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曜日替わり能力  作者: 向風
25/125

足止め

俺の受けた依頼を出した人、ホイルさんが火付けをしてその騒ぎに乗じてお金を持って逃げたらしい。

どうもこの依頼自体がその盗みの罪を被せるつもりだったようだ。

何にせよ依頼人であるホイルさんがいないからこの依頼は不履行で良いだろう。

「ちゅうわけであんたには悪いがしばらくここに居てもらうぜ」

「え?でも依頼人は居ないしそもそも犯罪の身代わりに呼ばれたようなものだから帰りたいんですが?」

「だからこそだ、こっちとしてもホイルの関係者かもしれねぇ奴をはいそうですかと返すわけにもいかん。」

「まあ、ことが起きた後にのこのこ来るなんてバカはいねえだろうからあんたを疑ってるわけでもないが一応な。悪いとは思うが堪忍してくれ。」

どうもしばらく帰してくれそうにない。

「いやまあ事情は分かりましたけど…。んーこの湖周辺にいるんなら良いんですよね?」

「あーまあできればここでおとなしくしてて欲しいが、見える範囲にいてくれるなら構わない。」

「じゃあ湖で釣りとかしてても良いですかね?」

「釣りか、それくらいなら良いぞ」

「隣の小屋で道具とか餌は売ってる」

許可が出た。暇は潰せそうだ。

「じゃあ俺が案内するよ、着いてきてくれ。」

カイさんにそう言われ建物から出て隣の小屋に行く。


「おーい、客だぞ」

「あん?カイ、なんで客引きなんざやってんだ?」

店主らしき人がイライラしながら出てきた。

「ちょっとな、ホイルのおっさんが冒険者ギルドに依頼を出してたらしくてな。それでこのにいちゃんが来たんだ。」

カイさんがそう言うと店主の血相が変わった。

「何!?じゃあそいつはホイルの仲間ってことだな!」

そう言って俺に掴みかかろうとしてくる。

「待て待て、そうじゃねえ。こいつも被害者だ。多分経験の浅い冒険者に罪を被せる気で依頼してたんだよ。」

「あぁ⁉︎その証拠がどこにある!」

「んなもんねえよ、証明のしようもねぇし。イラついてんのは分かるが話を聞いてくれ。」

「チッ、じゃあ話してみろ」

「このにいちゃんはギルドで長いこと放置されてた依頼を受けたそうだ。今までにホイルに会ったことはない。間違い無いな?」

「無いですね」

「説明終了」

「どこに信用する要素があんだよ!」

うん、俺もそう思う。

「だから証拠もなんも無いって言ったろ?。で、一応この湖の近くにいるように言ったら釣りがしたいって言うんだよ。でエサと道具買いに連れてきたわけだ。」

「縄で縛って小屋に放り込んどきゃいいだろうが!」

「それでこのにいちゃんが犯人どもと無関係だったらどうする?そん時の責任とれんのか旦那?」

「ぐっ、だけどよ」

「それに親父もちゃんと了解出してる。今は他の連中に説明に行ってる」

あ、そうなのか。特にやり取りはなかったと思うのに。

「とりあえず竿と仕掛け、それに練り餌を出してやってくれ。他になんかいるもんあるか?」

「いえ、大丈夫です」

良いんだろうか、ものすごい睨まれてるんだけど。

「ほら旦那、頼むよ。ちゃんと見張りもつけるし心配すんなって。」

「…わかった、待ってろ」

そう言って店の奥に引っ込んだ。てか見張りは付くのな。


しばらくして竿と仕掛けに餌を持って店主が帰ってきた。

「ほらよ、全部で大銀貨3枚に銀貨8枚だ」

…高くね?

「おいおい、なんで一番高い竿持ってきてんだよ」

カイさんが呆れたように言う。

「安いのは売り切れてんだよ、いらねぇんなら帰んな。」

「旦那、良い加減に」

「大銀貨4枚でおつりあります?」

そう言って大銀貨4枚を置く。

「チッ、銀貨2枚だ」

そう言って商品とおつりをカウンターに置いた。

「どうもです。」


商品を受け取り、店を出る。

「悪いな、普段はあんな商売する人じゃねえんだ」

カイさんが謝ってきた。

「気にしないで良いですよ。」

雰囲気が悪くなってきてたから即決したが問題ない。

「別にぼったくられたとかじゃなくてただ一番高い竿ってだけなんですよね?」

「あ、ああそうだ。嫌がらせではあったんだろうが悪いものを高く売りつけたりするようなことはしない。それだけは間違いない。」

「だったら問題ないですよ、良い竿が買えたってことで。」

糸を巻き取るリールなど無い。5本繋ぎの延べ竿、繋げて5mほどだろう。竿先に糸を結びつけるタイプの竿だ。

「何が釣れるか楽しみです。あ、どの辺で釣りしても良いですかね?」

「あーそうだな、船の近くは桟橋まで燃えちまって危ないしあんまり遠くに行かれても困るからな。この近くならどこでも良い。普段は漁の船が出入りしてて釣りにならねえが今日はそれどころじゃねえからみんな休んでるんだ。」

そう言われて見てみると船は一隻も湖にはいない。ほかに釣りをしてる人もいないようだ。

「貸切だな」

「はは、そうだな。しかしあんた意外と心臓強えな。」

「まあ人生楽しまないと損ですからね。」

なんたって2度目だし

「そりゃそうだ。じゃあ適当にやっててくれ、見張りはいるが邪魔はしねぇ筈だ。俺もあとで見にくるよ。」

「はい、それじゃあまた」

そう言ってカイさんと別れた。



残金、大銀貨5枚、銀貨4枚

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