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曜日替わり能力  作者: 向風
32/125

歳の差

賊が逃走するのに使ったであろう道を戻り、カルノ湖に帰って来た。

「とりあえず親父達に報告しよう。」

「そうですね」

「多分、組合の建物の中にいる筈だ」

そう言って漁業組合の建物に向かって歩く。

「親父ー居るかー?」

カイさんがそう言いながら組合の建物に入っていく。

俺は何となく外で待つことにした。

「ジンさん入らないの?」

そうイオルが聞いてくる。

「いや、俺は一応部外者だしあんまり勝手するのも良くないからここで待ってるよ。」

「部外者なんてことないよ、それどころか犯人の痕跡を見つけてくれたんだから!」

「うーん、でもあそこから先に行ってずっと追えるとは限らないからね。」

なんせ盗まれてから1日経ってる。あのまま追っても痕跡が続いてるとは限らないのだ。

「そっか…。聞いてもいい?」

「ん?なに?」

「なんで探すの手伝ってくれるの?さっきはお父さんがあんまりな言い方したから私も何も言わなかったけど手伝ってくれてもジンさんには良いことないでしょ?」

そう言って俺を試すように見てくる。

「良いことか、そうだね、無いかな。」

あのまま放って置いても俺にはそんなに実害はなかった。ここで時間を潰すくらい出来たし、もし本当に疑われても昨日はダイアス達と一緒にいたから頼んだら証人になってくれたと思う。

「じゃあどうして?さっき見た金庫を斬るような相手がいるかも知れないし危険かも知れないんだよ?」

「まあ、あのまま釣りしてても良かったんだけどね。手伝おうって思ったのはうーん、特に理由はないかな」

「そうなの?」

イオルがキョトンとした目で見てくる。

「そうだね、強いて言うならちょうどいい能力を持ってたからかな」

「あー、その…アレね。目の強化とかの…。ああ、ごめんなさい!聞くつもりはないの!さっきカイさんに言われたばっかだし!」

両手をパタパタして誤魔化しているようだ。

「あー大丈夫、俺も昨日冒険者になったばかりなんだけどその時にあんまり能力を人に教えるもんじゃないって冒険者の友人達に言われたよ」

「そうなのね。やっぱり冒険者としては常識なのかー。私は冒険者になったばっかりだからきっとまだ考え方が甘いのよね…」

「そういえばイオルも冒険者って言ってたね。まだなって数日だっけ?」

イオルがゲンさんと話していたのを思い出した。

「そうよーまだなったばっかり。まだまだ下積みよ」

「冒険者って荒事も多いと思うけどなんでなろうと思ったの?」

「うーん、強いて言うなら憧れかな?」

「憧れ?」

「だって冒険者ってかっこいいじゃない?」

「ああ、それはわかる」

俺も似たような考えだ。

「ホント⁉︎やっと分かってくれる人がいたわ!漁師のみんなは全然わかってくれないのよ!」

「そうなの?」

「そうよー、それどころかみんな危ないからやめとけなんて言うのよ。たしかに魔物と戦ったりすることもあるから危ないってのは私もわかってるけど漁師だって危ない仕事なのは変わらないじゃない?この湖にだって水棲の魔物はいるし襲われることもあるんだから。」

あ、やっぱりいるんだ魔物。ここに来た時からちらほらと冒険者風の人がいるからそうなのかなとは思ってたんだけど。

「それにギルドカード持ってると町に入る時にもスムーズになるのもいいわ。門番さんにビシッと見せるのよ!」

そういうとイオルは自分のギルドカードを俺に見せつけるように出してきた。

「どう?ちょっとかっこいいでしょ?」

「いや、わかるけどさ。」

俺は一応ギルドカードを見ないように言う。

「ついさっき能力を人に教えるのは良くないって話したところなのに能力を書いたギルドカード出しちゃダメでしょ。」

「えっ⁉︎見えてる?」

イオルは慌てて自分のギルドカードを確認する。

「ってちゃんと見えないようになってるじゃない。もう、びっくりするなー」

そう言って改めてギルドカードを俺に見せてくる。

「え?」


イオル 17歳

登録ギルド サルコス

冒険者ランク G


イオルの言った通り能力の欄は何も表示されていなかった。

「あれ?」

自分のギルドカードも出して見て見る。


ジン シラギ 23歳

登録ギルド サルコス

冒険者ランク G


「…書かれてない?」

「あ、ジンさんのカード見せてー」

そう言われてイオルに自分のギルドカードを渡す。

「え!ジンさん姓持ち⁉︎実は貴族?」

「あ、いや貴族ではないよ。」

「そうなの?よかったー。だいぶ無礼な態度取ってたからやばいかと思ったよ」

やっぱり貴族って尊大な感じか。

イオルはまたギルドカードに目を落とす。

「ジンさん23歳かー、やっぱり年上だったんだねーでも6歳も離れてるとは思わなかったよー」

「いや、俺としてもイオルが17歳とは思わなかった。」

「む、なーに?それは子供っぽく見えたってこと?それとも老けて見えたってことかなー?」

「いやいや、少し大人っぽく見えたってだけで他意はないって。」

少し睨むように見てくるので訂正する。

「…まあそれならいいけどさー」

「あー、そうだ!ギルドカードに能力とか魔法とかが表示されなくなってるんだけどなんでかわかるかな?昨日までは表示されてたし友人の冒険者のカードも見せてもらったんだけどちゃんと能力も書かれてたんだ。」

話題を変えるために気になったことを聞いて見る。

「能力?表示しようとすればできるけどー?あーわかった、ジンさん昨日冒険者になってすぐにギルドカード見たんでしょ?」

「うん、そうだけど」

「それは魔道具で名前とか能力とかを表示させたばっかりだから全部見えてたのよ。普段は名前、年齢、登録したギルドと冒険者ランクまでしか表示されないわ。能力や魔法はカードの登録した本人が手に持って念じると5分だけ表示されるのよ。というかギルドカード作った時に説明受けなかった?」

「…受けなかったな」

聞いていたら試していたと思うし。昨日はカード作ってすぐに受付のユーンさんが声を上げてしまってダイアス達が来て…。あー多分それでユーンさん説明飛ばしちゃったな。

「ははーん、さてはそれでさっき私がギルドカード見せた時に焦っていたのね。能力が常に表示されてると思ったから。」

「ああ、ついさっきまで能力の話してたのに見せてくるものだから焦ったよ」

「さすがにそれで能力見せてたら私バカじゃない。それにギルドカードは身分証なんだから街に入るときや依頼を受けた時とかにも見せるのよ?」

怒りを逸らすため話題を変えたつもりなのにまた睨まれてしまう。

「あー申し訳ない。」

「…まあ、いいわ。ところでおにーさん?さっき能力と魔法が表示されなくなってるって言ったよね?もしかして魔法も使えるのかな?」

「え?…あっ!」

「ふふ、まあ聞かなかったことにしてあげるわ。でもジンさんは私よりもしっかりしないといけないと思うわよ?」

イオルがニコニコとした笑顔で言ってきた。

「…気をつけるよ。」

この後カイさんが戻ってくるまで俺はイオルに頭が上がらなかった。




また少し長くなってしまいました。

ギルドカードの説明回です。イオルの能力はもうしばらく先になると思います。

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