結成の握手
漁師さん達と盗賊の討伐の依頼を出す為に町の冒険者ギルドにやってきたわけだが。
「無理です。」
ギルドの受付係ユーンさんに断られてしまった。
「何でだ?前金もちゃんと持参したし盗賊のいる場所の案内もできる。なんの問題があるんだ?」
そう言ってカイさんが詰め寄る。
「ああ、いえ討伐依頼を出すことは可能ですしなんの問題もありません。問題は盗賊の場所への案内の依頼をジンさんが受けることです。」
どうやら俺の方に問題があるらしい。
「えっと、俺なんかやっちゃいましたか?」
「いえ、ジンさんが悪いわけではないのですが。まず一つは朝ジンさんが受けた依頼ですね。これに関しては先程別の漁師さんから事情をお聞きしましたので依頼は失敗ではなく無効ということにさせていただきます。むしろジンさんにはご迷惑をおかけしたと思っております。」
「ああいえ、自分の判断で受けたことですから問題はありませんよ」
「ありがとうございます。なのですが依頼の失敗ではなく無効処理ということで少々時間がかかるのです。そして基本個人で受けられる依頼は1人で1つまでと決まっておりましてジンさんは依頼の無効処理が終わるまで依頼を受けてもらうことができないのです。」
「ああ、なるほど」
そういえば昨日説明を受けたな。1人ではたとえどんなに冒険者ランクを上げたとしても受かられる依頼は1つまでなのだそうな。
「それともう一つ、盗賊のいる場所、つまり危険地帯への案内というのはGランクの冒険者1人では受けていただくわけにはいかないのです。せめてパーティを組んでいないと…。」
「そうですか…。うーん、どうしましょう?」
「とりあえず冒険者の方だけでも依頼出しちまうか?」
「そうだな、盗賊討伐を受けるってなると実績あるパーティに来てもらわないとだしな。それだけでも出しといた方がいいか?」
「そうですね、それに俺の方は別に依頼じゃなくてもいいですよ。」
「いえ、それだと討伐の依頼を受けていただく冒険者の方にジンさんの護衛任務も追加されてしまいますよ?」
俺たちが相談しているとユーンさんが注意を入れてくる。
「あ、そうなるんですか?」
「はい、あまり複雑にすると受けてくれる方を探すのも大変になってしまいますのでお勧めしません。」
ふむ、実際にギルドに依頼を出すとなると結構大変なのだな。ゲームのように選択肢があるわけじゃないし…。
「あとこれも言ってしまいますが1つの依頼をパーティを組んでいない複数の冒険者で受けるのもお勧めできません。連携がうまくいかなかったり、後で金銭で揉めることもありますので。よほど信頼のおけるパーティ同士とかであれば協力して受けることもあるのですが。」
あー、それは想像つくなぁ。冒険者って荒くれ者が多いイメージだし…。
「ねぇ?ちょっといい?」
おれたちが唸っているとイオルがユーンさんに話しかけた。
「はい、なんでしょうか?」
「その道案内の依頼って言うのはパーティさえ組んでいれば受けられるってことでいいのよね?」
「はい、今回の場合は他に強い冒険者を連れて行くという条件もありますので積極的に戦闘をしないのであればパーティランクF −、つまりランクGの冒険者が2人だけのパーティでも受けられると思います。」
「なるほどね、本当にパーティさえ組んでれば受けられるってことなのね。」
「はい、そうなります。」
それを聞くとイオルは俺の方を振り返り。
「じゃあジンさん、私とパーティを組みましょう!」
と、言い切った。
「えっと、いきなりだね。」
イオルの提案に驚かされる。
「だってパーティさえ組んでいれば依頼は受けられるんでしょう?それにジンさんの方の依頼が無効になるのを待たなくても私の方で受ければいいし。」
まあその通りだし効率的ではあるのだが。
「ですが一度パーティを組むと少なくとも半年は解散、脱退が出来なくなりますよ?よろしいのですか?」
ユーンさんの言う通りだ。これは解散、脱退を繰り返して簡単に受けられる依頼を上げたり下げ出来ないようにする措置だそうだ。
「私の方は問題ないわ、ジンさんいい人そうだし。これでも人を見る目は自信あるんだから!」
「うーん、そんなに簡単に決めちゃっていいの?」
「大丈夫!。…あ、もしかしてジンさんは私と組むのいや?」
俺が渋るものだからイオルのテンションが下がってしまったようだ。
「いや、そんなことはないよ⁉︎」
「本当に?」
「うん、大丈夫!」
テンションを上げてみた。無理やりっぽかったかな?
「むー?なんか微妙に納得いかないんだけどー?」
「ま、まあ、じゃあこれからよろしくね」
そう言って手を差し出す。
「…うん、よろしくね!」
イオルは俺の手を掴んでくれた。
異世界2日目。俺は冒険者パーティを組むことになった。
パーティ結成!!




