冒険者の心構え
イオルによる報告という名の公開処刑が執行された。
「えーと、ジンは今の説明に弁明とか付け足すこととか何か言うことはないか?。」
「無いよ。いやあるっちゃあるけどもういいよ…。」
「お、おう、そうか。まあ冒険者になってすぐの頃は俺も気分が高揚したもんだしな。それで結果出してんだし気にすんな?」
変に気遣われる方が辛いのだが…。あ、そうだ。
「あーっと、盗賊たちなんだがどうも落ち合う場所を決めていたらしくてな。それがサルコスの町を抜けたところにある村って言ってたんだ。なんでも他の盗賊たちもいるとか言ってたからもしかしたら昨日ダイアスたちと会った村なんじゃないかと思うんだが。」
「何、本当か?。じゃあ昨日の奴らの残党、いや本隊だったかもしれねえのか。」
「あー、こりゃ他の村人が避難していない村も見て回る必要があるかもな。」
「そうだな、ギルドに報告入れとかねえと。」
(よし、話が逸れた!)
なんとか話題を逸らすことに成功した俺にイオルが聞いてくる。
「昨日?昨日も何かあったの?さっきのロンさんが昨日も骨折してたって言ってたけど?」
「あー、えーと、どう言ったもんか…。」
俺が説明するかどうか迷っていると横からダイアスとベックが答えた。
「昨日俺たちはとある任務をうけてそれの帰りに盗賊とやり合ってベック以外が怪我をしてな。今ここにはいないもう1人パーティメンバーがいるんだがそいつの怪我がひどくてな。正直死にかけてた。」
「で、その時村に立ち寄ったジンが回復魔法が使えるってんで助けてもらったんだ。」
「えっ?ジンさんとみんなってずっと前からのお友達とかじゃなかったの?」
「いや、昨日が初対面だな。」
「それからサルコスの町に行こうとして迷ってたジンを俺たちがが案内してきたんだよ。」
「そうなの?」
「うん、まあ色々あったけどまとめるとそれであってるね。」
「色々って?」
「まあそれは時間がある時にでも話すよ。」
そろそろ町に戻らないと遅くなるだろう。
俺たちは村を後にして荷車を引いてきた道を帰る。
盗賊たちの積み込みは俺がロンの治療をしている間にダイアスたちが終わらせておいてくれた。
今は持ってきた荷車とは別に村にあった荷車を拝借して合計3台の荷車を引いている。
「結局全部で何人いたんだ?」
気になったので前で荷車を押しているベックに聞いてみた。
「全部で25だな。」
「そうか、やっぱ多かったんだな」
「ああ。悪いな、結局ジンたちにも荷車引かせる羽目になって。」
「いやいいよ。それに俺たちは軽い方だろ?」
「ああ、まあな」
今の並びは一番前にダイアスが引く荷車でそれをベックが後ろから押す。次に俺が引く荷車に後ろはイオルが押してくれている。最後にタイルが引く荷車をロンが押してついてきている。
「…生き残りは6人か。」
「あーキツイか?」
「いや、大丈夫だ。」
虚勢を張ってみる。
俺が引いている荷車には来る途中に捕まえた3人と俺が戦った盗賊の頭とその手下2人の6人だけが乗っている。
その他の荷車には布が掛けられ中は見えないようにしてある。盗賊が何かして逃げ出す心配がないのと俺とイオルへの配慮というのもあるのだろう。
「無理はすんなよ?」
「え?」
「なんだ、そのうち慣れるとか言われると思ったか?」
「ああ、思った。」
「慣れるなとは言わんさ。盗賊は殺しても構わないってのが常識だからな。盗賊ってのはそれだけのことをやってきてる連中だ。だが殺さなくていいならその方がいいと思うぜ?生きて捕まえたらあとはまあ偉いさんたちが考えてくれる。今回は余裕がなかっただけだ。だから生捕したジンたちは本当に大したもんだ。」
「そうか…。ありがとう。色々考えてみるよ。」
「ああ、そうするといい。」
ベックに言われたことを考えながら町へ向かって行く。
殺生って難しい問題だと思う。




