ご挨拶
イオルの父、マラムさんにこれからイオルとパーティを組んでやっていく報告と挨拶にやってきた。
「イオルを寄越せだと⁉︎舐めてんのか?あぁ?」
ものすごい剣幕で掴みかかってくる。
「まあまあ、落ち着いて話し合いましょう。」
「何が落ち着けだ!誰がテメエなんぞにイオルをやるか!!」
「マラムさんは俺の何が気に入らないんですか?」
「何が…だと?」
「ホイルさんの仲間かも知れなかったことですか?。それとも盗賊の拠点へイオルを連れて行ったことですか?あとはさっきの娘さんを俺にください発言ですか?」
「全部に決まってんだろうが!」
胸ぐらを掴み今にも殴りかかろうと拳を握る。
「じゃあ一つずつ話し合いましょう。納得いかなかったら殴ってくれて構いませんよ。さっきも逃げなかったでしょう?」
ここに帰って来た時に二つ目の理由で殴られたがその時逃げたりはしなかった。
「…いいだろう、聞かせてみろ。俺を納得させられるんならな。」
「ありがとうございます。」
(よし、とりあえず話は聞いてくれるみたいで助かった。流石に娘さんを俺にくださいはまずかったかもな。でもこのシチュエーションだと言うよね?ほら、人の怒りって数秒しか持たないって言うし?話してる途中で再燃するより最初に火に油注いどいてクールタイム作る必要があったんだよ多分。)
よくわからない言い訳をしながらマラムさんへ話し始める。
「まずホイルさんの仲間かも知れなかった件、これは盗賊の拠点への案内、および捕縛により無実だと証明できると思います。」
「…テメェが仲間を売った可能性もあるだろうが。現に盗賊の拠点までの道を知ってた。」
「いいえ、道を知ってたんではなく盗賊の痕跡を見つけてその後を追ったんです。」
「どうしてそんなことができる?お前は冒険者だろう。探偵でもやってたってのか?」
「いえいえ、なぜそんなことができるかと言うと俺の能力ですね。」
「能力だと?どんな能力だ?」
冒険者にとって能力は切り札なのであまり人に教えるべきではないのだがイオルのお父さんだしここは誠意を見せた方がいいな。
「はい、じゃあこれを見てもらえますか?俺のギルドカードです。」
そう言ってギルドカードを差し出す。もちろん能力、そして魔法まで表示してだ。
ジン シラギ 23歳
登録ギルド サルコス
冒険者ランク G
能力 【五感操作】
魔法ランク 4
「なんだこの【五感操作】ってのは?初めて聞いたぞ。それに魔法ランク4だと?」
そう、イオルにギルドカードに能力や魔法の欄を表示させるやり方を聞いたあと試した見たのだが能力の欄に【五感操作】が表示されていたのだ。
どうもギルドカードというのは登録者に紐付けされているようで日付が変わって歳を取ったり俺のように能力が変わるとそれも表示されるということがわかったのだ。
まあつまりギルドカードを違う曜日の日に他人に見せると能力が切り替わっているのがバレる。普段見せる分には能力は隠されているし問題ないが冒険者ギルドで魔道具通すときは月曜日に行くしかなくなったわけだ。
「【五感操作】というのは視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の五つの感度を上げたり下げたりできます。それで金庫のあった建物で嗅覚の強化をした時に油の匂いがしたんです。」
「油?」
「はい、おそらく盗賊が漁師のみんなの目を逸らすためにやった船の放火に使ったんでしょうね。その匂いを追いかけて盗賊の逃走経路がわかりました。」
「じゃあ盗賊どもがばら撒いてた金を見つけたってのは視覚の強化でもしたのか?」
「そうです。なので盗賊の仲間だから道を知っていたんじゃなくて能力を使って追いかけたということです。」
「なるほどな、一応納得のいく説明ではあったな。」
「それは良かった。まぁ実を言うと盗賊の仲間数人とその頭。そしてホイルさんは捉えて連れて来てるので本人達に聞いて貰えばわかるんですけどね。」
「何⁉︎ホイルは生きてんのか!あの野郎はどこにいやがる!」
「えっと、ホイルさんは町の警備の人たちに引き渡されたはずなので今頃は取り調べとかが行われてるかと。なので面会とかはまた明日のほうがいいかも知れませんよ。」
「チッ、わかった。ところでお前貴族なのか?」
「え、あ、違います!」
(しまった、イオルがお父さんは貴族が嫌いって言ってたな。俺のギルドカードには普通の人にはない姓が表示されてる。そしてこの世界だと姓持ちは貴族が多いらしい。ここは誤魔化さねば)
「俺の故郷ではみんなが姓を持ってたんです。その、地方制というか特色というか。なので貴族とかではないです。」
「…まあいいだろう。続きを話せ。」
「あ、はい、えっと続きというと盗賊の拠点にイオルも連れて行った件ですね。」
「そうだ、言い訳があるなら言ってみろ。」
「えーと、これ実は三つ目のやつにも関係あるのですが…」
「…なんだと?テメェまさかイオルを傷物に」
「いやいやいや、違います!イオルと冒険者のパーティを組んだという話です。」
「パーティだと?」
「あ、冒険者になったもの同士で冒険者ランクが近いとパーティを組んで依頼を受けるというのがあってですね。」
「んなもんは知ってる。で、なんでお前とイオルが組むことになったんだ?」
「その、俺はホイルさんの依頼を受けてここに来てたわけじゃないですか?それで依頼自体は依頼者不在で無効になったんですけどその処理が時間がかかるってことで。なんでも1人の冒険者につき一つまでしか同時に依頼は受けられないらしくて盗賊の拠点までの案内の依頼が受けられなかったんですよ。それでイオルが依頼を受けて俺とパーティを組んで一緒に行くことになったんです。まあそもそも俺の冒険者ランクだと一人ではどのみち受けれなかったらしいですが。」
「チッ、またホイルの野郎のせいか!」
ああ、ホイルさんにヘイトが溜まっていく…。申し訳ないけどここは押し付けさせてもらおう。
「それでですね、イオルとパーティを組んだんですが少し問題がありまして。」
「問題?なんだ。」
「えーとですね、冒険者同士がパーティを組んで依頼を受けてすぐ脱退、解散をすることってできないそうなんですよ。なので少なくとも半年は娘さんと冒険者としてパーティを組ませてもらうことになりました。」
「…それが三つ目か?」
「はい、そうです。」
「…冒険者になるのはイオルの夢だった。危険なことはさせてくねぇから俺は反対したが諦めさせれなかった。お前、少なくとも半年はイオルと組むんだな?」
ここで今日イチの威圧がくる。
「はい、そうです。」
「…そうか。魔法も使えるようだが魔物相手に自分やイオルを守る実力はあるんだろうな?」
そう言われるとちょっと自信ないような…。
「どうなんだ!」
「はい!あります!守ってみせます!」
「もしイオルに何かあったら俺がお前を殺す。いいな!」
「はい、心得ております!」
「…いいだろう、とりあえず認めてやる。」
ホッ。
「イオルにはたまに顔を見せにくるよう伝えろ。」
「了解です!」
「よし。じゃあもう話すことはない、出て行け。」
「はい、失礼しました!」
そうして俺は扉を開けて外に出た。
「……。」
扉を閉める時何か聞こえた気がしたが緊張していたせいかよく聞こえなかった。
一応認められたようです。
貴族の件が抜けていたのとかを少し修正。




