ドープ薬
イオルの援護もあり盗賊たちを倒すことに成功した。
「イオル、お陰で助かったよ。」
「うん、ジンさん、大丈夫なの?」
「俺は大丈夫。それより盗賊たちを今のうちに動けないようにしないとだ。」
見る限りじゃ立ち上がってくる様子はないけど今のうちに拘束してしまいたい。
「…うん、そうね、先に縛っちゃいましょう。」
イオルは何か気にする風だが同意してくれた。
「じゃあ俺がロープで拘束するからイオルは盗賊が起き上がらないよう見張ってもらえる?」
「了解。任せて。」
俺は一度荷車のところまで来ると荷車を引いてイオルの元へ戻る。先に捉えた盗賊たちが拘束を解こうと暴れていたがしっかりと結ばれているようで抜け出せないようだ。
それから中ボス、手下A、Bの順に見様見真似でロープで拘束した。
「これで良し。大丈夫だと思うけど後でダイアスたちに確認してもらった方がいいな。」
拘束した盗賊達を荷車に乗せ、少し離れたところでイオルと話す。
「村に行ったみんなは大丈夫かな?」
イオルが不安そうに聞いてくる。
「多分だけど大丈夫だよ。」
「どうして言い切れるの?ダイアスさんたちってそんなに強いの?」
「強いのは間違い無いと思うけど、それよりも盗賊の頭が逃げて来てるからね。盗賊達からすると逃げなきゃならないほど劣勢だったってことだと思うよ。」
「そっか。さっきも聞いたけどジンさんは大丈夫なの?無理してない?」
今度は真剣に聞いてくる。
「大丈夫だよ。」
「ほんとに?どこか痛いとか気分が悪いとか無い?」
「無いって。どうしたの?」
「だって、さっきドープ薬使ったって…。」
「ああ、盗賊が言ってたやつ?そのドープ薬って言うのを使うと魔法が強くなるみたいなこと言ってたっけ。」
さっきの戦闘中、中ボスが言ってたがドーピングみたいなものだろう。
「知らない?じゃあ使って無いってことよね?」
「うん、なんか魔法が強くなるけど副作用がある薬だろうなって予想はしてるけど。」
「それで合ってるよ。少しの間だけすっごい魔法が使えるようになるけど使ったあとは体が動かなくなって…。場合によってはそのまま死んじゃうの…。」
想像していたより副作用がデカかったようだ。
「それは、怖いな…。」
「使って無いよね?大丈夫だよね?」
目を潤ませて聞いてくる。
「使って無いよ。本当に大丈夫だから。」
「…それならいい。…しつこかったよね、ごめんなさい。」
「そんなことないよ。心配してくれたんだろ?むしろありがたいくらいだ。」
「…うん、ごめんね。」
「それにしてもさっきは助かったよ。お陰で盗賊たちに隙ができた。」
話題を変えようと先程の援護射撃のことを持ち出す。
「あ、うん。ジンさんが危ないと思って撃ったんだけど、でも私が何もしなくても勝てたよね?」
「そうかもしれないけど無傷ってわけにはいかなかったよ。火魔法で思ったより消耗しちゃっててさ。」
「あー、あれ凄かった!、けど燃えてる相手をさらに燃やしながら追いかけるのって見てて怖いよ。」
「うっ、言われてみればそうかも。…想像したらヤバいやつな気がして来た。」
「ヤバいよー。それにあんな威力の魔法見たの初めて。ジンさんって実はすっごい魔法使い?」
「全然だよ。それに使い慣れてないから汎用性がね。」
「そうなの?」
「あ、えっと、人の魔法見る機会がなかったから基準がわからないし、教えてくれる人もいないからね。」
危ない。余計なこと言うところだった。
「ああ、身近に魔法使える人がいなかったのね。でもそんなにすごい魔法が使えるなら故郷を出るとき引き止められたりしなかったの?」
「あーいや、俺の地元は魔法が使える人がいないからそもそも魔法に頼って無かったというか…。まあ問題は無かったかな、うん。」
嘘ではない。多分魔法が使える人はいなかった、よね?
「ふーん。そういうものなのね。…あれ?私すっごい人とパーティ組んだんじゃ?。…今回の依頼も私特に役立ってない…。お、お荷物にならないようにしないと…。」
「イオル?」
「ジンさん、私頑張る!」
「え、何が?」
急に息巻くイオルに何も言えなくなってしまった。




