問題発生
漁の手伝いの依頼を受けて湖に辿り着いたわけだが。
「とりあえず依頼主探さないとな、適当に聞いて回るか。」
湖には結構人がいた。
漁師さんらしき人や冒険者っぽいひともいる。
(ここも魔物いるのかな?町のそばとはいえ武装してる人も多いし。)
よくみると漁師さんらしき人たちも銛のようなものを持っている。
「あのーすみません、ちょっといいですか?」
「ああ?何でい、冒険者か?」
近くにいた強面の漁師さんに話しかけてみた。
「すみません、冒険者ギルドで漁の手伝いをしてくれって言う依頼を受けたんですが。」
「漁の手伝いの依頼だぁ?誰だそんなもん出したやつは?」
ちょっと苛立っているようだ。やっぱり素人にそんな依頼をすることはないのだろう。
「えーとホイルさんって人なんですが。」
「ホイルだと?」
「ホイルがどうしたって?」
話していると別の若い漁師さんが割り込んできた。
「ああ、このにいちゃんがホイルから漁の手伝いの依頼を受けたんだとよ」
「はい、ちゃんとギルドからの紹介状もありますよ。」
そう言ってギルドで受け取った紹介状を見せる。
「貸してくれ、…たしかにホイルからの依頼であんたがそれを受けたって書いてあるな。」
「おいおい、ほんとかよ」
「何か問題がありましたか?」
2人が顔を顰めているので聞いてみる。
「…あんた、ホイルから依頼を受けるのは何度目だ?」
「何度目?いえこれが初めてですが?」
「本当だろうな?」
「本当ですよ、と言うか昨日冒険者になったばかりなのでこれが初依頼です。」
「なんで初仕事でこんなもん受けてんだよ。漁の手伝い、報酬は歩合制なんて怪しすぎるだろうが。」
「いや他に受けれそうなGランクの依頼なかったしこれも勉強になるかと思って?」
「そうかよ、だが初依頼は失敗だぜ、ホイルはもうここにはいねぇ。」
「え?」
「…ここじゃなんだ、着いてきてくれ。」
そう言われて湖から少し離れた木造の建物に案内された。
「とりあえず座んな」
「あ、はい」
木造の建物に入ると簡素な木の椅子とテーブルがありそこに座るよう促された。
「で、あんた、ジンだったか?悪いな、今ちょっと漁師全体でピリピリしててよ。」
「いえ、大丈夫ですよ。」
紹介状に俺の名前が書いてあったのだろう。
「名乗ってなかったな俺はゲン、この漁場を仕切ってるもんだ。こいつは俺の息子のカイだ。」
「カイだ、よろしくな。」
「あ、はいよろしくお願いします。」
「でだ、ジン。聞いても仕方がねえかもしれんがこの依頼、お前の他にも受けたやつはいたか?」
ゲンさんが真剣な顔で聞いてくる。
「いない、と思います。この依頼を受けたときに長く放置されててギルドとしても困っていると言っていたので」
「そうか、もしかしたらホイルの野郎仲間を集めようとしてたのかもしれねぇな。」
「仲間というより身代わりだろうな、多分依頼を受けてきたやつに全部押し付けるつもりだったんだろう。」
ここまでの会話で予想がついた。
「あーなんか犯罪の片棒担がされるとこだった感じですか?」
「ああ、そうだな」
「親父、話しても良いのか?」
「どうせ冒険者ギルドにも説明せにゃいかんからかまわん。」
「わかった、じゃあ俺が説明する」
「説明つっても簡単な話だ。ホイルのおっさんが金持って逃げたんだよ。昨日の朝に船に火をつけてその消火作業してる間に組合で集めた予算を持って消えやがった。」
昨日からタイミング悪いな俺。
「その、持ち逃げされたお金っていくらくらい…?」
「…大金貨100枚ほどだ。」
あくまで俺の予測だが大金貨は1枚で日本円にして10万円ほどと見ている。それが100枚。1000万くらいか?
「それは…痛いですね。逃げた場所の手がかりとかは無いんですか?」
「現状なんもねえ。それに盗まれたのに気づいたのは昨日の夜でな、昨日は消化で半日使っちまったし船が燃えて仕事する気にもならなかったから俺も含めて殆どの奴らが昼間から飲んでたんだ。」
「俺は酒があんまり好きじゃなくてよ、一度家に帰ってたんだが夜中に親父を迎えに来たら金庫が壊されてるのに気づいたんだ。」
「息子が金庫が壊されてるって飛び込んで来てよぉ。いっぺんに酔いが覚めて漁師みんなで金庫を確認したんだが大金貨だけがほとんど持ち出されてた。嵩張るのを嫌がったのか他には手をつけてなかったよ。」
「それで最初みんなで犯人を探すってなったんだが、ホイルのおっさんの姿が見えなかったんで親父たちに聞いたら昨日は見てないって言うんだ。」
「息子に言われて思い返しても殆どのやつがホイルを見てなかったんだが二、三人がでけえ袋を持ったホイルが町の方に歩いていくのを見たって奴らがいてな。ホイルの家に行ったらもぬけの殻。だがテーブルの上にご丁寧に計画書が置いてあったよ。船に火をつける手順に金庫の壊し方までな。」
「…多分おっさんは誰かに担がれたんだろうな。おっさんは博打が好きで借金があった、それにこんな大それたことできる性格じゃねぇ。」
「担がれようが騙されようが関係ねぇ。あいつは仲間を裏切ったんだ。捕まえてとっちめてやる!」
「親父…。」
ここまで静かに聞いていたのだが、俺はどうすれば良いのだ??
前回短かったから長め。ってわけではないけどおっさん同士の掛け合いって書いてて楽しいんです。




