二つのランク
「オラァ!」
ダイアスの援護に向かったベックが1匹のヘビを斬りつける。
「シャァ!」
ヘビは斬りつけられながらも怯む様子は無い。
「チィ、硬いな」
「ああ、だが岩ヘビは硬い分動きは遅い。数も3匹くらいなんとでもなる。」
ダイアスは槍を握り直し、ベックはダイアスより少し前で剣と小さな盾を構える。戦い慣れた冒険者という感じでなかなかかっこいい。
「フンッ!」
ダイアスが最初に槍を打ち込んだ岩ヘビにもう一度打ち込む。が、岩ヘビはそれを回避、ダイアスに飛びかかる!。
「ラァ!」
そこにベックが割り込み盾で岩ヘビの攻撃を受け止める。そのまま剣を振り下ろし、岩ヘビを地面に叩きつけた。
「ギシャァ!」
岩ヘビは叩きつけられたまま剣で地面に押さえつけられている。そして身動きができない頭にダイアスが槍を突き入れた。見事な連携だ。
「あと2匹!」
そのままの勢いで残り2匹の岩ヘビも2人は無傷で倒してしまった。
「よし、他に魔物はいないみたいだな。」
「ジン!タイルもロンももう大丈夫だ、こっちに来てくれ。」
2人から許可が出たので合流する。
「2人ともすごいな!見事な戦いだったよ!」
俺は興奮して2人に話しかける。
「そうか?まあこれでも冒険者としてはそこそこやってる方だしな」
「それに俺たちだけじゃ無い。タイルとロンだってこれくらいはやってのけるからな」
2人とも謙遜気味だが褒められて悪い気はしていないようだ。
「いやいや、リーダーたちは俺らよりずっと強いって、冒険者ランクだって俺たちはまだCだけど2人はとっくにBになってるしさ」
「冒険者ランクは別に強さを現すもんじゃないぞ。あくまで功績が認められるってだけだからな」
と言ってダイアスがロンを嗜める。
「冒険者ランクなんてものがあるのか?」
「ん?ああ、ジンは知らねえのか、まあ一般的にはそんなに知られてるもんでも無いがお前はこれから冒険者になるんだろ?だったら知っておくべきだな。」
「一応ギルドに登録する時に説明はあると思うが、簡単に教えといてやるよ。」
「ああ、頼むよ」
「じゃあまずは冒険者ランクとパーティランクについてだな」
「冒険者ランクってのは文字通り冒険者ギルドに登録してるやつのランクだ。依頼を受けてこなしたり、魔物の討伐なんかで上がるんだ。」
「要するに功績点を積んで行って上のランクになるってことか?」
「お、理解が早いな、その通りだ。逆に依頼を失敗しまくったり、依頼主やギルドに不利益なことをすると下げられることもある。まあ降格なんてのはまず無いがな。」
「で、さっきロンにも言ったが冒険者ランクが高いやつが強いってわけでも無い。採取が得意でそれだけをこなしてランクが上がるやつだっているからな。」
「だがたまにそれで勘違いしてるやつもいてな、冒険者ランクが高くなって威張り始めるようなのもたまにいるが…、まあそんなんは相手にすんな、時間の無駄だ。」
ああ、どこの世界にもそういう奴はいるんだな。
「ん?じゃあ冒険者ランクを上げる意味って無いのか?」
今までの説明じゃランク付けの意味がない気がするんだが。
「そういうわけでも無いんだ、ここでパーティランクってのに関係してくる。」
「パーティランクってのはそのパーティに所属してる冒険者の冒険者ランクを基準に決められる。例えば俺たち【パラサの集い】は俺とダイアスがBランク、タイル、ロン、クンスがCランクなんだがパーティランクはC +って事になってる」
「で、パーティランクによって受けられる依頼が変わってくるんだ。例えば今回俺たちが受けてた森の調査依頼はパーティランクC以上じゃ無いと受けれないとかな」
「俺たち3人のうち誰かがBランクになったらパーティランクがB -になるんだよ。そしたらだいぶ受けれる依頼も増えるんだ」
「だが受けれる依頼が増えるってことは危険な依頼が受けれるようになるって事だからな。ちゃんと腕も磨かねえとな。パーティランクが上がって最初の依頼で全滅、なんてパーティはいくつも見てきたからな。」
「なるほどな、教えてもらって助かったよ」
簡単に教える、なんて言っていたがかなりしっかりと教えてくれた。
「何、気にすんな。こんなのじゃ助けてもらった礼にもならねえよ」
ダイアスが笑いながら答える。
「それに説明は終わってねぇぞ。冒険者ランクの上げ方についてまだ依頼をこなす方しか教えてないからな。次は魔物の討伐の方だ。」
「そう言えばそうか、だけどどうするんだ?魔物の討伐の証拠とかがいるってことだよな?」
「おう、その通りだ。魔物には討伐部位ってのがあってな。それを回収していくんだ。もちろん魔物によって討伐部位も違ってくる」
「その説明するために岩ヘビ放置してたからな。この岩ヘビの討伐部位は2本の上顎の牙だ。」
そういうとベックは岩ヘビの牙にナイフを当て牙を剥ぎ取った。
「こんな感じだな、普段活動する範囲にいる魔物の討伐部位は覚えておくといい。もし遠出して魔物を狩る時もその場所に出る魔物の情報をギルドで調べておくんだ。」
「もし大物を仕留めたのに討伐部位が分からないなんてなったら勿体無いからな。まあそういう時は爪や牙、とかの討伐部位に指定されてるものを片っ端から剥ぎ取るなんて荒技もあるにはあるがな」
「あとは薬や武器の素材に使える魔物もいるからなんにせよ知識ってのは大事だな。」
「俺たちも昔、遠出した時に見たことねぇ魔物を仕留めたことがあってな、よくわかんねぇからとりあえず角だけ剥ぎ取って帰ったんだが、そいつは素材は捨てるところがほとんどねぇなんて言うかなり貴重な魔物だったんだ。そいつの角だけをギルドの買取に見せたら本体はどこだのなんで持って帰らなかったんだのと散々こき下ろされてな。それからは必死で知識を詰め込んだよ」
「あれは堪えたからなぁ」
過去の失敗も交えて冒険者の知識を伝えてくれるベックたち。しばらく休憩がてら冒険者のイロハを教わった。
先輩冒険者からのありがたい教えです。




