1日ぶりの再会
この世界では珍しいらしいお昼ご飯を食べている。
「ジン?なに真昼間っから飯食ってんだ?」
「ん?」
声をかけられたので顔を上げるとそこに見知った顔があった。
「あれ、タイル?どうした?」
「いや見かけたから声かけただけだがよ。こんな時間に飯食ってるってお前今まで寝てたのか?」
「いや、朝は朝で食べた。」
「…お前結構大食いなのか?そういや昨日の晩もかなり飲んでた割に飯も食ってたよな。」
「あー、昨日のは食事がうまかったのもあるんだけどロンのペースにつられて飲みすぎたんだ。普段はあんなに飲まないぞ。食うのは普段と変わらないくらいだ。」
「今呼ばれた気がしたんだがー。ジン?どうした?今ごろ朝飯か?」
タイルに続いてロンまでやってきた。
「違うって。腹が減ったから普通に食べてるんだよ。2人こそどうしたんだ?」
「ああ、朝のうちに診療所に行ってクンスの様子を見てみたんだ。おかげさんで目を覚ましてたよ。」
「でも一応大事をとって数日は入院ってことになってな。その間俺たちも休むことにしたんだ。」
「そんで野郎2人でフラフラしてたらギルドに足が向いてジンを発見したってとこだ。」
「なるほどなー」
そうか、クンスさんの目が覚めたのか。話ぶりから問題もなさそうだし本当によかった。
「でだ、聞きたいことがある。」
「お、おう、なんだ?」
「こちらの綺麗な女性は誰だ?」
そう言って俺の前に座っているイオルの方を見る。
「ああ、イオルのことか?」
「よ、呼び捨てだと…⁉︎」
「お、お前、俺たちがこんな花のない休日を過ごしているというのに美人とデートとか。」
「しかもジン昨日この町に来たとこだろう⁉︎信じられねぇ…。」
「おのれ、ジンがそんな奴だったとは許すまじ。」
なんか知らんがすごいヘイトが溜まったっぽい。
「いや、違うって、デートとかじゃないから。彼女はパーティ仲間だよ。」
さっき組んだばっかりでパーティの名前もないけど。パーティ仲間って口に出すとなんかいいな。
「えっと、ジンさん?。その2人はどちら様?できれば私にも説明して欲しいんだけど…。」
ほったらかしにされたイオルが拗ねている?いや、綺麗とか美人とか言われて少し嬉しそうではあるのだが。
「ああ、この2人は冒険者で昨日友人になったんだ。名前はタイルとロン。」
「タイルです。(キリッ)」
「ロンです(キリッ)」
なんかキメ顔で挨拶してるけどイオルは苦笑いだ。
「あ、イオルと言います。ジンさんと冒険者パーティを組ませてもらいました。」
「ああ、よろしく。何かわからないことがあったらなんでも聞いてくれ。」
「これでも多少冒険者としては長いからね。助けれることもあるかも知れない。」
「は、はい。その時はよろしくお願いします。」
…すごい真面目に対応してる。イオルもなんか敬語になってるし。
「さて、ところでジンは何でこんな美人さんとパーティを組むことになったわけだ?」
「そうだ、説明を求める。」
「まあ話せる範囲でいいなら。」
「「是非に!」」
友人たちが必死すぎる。
「…ってな感じでな、今は依頼の作成と討伐を受けてくれる冒険者待ちの状態なんだ。で、その間にお腹が空いたから昼食をとってたら2人が来たってところだな。」
俺は今日の出来事をかいつまんで話して聞かせた。途中で賄い丼をおかわりした。
「なるほどなー。なんか大変なことになってんな。」
「そうだな、しかしジンにそんな探偵じみたことができるとはなー」
そう、このことを説明するのに困ったのは2人は俺の能力が【魔法強化】だと知っているため能力で見つけたと言えないことだった。そのためだいぶごまかしながらの説明となってしまった。
「あーまあ、特技というかなんというか。まあ、たまたま調子が良くてな、うん。」
簡単に説明とかするんじゃなかったと今更後悔している。イオルが俺が2人に能力のことを教えてないんだと思ってうまくフォローしてくれたので助かった。
「だけどその説明だとなるべく早く盗賊を捕らえた方がいいんだよな?」
「ああ、そうだな。出来るだけ手がかりが消えないうちに追いたいと思ってる。」
「…多分だが今日中に冒険者が依頼を受けるのは無いだろうな。」
「マジか。」
「マジだ。やる気のありパーティは大体朝のうちに依頼を受けるか前日の夕方受けておいて朝になったら出発、ってのが基本だ。良くて明日の朝一になると思うぞ。」
「その盗賊がいるだろう村ってのは歩いてどのくらいの時間がかかるんだ?」
「あー、実際歩いたことのある人がいないから正確にはわからないが1時間と少しくらいだろうとは言ってた」
「1時間と少しか…。それは森の中のほぼ使われてなかった道を通ってだよな?そうなるとやっぱり今日中にってのは難しいだろうな。」
「やっぱそうだよな。」
予想で往復2時間以上、しかも普段使っている道じゃ無い上に魔物の出る森の中を突っ切るわけだ。
今現在で時間は2時前。移動と戦闘、後始末などを含めると夕暮れまでギリギリってところだ。
日を跨いでしまうと俺の能力が使えなくなってしまう。盗賊のいる村までは一本道らしいから行けるとは思うが明日まで盗賊が村にいるとも限らない。そこから移動されてしまうとどうしようもない。
「…やっぱり漁師のみんなだけでなんとかするしかないのかな。」
「いや、いくら力仕事で鍛えてる漁師といえど盗賊相手は無理だろう。盗賊ってのは言っちまえば悪党のプロだ。盗みや殺し、その他いくらでも汚い手を使い慣れてる。怖いもんがねえから無茶をしやがる。」
「だから一般人はもちろん新米の冒険者なんかにも荷が重い。それなりに討伐をこなした冒険者や騎士でもないと返り討ちだ。」
2人の言う通りだ。例えば俺は冒険者になったが今すぐ盗賊を、人を相手に戦えるかと言われると無理だろう。もちろん襲われたら自衛行動くらいは取るだろうが自分からとなると無理だと思う。
さて、どうしたものか…
「よっし、じゃあリーダー呼んでくるか。ロンは依頼受けといてくれ。」
「ああ、俺の武器も頼むな。」
そう言ってタイルとロンが立ち上がる。
「え?」
「なんだよ?まさかここまで聞いといて俺たちがこのまま帰ると思うのか?」
「だが今日は休みなんだろう?」
「おう、そうだ。だけど野郎2人で怠惰な半日を過ごすならダチと依頼を受ける方が生産的じゃねえか?」
「あの、本当にいいんですか?」
「ああ、俺たちに任せてくれ。」
「大船に乗ったつもりでいいからな」
「ありがとうございます!」
「「…かわいい」」
礼を言って笑顔を見せたイオルを見て2人とも惚けてしまった。
…あれ?これ動機不純なのでは?
次回こそ依頼受けます。説明が多くなるのは良くないと思うんだけどおっさん同士の会話って書いててたのしいんですよ。




