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曜日替わり能力  作者: 向風
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鉄拳制裁

依頼の報告のためにギルドに向かう。その前に町の警備に盗賊を引き渡す。

予定だったのだが…。


「嬢ちゃん!良く帰って来た!どこか怪我はしてないか⁉︎」

「え、うん平気だけど、どうしたのみんな?」

「ゲンから嬢ちゃんが盗賊退治の冒険者に同行したって聞いて心配してたんだよ。」

「イオルちゃん、心配したよ!ああ、無事でよかった!」

「あ、ちょ、エイラさん、そんな抱きつかれると苦しい〜。」

「おっかあ、ほどほどにしてやらんと嬢ちゃんつぶれっちまうぞ。」

「うるさいよ!あんたはゲンさんたち呼んで来な!」

「へいへい、あ、忘れてた。嬢ちゃん、おかえり。無事で何よりだ。」

「あ、マットおじさんありがとう。ただいま。」

漁師さんたちの漁場まで帰って来たところでイオルが漁師さんやその奥さんたちに囲まれてしまったのだ。


あまりの勢いに俺たちが成り行きを眺めているとイオルのお父さんがこちらに向けて走って来た。

「テメェ!良くもうちの娘を連れて盗賊退治なんかに行きやがったな!!」

お父さんが拳を握り殴りかかろうとしてくるのを慌てて周りにいた漁師さんたちが引き止める。

「マラム、やめろ!」

「おやっさん、嬢ちゃんは自分で立候補したんだってゲンさん言ってたろ⁉︎」

「うるせぇ!邪魔すんな!歯ぁ食いしばれや!」

2人の男の拘束を振り切った親父さん(マラムさんというらしい)は俺目掛けて拳を振るう。

「ぐっぅ!」

真正面から顔面を殴られ口の中に血の味が広がる。

「お父さん⁉︎何してるの!」

漁師の奥様の拘束から逃れたイオルが俺と親父さんの間に割って入る。

「はぁはぁ、見てわかんねぇか?お前を危ない目に合わせたやつをぶん殴ったんだよ。」

「だから聞いてるの!私は自分から一緒に行くって言ったの!ジンさんは何も悪くない!」

「んなこたゲンから聞いてるよ。」

「だったらどうして!」

俺は親父さんに食ってかかろうとするイオルの肩を掴んで止める。

「イオル。」

「ジンさん!大丈夫⁉︎」

「へーき、お父さんはイオルのこと心配してくれてるんだから仕方ないよ。」

「仕方なくなんかないよ!」

「まあまあ、お父さんも気が済みましたか?」

「あ?一発殴ったくらいで気がすむかよ。あとお前なんぞにお父さんなんて呼ばれる筋合いはねぇ。」

そりゃそうだ、殴って和解なんてそううまく行くわけがない。

「それもそうですね。じゃあマラムさんと呼んでも?」

「チィ、勝手にしろ。」

そう言って自分の店に戻って行く。

「お父さん!」

「イオル、大丈夫だから。」

「…ごめんなさい。」

「だから大丈夫だって。親からすると娘が盗賊退治に同行するなんて心配で耐えられないことだと思うよ?だから仕方ないよ。」

「…だったら私を殴ればいいのに。」


落ち込んでしまったイオルを漁師さんたちと一緒に宥めすかしているとゲンさんたちがやってきた。

「おお、無事だったか。…無事だったんだよな?」

俯いているイオルを見て心配そうに聞き直してくる。

「平気、ちょっとお父さんと喧嘩しただけ。」

「ああ、マラムか。俺もイオルたちを送り出したあと揉めたよ。あいつはイオルが冒険者になるのも反対してたからなぁ。」

「お父さんは心配性すぎるのよ。私、もうちゃんと大人なのに。」

「マラムからすりゃあいつまでも大事な子どもなんだ。勘弁してやんな。」

「でもお父さん、ジンさんを殴りつけたのよ!」

「ははは、ジンもやられたか。俺も一発もらったぜ。」

「なっ、お父さんゲンさんまで殴ったのね!」

「あ、お仲間ですね。」

「おお、そうだな。」

「なんで2人とも楽しそうなのよ…。」

イオルがまたヒートアップしようとしたが俺とゲンさんが笑い合っているので少し落ち着いたようだ。


「さて、世間話は置いといて本題に入るか。」

「そうですね、じゃあこちらへ。」

ひとしきり笑い合ったあと真面目なトーンで話し始める。

俺はゲンさんたちをダイアスたちが見てくれていた荷車のところまで連れて行く。

「ダイアス、依頼者のゲンさんたちが来てくれてるんだけどここで報告してもいいのか?」

「ああ、先にギルドにと思ったが依頼主がいるならそっちに報告しても構わないぞ。」

「悪いな、俺も冒険者ギルドに依頼したのは初めてで勝手がわからん。」

「いえ、じゃあ報告させてもらう。今回依頼を受けた盗賊の討伐だが森を抜けた先にある村、および道中で盗賊と戦闘になり盗賊25人、内19人を討伐、盗賊のリーダーを含めた6人を拘束した。」

「25人⁉︎そんな大人数だったのか…。」

「ああ、それと盗賊を手引きしたという男も捕らえた。盗賊たちはこの後町の警備隊に引き渡すが一応確認してもらえるか?」

「…ああ。」

そう言ってゲンさんは布をかけていない荷車を覗き込む。すると中にいたホイルさんと目が合うがホイルさんはすまなそうな顔をしてすぐに目を逸らしてしまった。

「…ホイルだ、間違いない。」

他にも荷車を覗き込んだ漁師さんもいたが悲しそうな顔をしたり怒ったような顔をしたりと反応はさまざまだ。

「そうか、では次に盗まれたという金貨だがそれはそちらのイオルが回収してくれた。」

急に話を振られたイオルは驚いた顔をするがすぐに立て直す。

「あ、えっと、盗賊が持って逃げようとしていた袋ごと荷車に積んだの。ゲンさん、盗まれた金額って分かる?」

「ああ、帳簿と金庫に残っていた硬貨とカイたちが拾って来てくれた金貨を照らし合わせれば分かるはずだ。」

「そう、じゃあそれでもし金額が足りなかった場合は仕方ないんだけど多かった場合は盗賊の持ち物は討伐した冒険者のものになるからダイアスさんたちに渡すことになるわ。今回は盗まれた金貨の回収も依頼のうちだったからこれでいいのよね?」

「ああ、問題ない。」

「じゃあ今からやっちまうか。カイ、帳簿持って来てくれ。」

「わかった。」


「依頼の報告ってこんな感じなんだな。」

「いや、今回のは結構変則的だぞ。」

俺の独り言にベックが反応する。

「そうなのか?」

「ああ、依頼でもそうじゃなくても盗賊の討伐を冒険者がした場合その持ち物や金は基本討伐した冒険者のものになるんだ。」

「ほう」

「今回は依頼内容に金貨の回収が含まれてたからこうなってるけど現金の回収は普通は受けないな。高確率で揉めるからな。」

「今回は漁師の関係者で信頼のあるイオルが同行したから依頼が通ったんだろ?」

「それもある。あとは金庫の金って事できちんと帳簿付けてるって聞いてたのもあるな。」

「なるほど。」

「あとは現金じゃなくて物とかなら依頼として受けることはあるぞ。まあ見つかるかどうかは運だけどな。」

「色々あるんだな。」

「まあこれから覚えて行くといいさ」

「ああ、ありがとな。」

漁師さんたちが帳簿を持って金貨の数を数えている間にベックが色々と教えてくれた。




イオルのお父さんは心配性で娘が大事なだけで普段はとてもいい人です。

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