魔法と能力
「異世界、興味ありませんか?」
再度問いかけられる。
(異世界ですか?、そりゃ興味はありますよ?)
その手のファンタジー小説はよく読んでいるし魔法なんて子供の頃に皆一度は憧れるものだろう。
(でも異世界転生は無理だと、さっき天使様がご自分で言われたのでは?)
「私には出来ないと言っただけです。ですが異世界の神に協力して頂ければなんとかなるかも知れません!ちょっとこのまま待っていてください!」
(え、ちょっと天使様⁉︎)
もう返事がない、この天使様マイペースというか横暴だな…
これこのままだとすっごい雑によその世界に行かされるんじゃ…
少し整理しよう、天使のポカにより俺は死んでしまい身体は破損、蘇生は不可。
天使は神にバレないように内々に処理するためよその世界に俺を放り込む算段をつけに行った。
(異世界って剣と魔法の世界か?言葉は通じるのか?俺、現代知識で無双とか無理だよ?マヨネーズって卵と油と酢混ぜたらできんの?)
元の世界に戻れないのはもうこの際もういい、家族のことは気になるけど俺にはどうしようもない。
問題はこれから、まず言葉、これが通じないとどうしようもない。
で、飛ばされる世界の情報、この二つは確保しないと死ぬ。
てか2回も死にたくない、だって落下死痛かったもん!足から落ちたから即死じゃ無かったんだぞ!
次死ぬなら老衰で逝きたいわ!
「ただいま戻りましたー」
(おかえりなさいー)
しばらくして天使様が戻ってきた。
『はじめまして白木さん』
(あ、初めてまして?)
急に新しい声が聴こえて驚く。
『驚かせて申し訳ありません、今回はこの子がご迷惑をおかけしました。私はとある異世界で神をしているシグアーナと言います。』
神様連れて来ちゃった!?
(いえいえ、大丈夫です)
何が大丈夫なんだろう?さすがに神様連れてくるとは思って無かったので対応に困る。
『あまり緊張しないでください。私は神と言ってもまだその末席に座っているというだけの若輩者です。』
「そうですよー、ちょっとだけ出世が早くて神になっただけで私とは同期なんですよー」
『ちょっとだけって…あなたは…』
女神シグアーナ様が呆れている。この天使様今までも色々やらかして来たんだな。
「お説教は後で聞くからー、それでですね、白木さんには彼女の管理する世界に行ってもらおうと思うのです!」
(はい)
「おや、覚悟できてましたか?じゃあシグアーナ、やっちゃってー」
『何がやっちゃってーですか!まず説明が先です!』
よかった、女神様はまともだ!
それから異世界の説明を受けた。
これから行く異世界の名前は【タヴィス】と呼ばれていること、女神シグアーナ様はタヴィスの神々の一柱であり信仰としてはあまり強くはないこと、文明は地球の中世ヨーロッパくらいであること、やはり魔法が存在していること、そして魔物と呼ばれるモンスターがいることなどだ。
『ここまでで何か質問はありますか?』
(えっと言葉なんかは通じないですよね?、それと俺は魔法使えるのでしょうか?)
『ああ、それは大丈夫です、転生して身体を作り直す際に言葉も魔法の扱い方と共にあなたの知識としてインプットしておきます。』
(なるほど、ちなみにその世界だと全ての人が魔法を使えるのですか?)
この質問は大事だ、魔法はあるが使えるのは長年修行を積んだ大賢者だけとかだったりしたらめちゃくちゃ目立ってしまうことになる。
『魔法を使える人は全人口の半分いないくらいでしょうか、生まれ持っての才能やその人の努力によって使える魔法や規模などにも差はありますね』
(なるほど)
『ただ、先ほどお伝えした通り私は神としては若輩で大した力はありません、ですので新しい身体は白木さんの記憶から復元しなくてはなりませんので見た目や年齢は亡くなった時のままです。』
若返ったりはせずに黒髪黒目のままってことね、10代に戻りたいとか髪染めたいとかは思ったことないしな、うんオッドアイとかはちょっと興味あったから残念。
『あと魔法も使えるようにはしますがおそらく生活魔法程度が限界だと思います。』
(生活魔法?)
『焚き火に火をつけたりコップに飲み水を入れたり弱い風を起こして掃除したりと生活に便利なくらいの魔法を生活魔法と呼んでいるようです。それだけでも魔法の使えない人からは重宝されますが戦闘とかに使うには心許ないですね』
(ふむ、でもそれだけ使えれば十分楽しい異世界ライフが送れそうだし問題ないですよ)
「えーそんなのつまんないですよー」
俺が納得しているとこれまで黙っていた天使様が騒ぎはじめた。
『つまらないってあなたねえ』
「どうせなら最強の戦士作りましょうよー」
『だから私にそんな力は無いの!』
「魔法に拘らなくてもいいじゃないですかー、馬鹿力とか超能力とか全部ぶっ込みましょう!」
『そんなの複数使えるようにしたら身体壊れるわよ、でも確かに能力はなんにしましょうかね?』
(能力?)
『魔法以外にもスキルというものが存在するのです、剣術や武術、飛行能力や調理に裁縫など多種多様ですが基本的に1人につき1つの能力を生まれつき持っています。』
おお、そういうのもあるのか。
『でも複数能力となるとそれに耐えうる肉体が必要なのですが何度も言いますように私には…』
「えーなんか弱めのやつで複数つけて同時発動!みたいのも無理なのー?」
『無理ですよ、例えばあなたが言ったオーガと殴り合えるような【馬鹿力】と字が綺麗に描ける【美文字】と寝ると疲れが吹き飛ぶ【快眠】の二つ持ちなら後者の方が身体への不可は上です。そしてこの方は【快眠】持ちだからこそ能力を二つ持っていても問題なく過ごせています。』
「なるほどねー、じゃあしょうがないかー」
女神様の説明に不承不承ながら納得する天使。でも俺はちょっと思い付いたことがあった。
(女神様)
『はい、なんですか?』
(能力を日替わり、いえ曜日替わりにするってのはできたりしませんか?)
冒険が始まらない…。設定の説明にこんなに時間がかかるとは思わなかった…。




