あいこ
ダイアスたちを交えてユーンさんから話の続きを聞くことにした。
「それで、なんであんなに驚いた感じだったんだ?たしかに魔法ランク4ってのは凄いけどギルドの受付やってる奴がそんな驚くほどのことではないだろう?」
「は、はい、そうですね…」
「ちなみにランク4って魔法使える人の全体だとどのくらいの割合なんだろ?」
「そうですね、あくまで目安ですが、魔法を使える方全体で100とした場合、ランク1が全体の半分を占めると言われております。」
「半分?マジか…。」
「さらにランク2でさらに半分、生活魔法と呼ばれ実用性のあるランク3でもう半分、ランク4でまた半分…というようになると言われております。」
「ってことはランク4は全体で約6%ほどしかいないってことか?」
「実用レベルの魔法が使えるやつで全体の3割もいねえんだよな、まあ俺たちみたいに全く魔法が使えないのがいるから人間全部で見るともっと少ねぇけどな」
「それでも冒険者ギルドで働いてたらランク4ならまだ見る機会もあるだろ?」
「それはそうなのですが…、ジンさん、ギルドカードをお見せしても構わないでしょうか?」
「あ、大丈夫ですよ。」
「では、こちらのカードをご覧ください。」
そう言ってユーンさんはダイアスに俺のギルドカードを渡した。
「ん、たしかにランク4だな。でもそれが…!ジン、お前の能力【魔法強化】だったのか!」
「あ、ああそうだけど。」
「マジかよ、魔法を使える魔法強化持ちでランク4!これは大したもんだな。」
「そんなにか?」
「ああ、魔法強化ってのは使える魔法を一段強くするって単純なもんだがな、これがうまく噛み合わねえもんでこの能力持ってる奴の多くはそもそも魔法が使えない奴が多いんだ。」
「そもそも魔法の使えない方が魔法強化を持っていても意味がないからな、よく無意味なものの例えとして使わったりするんだ。」
馬の耳に念仏とか豚に真珠、みたいなことかな?
「そうなのです、ですがジンさんはランク4、つまり魔法強化を使えばランク5の戦闘魔法レベルの魔法使いということになります。」
「なるほどな、これは驚くのも無理ないな。」
ベックが先ほどのユーンさんの行動に納得したように言う。
「そうなのか、正直そこまでの能力だと思ってなかった」
「ジンは自分の能力は知ってたんだろ?」
「あ、でもジンは地元の教会で能力を見てもらったんだったな。」
「なるほど、魔道具を使っての調査でないと魔法ランクまではわからないか。」
「まあそんな感じかな」
なんか勝手に納得されてしまった。言い訳考えてなかったからありがたいけど。
「ですがジンさん、これからはあまり能力のことは人に言わない方がいいと思います」
ユーンさんが真面目な顔をして言う。
「そうだな、基本的にあまり自分の能力は他人には言わないもんだ。いや聞いちまった俺たちが言うことじゃねぇけどよ。」
「そう言うもんなのか」
「もちろん自分の命を預けるパーティメンバーには教える、何が得意かとかがわかるからな」
「能力ってのは言っちまえば自分の切り札だ、これが何かを知られてないだけで十分牽制になる。」
「冒険者ランクを上げていくとな、妬まれたりすることもあるかもしれん。」
「同じ依頼を受けていて手柄を横取りしようなんて輩もいるからな。」
「そうですね、ギルドとしても注意してはいるのですがごく稀にそう言って方がいることも事実です。」
そうだよな、ここは平和な日本とは違うんだ。
「そうだな、たしかに軽率だったかもしれない」
「ああ、じゃあ手ぇ出せ」
ダイアスにそう言われ素直に手を出すとギルドカードを渡された。
確認してから仕舞おうと思ってカードを見る。
ダイアス 21歳
登録ギルド サルコス
冒険者ランク B
能力 【望遠】
「え、ダイアス、これは⁉︎」
「これであいこだ」
そう言ってダイアスが笑いかけてきた。
「あいこって」
「ちなみに望遠ってのは遠くのものを見ることができる能力だ。」
「いや、そうじゃなくってだな、今は俺が考えなしだったって話だろ?」
「そうだな、まあ俺もたまにはバカやりたかったのかもな。」
「…それ遠回しに俺にバカって言ってないか?」
「ははは、気にすんな」
ダイアスが楽しそうに笑う。
「おいこら、ダイアス、何一人でカッコつけてんだよ」
「そうだ、そうだ」
「俺たちも仲間に入れろよな」
そう言ってベックたちが俺にギルドカードを押し付けてきた。
「…見てもいいのか?」
「おう、これであいこらしいからな」
そんな俺たちのやりとりを見てユーンさんは微笑んでいた。
次回へ続く




