料理長からの依頼
ギルドの食堂から依頼が出ているとのことで話を聞きにやって来た。
「いらっしゃいませ。あら、昨日のお兄さん。今日もお昼を食べに来てくれたのかしら」
食堂に入ると昨日の昼に来たときに注文を受けてくれた店員さんが出てきてくれた。
「こんにちは。今日はお昼ご飯じゃなくてさっき出されたという依頼の件で来ました。」
「ああ、そうでしたか。ではちょっとお待ちくださいね。」
そう言って厨房に引っ込む。しばらくするとコック帽を被った中年の男性を連れて帰ってきた。
「もう依頼を受けてくれる人が見つかったんだって?って、ユーンちゃん?」
「え?ユーンさん?今日お休みじゃなかったっけ?」
「料理長、タマさん、こんにちは。今日は冒険者として依頼を受けに来ました。」
「冒険者?え、まさかギルドの仕事辞めたのかい⁉︎」
「うっそ⁉︎ユーンさんいないと日曜日回らないよ!どうしよう⁉︎」
急に慌て出す料理長とタマさん。
「いえ、辞めてませんよ。ギルドの仕事がお休みの日だけ冒険者として依頼を受けるという話です。もちろん食堂の仕事も続けますよ。」
「よ、よかった〜。」
「でも君は大丈夫なのかい?休む日が無くなってしまうんじゃ。」
「問題ないと思いますよ。体力には自信がありますから。」
「うーん、確かに君が疲れたなんて言っているところは見たことがないけど頑張りすぎてもいけないよ??」
「そうよー、いくら若いって言っても無理はダメだからね。」
「ご心配ありがとうございます。慣らしながらやっていくつもりなので安心してください。」
「そうかい?ならいいんだけどね。」
「料理長、そういうわけなので依頼の内容を教えてくれますか?」
「そうか、依頼を受けに来てくれたんだったね。では改めまして、私はこのギルドの食堂で料理長を務めているマッシュと言います。今日は私の出した依頼を受けに来てくれたとのことで感謝します。」
「冒険者のジンです。」
「同じくイオルです。」
「せっかくなので私も、ユーンです。」
自己紹介を終えたので依頼内容を聞くことする。
「それでは依頼の内容なのですがユキノシタという野草を採ってきて欲しいのです。」
「ユキノシタ?」
「川の近くなど湿っていて涼しい場所に生えている野草ですね。ちょうど今の時期が旬のはずです。」
ユーンさんが説明してくれた。
「ユーンちゃんが知ってるなら話が早い。知人からユキノシタの天ぷらが食べたいと頼まれてしまったんだ。そんなに急ぎではないんだがお願いできないかな?」
「量はどれくらい必要ですか?」
「うーん、そうだね。必要な量はそんなに無いんだけどたくさんあったら食堂の方でも出せるからあるだけ買い取らせてもらうよ。依頼料は1人銀貨3枚と買取分は1㎏ごとに銀貨1枚でどうだろう?」
どうなんだろう?依頼料の相場はわからないし、買取は銀貨1枚1000円とすると1gで1円ってとこか。
「どう思う?」
「いいんじゃないかな。全員に銀貨3枚なら採取依頼としては妥当な金額だと思うよ。」
「そうですね。依頼料はギルドの方に2割払わなければなりませんが買取は冒険者の総取りなので結果次第ではかなりの利が得られると思います。」
イオルもユーンさんも乗り気みたいだ。
「じゃあこの依頼を受けるのでいいかな?」
「いいよー。」
「はい、いいと思います。」
俺はマッシュさんに向き直り依頼を受注すると伝える。
「2人も了承してくれたので依頼を受けようと思います。」
「そうか、助かるよ。今の時期ならカルノ湖から続く川の近くに群生していると思うからね。」
「はい、わかりました。」
イオルとユーンさんと3人でこれからの流れを確認する。
「ジンさん、そろそろ依頼書もできている頃だと思いますからギルドの受付で受注したことを伝えてから向かいましょう。もしかしたら探すのに手間取るかも知れませんし早く行くに越したことはありません。」
「あ、私1回帰って武器持ってくる。」
「そうですね。では私とジンさんは依頼の受注をしておきましょう。」
武器であるボウガンを取りに行くイオルを見送って受付に向かう。
「そういえば昨日の俺が受けたホイルさんの依頼ってもう無効処理終わったのかな?」
「どうでしょうか、まだ終わっていないかも知れませんね。まあ今日の依頼は私が受けたらいいでしょう。今日を除くと私は土曜日まで冒険者活動はできませんから水曜と土曜は私が依頼を受けた方が効率的だと思います。」
「ああ、なるほど。」
1人が同時に受けられる依頼は1つだけ。依頼の成功、失敗に関係なくギルド側と依頼者の処理が終わらない限り新たな依頼は受けられない。
受付に来るとナユさんがいた。
「お母さん、さっきの依頼受けることにしたから処理をお願いします。」
「あら、ユーン。わかったわ。あなたが受けるのでいいのね?」
「はい。あ、それと背負い籠を3つ借りたいのでそれもお願いします。」
「はいはい、それじゃ準備してくるからここに名前を書いておいてね。」
「わかりました。」
「ユーンさん、背負い籠って?」
「そのままの意味ですよ。まさかユキノシタを腕いっぱいに抱えて帰ってくるわけにもいきませんからね。ギルドの備品で借りられるので利用しない手はありません。」
「そうか、その辺考えてなかったな。」
「いえ、ギルド職員なのでたまたま知っているだけですから。…記入終わりました。ではお母さんが背負い籠を持ってきてくれてイオルが戻ってき次第ユキノシタを採りにいきましょう。」
「うん、そうしよう。」




