歓迎の酒
しばらく待っているとダイアスたちが帰ってきた。
「終わったのか?」
「おう、まあとりあえずメシにしようや。」
「食いながら話そうぜー」
そう言ってギルドの大衆食堂の方に移動する。
多くの冒険者たちが集まり賑やかに飲み食いをしている。
空いているテーブルがあったのでそこに座ると女性が注文を取りに来た。
「いらっしゃいませー、ご注文はお決まりですか?」
「ああ、とりあえずエールを五つ頼む。」
「あとは適当に焼き物と揚げ物だな、それと炒り豆もくれ。」
「はーい、かしこまりましたー」
そう言って女性は注文を伝えに行った。
「っと勝手に頼んじまったがジンも飲めるよな?」
「酒か?ああ、飲めるぞ。」
「ならよかった、食い物も適当に頼んだから足らなかったら注文してくれ。」
「そうだな、だがだいぶ抽象的な注文だったな。それにメニューとかも無いのか?」
テーブルや壁を見るがどこにもメニュー表示が置かれているようには見えない。
「初めて見るとそうなるよな。ここで出されるもんは冒険者たちが獲って来たものをギルドが買い取ってそれを調理してるんだ、だから今、何の食材があるのかによって出来るもんが変わるから客はある程度食いたいものを言って任せるんだ。肉を焼いてくれとか、酒のツマミになるものとかな。」
「そんな感じなんだな。」
「はーいお待たせしましたー、エールと炒り豆ですー。」
そう言って木のコップに並々と注がれたエールと大皿に乗せられた炒り豆がテーブルに置かれた。
「お、ありがとな。じゃあ乾杯するか。」
「お、そうだな」
そう言って皆がコップを持ち俺もそれに倣う。
そしてダイアスが乾杯の音頭を取る。
「じゃあ依頼の達成と全員生きて帰って来れたこと。それと新しい友との出会いに」
「「「「「乾杯!!」」」」」
それから皆と飲み食いをしながら話をした。
酒も料理もとても美味しかった。
正直こちらの料理が口に合うか心配していたのだが杞憂だった。
2時間ほど飲み食いをしてテーブルの上の料理を食べ終わったところで今日は解散することになった。
「じゃあ帰るかー」
「あー食った食った。」
そう言ってダイアスとベックが立ち上がる。
「久しぶりに飲みすぎたかもなー」
「何言ってんだよ、まだまだ飲み足りねえぞ」
少し足元がおぼつかないタイルと人の5倍は飲んでいたのにしっかりと立ち上がるロン。
「ロンに付き合ってたらこっちはぶっ倒れちまうよ。勘弁しろ」
「ったくジンの歓迎に付け込んで馬鹿みたいに飲みやがって。」
ロンは能力の【酒精分解】があるとはいえめちゃくちゃな量を飲んでいた。能力抜きで酒好きらしい。これも能力と噛み合っている例なのだろう。
支払いは合計で大銀貨8枚に銀貨3枚、大銅貨が5枚だった。
俺も自分の分を支払おうとしたのだがダイアスに断られてしまった。
「いや流石に奢ってもらうのは悪いよ」
「何、今日はジンの歓迎も兼ねてたんだ。俺たちに出させてくれ。」
「それに半分近くはロンの酒代だからな」
「いいじゃねえか祝いの席なんだし今日ぐらいはさー」
「お前は普段も飲んでるだろうが」
「じゃあ俺たちはホームに帰るよ。なんかあったら気軽に来てくれ」
「ああ、寄らせてもらうよ」
ダイアスたちはパーティで家を借りているらしい、さっきその家までの地図を書いてもらった。
「ジンは宿に行くんだよな?」
「ああ、教えてもらったとこに行ってみるよ。」
「だいぶ遅くなっちまったから気をつけてな」
周囲はもう真っ暗だ。ギルドで借りたランプがなければ星の明かりを頼りにするしかなかったところだ。
「ああ、色々ありがとうな。」
「それはこっちのセリフだよ。本当に今日は助かったぜ、ありがとな。」
そう言って互いに礼を言い合い俺たちは分かれた。
紹介された宿への道をゆっくり進む。
(ダイアスたちと出会えてよかった、会ったばかり、それも正直胡散臭い出会いだったであろう俺を友と言ってくれた。いい酒だったな。)
今日の出来事を思い出しながら暗い夜道を歩いて宿に向かった。
歓迎会でした。
間違えて前書きに書いてたので修正。




