「ごめんって、ただの砂鉄だからそんな怖がらなくても。」
「砂鉄、ですか?」
「何それ?」
「あれ?砂鉄知らない?」
「いえ、川などで取れる砂状の鉄ということは知っています。」
「私はわかんない…。」
ユーンさんは知っているようだ。
「まあ俺もユーンさんが説明したことくらいしか知らないけどね。」
「能力を使われたんですよね?では砂鉄を集める能力ということですか?」
「うーん、ちょっと違うかな。イオル、ボウガンちょっと借りていい?」
「うん?いいけど。」
「ありがとう。」
イオルが差し出したボウガンを乗せたその手に俺の手をかざして能力を発動させる。
するとボウガンが浮き上がり俺の手に吸い付いた。
「え⁉︎」
「今、浮き上がりませんでしたか?」
「うん。イオルのボウガンにも鉄が使われてるからね」
「鉄を吸い付ける能力…、磁石のようなものですか?」
「うん、正解。」
【磁石化】
これが水曜日の能力。
体全部、または一部を磁石化することができるという能力だ。
磁力はある程度変化できて砂鉄はほんのちょっぴりでも吸い付いたが重量のあるボウガンはそれなりに強めにしないと吸い付かなかった。
これは昨日と同じく俺の案を採用したのだが女神様はそんなのでいいんですかとしきりに聞いてきた。
天使様は自分の案が採用されないので拗ねてたな。
磁力を使った能力っていうのは俺が読んでいた漫画やラノベには結構登場していて使ってみたいと思っていたのだがいざ使おうと思ったら結構危ないのでは?と気づいた。
だって吸い寄せられる力が働いたまま鉄製のものが飛んで来ることになる。めっちゃ怖い。
「あ、ギルドカード見る?」
「はい。」
「見る見るー」
ジン シラギ 23歳
登録ギルド サルコス
冒険者ランク G
能力 【磁石化】
魔法ランク 4
「【磁石化】ですか。」
「体が磁石になるの?」
「そう、体全体でも部分的にでも出来るよ。」
「聞いたことのない能力ですね。」
「うーん、でも何かに使えるのかな?」
「そこなんだよなぁ…。」
いや使って見たかっただけで入れたもんだから今のところ砂鉄集めるくらいしか思いついてない。
それこそ元の世界みたいに建物とかにも鉄が使われてたりすれば足を磁石にして壁歩きとかできたかもだけどこの世界の建物レンガとか木で出来てるし。
「俺もあんまり思いついてないから2人も何か使い道あったら考えてくれると助かります。」
自分で能力を選んだはずなのに持て余している男、ジン シラギです。よろしくお願いします。
電気系なら使い道は多そうだけど磁石単体って困るよね。




