2度目の治療
イオルと話しながら村の様子を眺めていると人影がこっちに走って来るのが見えた。
「ん?誰かが向かって来てるな。」
「盗賊の仲間?」
警戒するように言うイオルだが向かって来ているのは見知った人間だ。
「大丈夫、あれはベックだ。」
こちらに向けて走って来たベックを迎える。
「ベック、みんなは無事か?」
「ああ、こっちはな。それより盗賊の足止めを食って敵の大将を逃しちまった。こっちに来なかったか?」
「ああ、来たぞ。」
「そうか、森を抜けて行ったのか?」
「いや、倒した。」
「あ?」
「いやだからこっちに来たから戦ったんだよ。で、倒して荷車に乗っけた。」
「マジかよ。」
「あ、一応拘束してみたんだが確認してもらえるか?」
「おう、わかった。」
「おお、マジで捉えてやがる。拘束も大丈夫そうだな。」
「それならよかった。」
ベックに盗賊たちの拘束を確認してもらい3人で荷車を引いて村に向かう。途中、盗賊たちが担いでいたお金の入った袋も積み込んだ。
「悪いな、討伐は俺たちの仕事なんて言っといて逃しちまうし、荷車まで引かせちまってよ。」
「いいって、それより怪我はどうだ?治療は必要ないか?」
「あー、ロンが一発いいの貰っちまったくらいだな。治療頼んでもいいか?」
「ああ、任せてくれ。」
「助かるよ。昨日の分も返してねえのにジンへの借りが溜まっていく一方だな。」
「気にするなって。それにこの依頼を受けてくれたってので十分返してもらってるよ。」
「いや、別にジンが出した依頼ではないだろ」
「あーそれもそうか。じゃあそのうちうまい飯屋でも紹介してくれ。」
「そんなんでいいのかよ。欲がねえと言うかお人好しだな。わかった、いいとこ連れてってやるよ。」
「おう、約束な。」
村に到着し、一番大きな家の前に行く。途中村を見回すと所々で家が壊れ、激しい戦闘があったことがわかる。
「ダイアス、ジンたちを呼んできたぞ。」
「逃げた敵の大将はどうだ?見つからなかったか?」
「いや、いたぜ。2人に捕まって荷車の中にな。」
「何?確認させてくれ。」
ダイアスが荷車を覗くと中に先に捉えたホイルさんを含めた3人と新たに図体のでかい男と2人の盗賊が乗せられている。
「たしかに逃げた奴らだな。ジンが捕まえたのか?」
「俺だけじゃない。イオルも手伝ってくれたんだ。」
「いえ、私は矢を一回撃っただけで大して何も…。」
「その一回が助かったんだよ。ありがとう。」
「うっ、いえ、これからもっと精進するよう頑張るわ。」
「そんなに難しく考えないでいいからね。それでダイアス、ロンが怪我をしたって聞いたんだけどどこにいる?診てみようと思うんだけど。」
「あ、ああ、家の中だ。悪いな助かるよ。」
ダイアスに連れられ家の中に入る。ロンは入ってすぐの部屋で休んでいた。
「ロン、大丈夫か?。ジンが診てくれるそうだ。」
「ん、ああジン、イオルちゃん、無事だったか。」
「ああ、おかげさまでな。ロン、どこをやられた?」
「昨日と同じで足だよ。まさか2日連続で折られるなんてな。」
ロンは昨日と同じように左足に添え木をしていた。
「足だな。わかった診てみよう。」
「ロンさん、痛みますか?大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だよイオルちゃん。こんなの大したことないさ。」
「いや骨折は大したことあるだろ。ほら、回復魔法かけるから動かすなよ?」
そう言って回復魔法をかけ始める。
「終わったぞ、どうだ?違和感とかないか?」
治療の終わりを告げるとロンは立ち上がり足を動かして見せる。
「ああ、問題ない。痛みも消えた。ありがとな。」
昨日と違い【魔法強化】が出来ないから少し時間がかかったが問題なく完治したようだ。
「それならよかった。」
「本当に助かった。しかしほんとにいい腕してるよな。マジで冒険者なんかやらなくても稼げるだろ?」
「…本当にすごい。折れていたんでしょ?なのに数分で治すなんて…。」
「どうだろうな?他の魔法を使える人に会ったことないから自分の魔法がどの程度かわからないんだよな。」
「もし治療院始めたら教えてくれよな。常連になるぜ。」
「いや、怪我しないように気をつけろよ。」
治療を終え、ロンとバカ話をしてから村でのことを聞くことにした。
連休中なのでさらにゆっくりペースかもしれません。




