襲撃準備
俺とイオル、ダイアスたち【パラサの集い】の6人は盗賊の逃げた村に向かう途中に前方から来る盗賊を発見。
不意をついて無力化に成功した。
「よし、これでいいだろう。」
ダイアスたちは慣れた手つきで盗賊を縛り、荷車に乗せた。
盗賊は手足を縛られ、猿履をかまされ身動きがとれなくされている。
「こいつら連れて行くのか?」
「いや、連れて行っても邪魔なだけだからな。もう少し進んだら森の中に放置だ。」
「わかった。…イオル、大丈夫か?」
「…うん、大丈夫。」
イオルはホイルさんが盗賊たちと一緒にいるのを見て落ち込んでいた。
「ごめんね、分かってたことなのに直接ホイルおじさんが盗賊と一緒にいるのを見てなんか悲しくなっちゃって…。」
そのホイルさんも今は他の盗賊と一緒に縛られ荷車に乗せられている。
「キツイならここで待っててもいいよ。案内だけなら俺1人でもいいし。」
「…ううん、行く。依頼はちゃんとこなさないとだから。」
まだ少し辛そうだがしっかりと言い切った。
「わかった。ダイアスたちももう行けるか?」
「こっちはいつでもいいぜ。」
「よし、行こう。」
盗賊を乗せた荷車を引いて道を進む。
しばらく進むと森の出口が見えた。
「出口だな。荷車は森の中に隠す。武器も取り上げたし放置しても逃げられないだろう。」
そう言って荷車を森の中に隠した。盗賊たちが唸っているから上から布を被せて多少でも音が漏れないようにする。
「これでよし。森を出ても盗賊の言った場所はわかるんだよな?」
「うん、大丈夫。盗賊たちがきたおかげで分かりやすくなったよ。」
さっきの盗賊たちの話からしてホイルさん以外の2人は湖で盗みを働いた奴とは違うみたいだった。
つまり一度は盗賊の本隊と合流したはず。つまり今来た盗賊の痕跡を辿れば間違いなく盗賊の元へと行けるはずだ。
「ホント謎の特技だな。まあ期待してるぜ。」
そう言ってベックに肩を叩かれる。
「ああ、任せてくれ。」
森を抜けて回りを見渡す。少し遠いが柵に囲まれ数軒の家が立った村があった。
(周囲に何もないから匂いは霧散してるか。嗅覚は戻して視覚と聴覚に集中だな。…足跡はやっぱりあの村からここに向かって来てるな。)
「盗賊はやっぱりあの村から来たみたいだ。どうする?このまま向かうか?」
「ちょっと待てよ…。村に見張りがいるな。」
ダイアスがそう言うので村の方をよく見る。
「たしかに人影があるな…。入り口に2人か?」
「そうだな、あと一番でかい家の前にも2人、その横の家の裏に3人。これは見張りって感じでもねえな。」
「うーん、村の中まではわからないな。」
「何、ここから入り口の見張りに気づけただけで大したもんだ。」
「うーん、誰かいるようないないような…、2人とも何で見えるの?」
イオルが一生懸命村の方を見ながら聞いてくる。
「俺は目がいいんだよ。」
「俺もそこそこいい方かな。」
ダイアスが笑いながら誤魔化すので便乗しておく。
「ううー、私も結構目はいい方だと思ってたんだけどなぁ」
(ダイアスの能力の【望遠】は俺の【五感操作】での視覚強化よりも遠くまで見えてるみたいだな。やっぱり特化の方が能力としては上か。)
そんな分析をしつつこれからのことを話し合う。
「しかし、見えるだけで7人か。家の中にはもっといるだろうし、見つかる前に何人か無力化したいな。」
「そうだな。クンスがいねえから狙撃もできんし、こりゃ生け捕りは厳しいかもな。」
「あ、生け捕りの予定だったんだな。」
「できるならその方がいいからな。だが余裕がない時はそんな甘いこと言ってられんからな。」
「ああ、それはわかってる。」
ここは元の世界とは違うからな。こっちにはこっちのルールがある。
「じゃあ正面は避けて裏から仕掛けよう。」
「ジンたちはここにいてくれ。俺たちは村の裏側から柵を越えて村に入る。」
「俺はどうしたらいい?何か手伝えることはないか?」
「わ、わたしも」
「いや、討伐は俺たちの仕事だからな。任せてくれ。ただ逃げ出す盗賊がいるかもしれんからそれだけは気をつけろよ。」
「…わかった。無理はするなよ。」
「おう、ジンはイオルちゃんをしっかり守ってやるんだぞ。」
「じゃあ行ってくる。」
「あの、頑張ってください!」
「ああ、俺たちに任せてくれ」
そう言ってダイアスたちは素早く移動し始めた。




