釣り回 カルノ湖
しばらくこの湖に居るように言われたので釣りをすることにした。
少し木陰になったところを見つけ腰を下ろす。
「とりあえず仕掛け作ろっかね」
さっき買ったばかりの延べ竿を繋ぐ。釣り自体は結構好きでよくやっていたが基本海釣りだった。延べ竿を使うのは久しぶりだ。
「別に海で延べ竿使ってもよかったんだけどやっぱリール付けれる方が便利だしなー。最後に延べ竿使ったのっていつだろ?2年前くらいにハゼ釣りに行って以来か?」
まあそれでも仕掛けの作り方くらいは覚えている。竿先に糸を結び、ウキをつけてオモリと針をつけるだけだ。
というかそれ以外の道具は入ってなかった。何かの糸が巻き付けられたものにウキのようなものが1個、針とオモリは複数あるけどどれもサイズがまばらだ。
「これ何の糸だろ?ナイロンやフロロカーボンな訳ないしなぁ。ウキは木かな?オモリは小石で針は一応鉄っぽい。昔の釣り針って動物の骨を加工したものもあったらしいしそれに比べたら十分かな?」
とりあえず仕掛けは完成。次は餌だけど。
「練り餌って言ってたよね。ミミズとか虫のが釣れそうな気がするけどどうなんだろ?まあつれなかったらその辺の石ひっくり返して探してみたらいいか」
もしかしたらこの餌に配合されているのかもしれない。サナギ入りの練り餌とかは前世でもあった。
「よし、やって見ますか」
ウキを調節してから針に餌をつけて投入。
しばらく待つ。
「んー釣れんなぁ」
釣り始めてから30分ほど経ったが一向に当たりがない。
練り餌は少しずつ溶けているようで何度か交換した。
「まあ時間はあるわけだしのんびりやりますかね。一応監視されてるわけだし。」
近くにはよって来ないが何人かの人が俺のことを見ている。被害妄想とかではなく割としっかり見られているのだ。
「盗みを働いた男が出した依頼を受けてきた人間、実際怪しいもんなぁ。」
正直この件に関して俺にできることはない。流石に犯人グループの一味とか言われるようだったら弁明もするけど、ここのまとめ役らしいゲンさんとカイさんの親子は疑ってるわけじゃないみたいだし、実際一味じゃないし。
「というわけでおとなしくしてるが吉だな。」
それから何度か餌を付け替えながら釣りをする。
そしてそろそろまた餌の確認をしようと思ったところでウキが少し沈んだ。
「お、きたか?、いや待て待て落ち着け。まだ食いが浅い。」
まだ突いただけだろう。しっかり咥えるまで待つのだ。
一度ウキが浮き上がり少ししてまた沈む、さっきと同じくらいだ。
「これもう食ってるか?あんまり大きくないから沈みが悪いだけか?」
だが待つ、もう一度浮き上がりそのまましばらくウキは動かない。
「あー逃げられたかな?やっぱさっきので合わせていたらッツ!」
一気にウキが沈み込み水面から見えなくなる。慌てて竿を立てて合わせる。
「おお、きたー!」
竿がグングンしなる、これはなかなかの大物ではないだろうか。
リールがないから糸を出して勢いを殺すことができないので竿の弾力で勝負する。
これが延べ竿の楽しいところだ。久しぶりに思い出した。
竿を立て少し寄せては暴れるから竿を少しだけ寝かせる、これを繰り返しだいぶ手前に寄せてきた。
デカイ。え、どうしよう。タモ網とかないんだけど。
光の反射を考えても1mくらいないかこれ?
こんな大物相手にしてその身一つで戦うなんてさすが高級竿。
そんな現実逃避がちに途方に暮れているとー
「ちょっとお兄さん何やってんの!?逃げられちゃうよ!」
隣にいた女性が声を上げる。いつのまにか周りに人が集まっていたようだ。
「あ、ああ!」
「だいぶ弱ってきてる、もうちょいだよ頑張って!」
「こりゃあでけえぞ!」
「そいつはアラクネの糸だろ、そう簡単に切れやしねえから強気で行け!」
今使っている糸はアラクネの糸というらしい。アラクネって言うと蜘蛛のモンスターだよな?思わぬところで糸の材質がわかった。
「良いよーそのまま寄せてきて!」
言われるままに竿を立てて魚を寄せる。
魚は頭を水面に出しなおも暴れるが順調に岸に寄ってきた。
「よし、糸掴んだ!上げるよ!」
一番最初に声を上げた女性がしゃがみこんで右手で糸を掴み寄せそして魚のエラを持つ。
「ぐっ、重っ」
女性は魚を持ち上げようとするが一人ではむりだろう。
俺は竿を地面に置き女性が掴んでない方のエラを持つ。
「一気に上げましょう!」
「了解!行くよーせーの!!」
2人がかりで暴れる魚を陸に引き上げた。
「おーやったな!」
「マジでデカイぞこれ!」
「よく岸からこんなの釣ったなー」
改めて見回すとかなりの人が集まっており大物の釣果を皆が祝福してくれた。
釣り回ですよ。
大物を釣り上げました。




