岩山地帯へ出発!
「それじゃあ行ってきます。色々と助かりました。」
「はい、お気をつけて。イオルも気をつけてくださいね。」
「2回も言わなくてもわかってるってば。それじゃ行ってきま〜す。」
冒険者ギルドで受注する依頼を決めた俺たちは借りた背嚢と自分たちの武器を持ち、再度ユーンさんに礼を言ってギルドを後にした。
そのまま町の正門に向かうと門の通行許可を得るために順番待ちをしている行列が目に入った。
昨日までに町を出たのはいずれも昼過ぎだったためかほとんど出入りする人はいなかったのでこんなに並んでいるのを見るのは初めてだ。
「うーん、結構混んでるなー。」
「んー、でも列の流れ自体は早そうだからそんなに時間はかからないんじゃないかな?」
そういうイオルの言葉通り、列は順調に前に進んでいる。これなら10分もすれば俺たちの番になるだろう。
「…ふぁぁ〜……」
「眠いの? 大丈夫?」
緩やかに進む列を待っているとイオルが口に手を当てて大きな欠伸をしたので聞いてみた。
「あっ。ううん、平気! ちょ、ちょっと欠伸しただけよ⁉︎」
「そんな必死にならなくても大丈夫だって。これから結構歩くことになるんだから少し休んだ方がいいよ?」
「それは…、そうかもだけど…。」
「あ、そうだ。イオル眼帯は? あれ着けて半分休みなよ。」
「私、さすがに寝坊した上で二度寝出来るほど図太くないよ…。」
「いやイオルのは二度寝とは違うんじゃ…。それに何度も言うけど寝過ごしたことには怒ってないって。ほら、問答してる時間がもったいないから眼帯着けて。」
「…うん。」
そう言うといそいそと眼帯を取り出して左目に装着する。
俺はイオルのボウガンを受け取って未だにメインウェポンである木の棒と一緒に抱えた。
そして明るいところで初めてイオルの眼帯姿を見る。
「お、似合ってるね。カッコいいじゃん。」
「…そう? えへへ。」
思ったことをそのまま伝えるとイオルはちょっと嬉しそうに笑ってくれた。
「それじゃ俺の肩、はちょっと高いか。じゃあ腕でも服でもいいから持ちやすいとこ掴んでて。」
「う、うん。それじゃあ…。」
そう言っておずおずと俺の左手の袖をつまむようにして持つ。
それからは休んでいるイオルのために話しかけず、前の列が進むたびに腕を軽く引いてイオルを促すだけの時間が過ぎた。
正門に着きギルドカードを警備兵に提示するとすぐに通行の許可が出た。
昨日も町を出るときには大した確認をされなかったのでやはり町の中に入るときの警備の方が厳重なのだろう。
「昨日の人たち居なかったね。」
「そういえばそうだね。時間で交代するんじゃないかな?」
とは言っても昨日の警備兵で覚えているのは警備隊長さんと冒険者嫌いのエンガーって人と門を通るときに少しだけ話したジュガルさんだけで後の人たちはうろ覚えなのでもしかしたらいたのかもしれないが。
さて、そろそろ歩き始めないといけない。向かうのは昨日の川を越えた先にあるという大きな岩がいくつも折り重なってできた岩山となっている。
「それじゃ行こっか。目的地の岩山は1時間くらい歩くことになるよー。」
「うん。道案内はイオルに任せていい?」
「うん、任せて! 昨日行った川に橋が架けてある場所があるんだよ。その橋を渡って少し進むと岩山が見えてくるはずだからそうそう迷うこともないし、もし迷っても道に出れさえすれば町に帰ってくるのは簡単だよ!」
イオルが自信満々に言うので任せることにする。
正直なところ俺にはいまいち道と道の境目がよくわかっていないのだ。
よく良く見れば足跡や馬車の跡のようなものは見て取れるがそれ以外なんてほとんど目印もない。
というわけで道案内はイオルにお任せして本日の採取場所である岩山に向かって歩き始めた。




