ボウフィッシング
冒険者ギルドでタイルとロンに会い、今日のことを説明したところ依頼を受けてくれることになった。
呼びに行ってくれたタイルを待つ間にお金を支払うことにした。
「すいませーん、会計お願いできますか?」
「あ、はーい。」
俺の呼びかけに店員さんが出てきてくれた。
「お会計ですね。炒り豆は大銅貨1枚で…どんぶりも大銅貨1枚でいいかな?」
「えー、それは安すぎません?」
大銅貨1枚は多分100円くらいのはずだ。
「うーん、ですが朝食の食材の残り物で作ったものですから。」
「じゃあせめて大銅貨2枚、おかわりしたのと炒り豆で大銅貨5枚でどうですか?」
「わかりました。ですが本当によろしいのですか?」
「はい、そのかわりまたお昼に来てもいいですか?」
「それはもちろん大丈夫です。賄い用のものしか出せないかもしれませんがもしよければまたいらしてくださいね。」
「はい、ありがとうございます。ごちそうさまでした。」
銀貨1枚を支払い大銅貨5枚のお釣りを貰い、タイルが帰って来るのを待つことにした。
しばらくするとタイルがダイアスとベックを連れて戻って来た。
「タイルによばれて来てみたが。なんか面白いことになってんな?」
「ベック、ダイアスも悪いな。今日、休みだったんだろ?」
「なーに、気にすんな。割と暇してたんだ。」
「ああ、それにしてもこんなに早くジンと協力して依頼を受けることになるとはな。」
「まあ俺は道案内役だけどな。」
「だがジンに追跡の特技があるとはな。あれか、1人で旅をしてこれたのもその特技のおかげでもあったのか?」
「え、あ、うん、まあそんなところだ。」
もちろんダイアスたちも俺の(月曜日の)能力を知っているから誤魔化すしかない。
「あんたたちが依頼を受けてくれる人か?」
ダイアスたちと話しているとゲンさんたちがやってきた。
「ああ、そうだ。」
「これからすぐに向かってくれると聞いた。助かるよ。」
そう言ってダイアスたちに礼を言う。
「いや、早い方がいいとのことだからな。それに道案内もあるなら俺たちは戦うことに集中できるしな。」
「それで何だが。盗賊は俺たちから盗んだ金を持ってるんだ。できればそれも回収して欲しいんだが…」
「ああ、それも聞いている。今回討伐、又は捕獲した盗賊を乗せるために荷車を持っていくつもりなので盗まれた荷物はそれに乗せる。盗まれたものに関しては俺たちは触れないし、どれくらい盗まれたかも聞かない。だから俺たちに一任すると言ってくれるか信用のおける者を同行させるかして欲しい。、これは後で揉めないためだ。」
(盗まれたものがあっても盗賊が使っていれば回収できない。それを利用して自分たちのものにしてしまう奴もいるのだな。そのための措置か。勉強になるな。)
「案内役で私が行くから大丈夫だよー。」
そう言ってイオルが手を挙げる。
「イオルが行くなら問題ないか。だが無茶はするなよ?」
「わかってるよー」
「彼女はジンのパーティの娘だったね?この娘に任せてしまっていいのか?」
「ああ、イオルは親父は漁師仲間でな、イオルのことも子供の頃から知ってる。責任感の強い娘だ。」
「ただ、ちょっと無茶をしがちなところがあるからできれば気をかけてやって欲しい。」
「また子供扱いするー。これでもちゃんと冒険者してるのにー」
カイさんに言われて少し拗ねるイオル。
「「…かわいい。」」
それを見てタイルとロンがまた惚けていた。
俺たち6人は冒険者ギルドを出てカルノ湖に向かった。
途中、イオルが借りているという宿に寄る。武器を取ってくるそうだ。
「お待たせしましたー」
そう言って背中にボウガンと矢を背負って帰ってきた。
今度こそ湖に向かって歩き始める。
「…ボウガンあるんだな。」
「ジンさんどうかしたの?」
「あーいや。珍しい武器だなと思って。」
「あーそうね。確かに武器としては珍しいかも。漁具だもんねー」
「漁具?」
「あれ?知らない?あ、ジンさんの地元は釣りの道具が違うんだっけ?こっちだとこれで魚を撃つの。撃った矢にロープがつけてあって回収できるのよ。」
「あーボウフィッシングってやつか」
「ぼうふぃっしんぐ?ジンさんの地元だとそういうの?」
「うーん、実際見たことないからなんとも言えないけどそういう釣り方があるのは聞いたことがあるよ」
(俺が知ってるのはコンパウンドボウ?とかいうやつ使ってたと思うけど外国の話だし。)
「そうなのね。漁具は子供の頃から使い方も見てたし実際に何度も使ってたからなかなか上手よ?」
「使い慣れた漁具を武器にしたってことだね。」
「うん。ジンさんはその持ってる棒が武器なの?」
そう言って俺がずっと持ち歩いてる棒を見る。
「いや、これは昨日拾っただけ。」
「え?」
キョトンとした顔でイオルが見てくる。
「その棒は昨日ゴブリン倒して拾ったんだとよ」
俺たちの後ろから荷車を引いたベックが笑いながら言う。
「拾った?ゴブリン?どゆこと?」
「あんまり気にしなくていいよ。」
「ええ、気になるよー」
「今回は道案内がメインだから俺たちが戦うことはないと思うし、下手するとダイアスたちの邪魔になるだけだよ。ほら、もう森に入るよ。」
「はーい。」
ここまでは湖の周りを歩いていただけだから談笑していたがここからはそうはいかない。
いつ魔物や盗賊に出会うかわからないのだ。
「このままの並びでいいんだよな?」
「ああ、ジンは道案内に集中してくれ。戦闘は俺たちに任せろ。」
先頭は俺とダイアス。次にイオル、その後ろから荷車を引いたベック。荷物の左右にタイルとロンがいる。
「わかった。じゃあ行こう。」
俺たち6人は森に入り、盗賊がいるであろう村に向かって歩き始めた。
のんびりペースで進んでいきます。
お昼ご飯代を支払ってないことを思い出したので加筆しました。無銭飲食はダメです。
所持金大銀貨5枚、銀貨3枚、大銅貨5枚。




