ほっぺたペチペチ
階段を上がって自分の部屋に戻って来るとさっきまで自分が寝ていたベットに飛び込むようにうつ伏せで寝転がる。
「あーもー、やらかしたー!」
ベットに顔を埋め、パタパタと両手足をパタつかせながら自分の迂闊さを恥じる。
「なんで昨日の今日で寝過ごすかなぁ…。絶対呆れられたよー…。というか怒ってる、よね…。」
顔を洗っているうちに目が覚めて意識がはっきりして、自分が何をやらかしたのかを自覚した。
そうして完全に理解すると共に自分の口から馬鹿みたいな声が出ていた。
「いや、馬鹿みたいにじゃ無いよ馬鹿だよ! 何さ、ふあああああぁぁぁって!? 馬鹿丸出しじゃん!」
声に出して確認するとさらに馬鹿っぽいと思った。
流石に2日連続の寝坊にはジンさんも良い顔をしないだろう。時間を守れないような人間とは一緒にパーティを組みたくないと言われるのでは無いだろうか
「はぁ…、せめて反省してるところを見せて今日頑張ればもしかしたら許してくれたかもしれないけど…、食欲に…、勝てなかった…。」
どう言って謝ろうか、寝起きのままでは合わせる顔がないのでは無いかなどと目覚めたばかりで回らない頭で考えていると促されるままに食事を始めてあのザマである。
そして食事を終えるとジンさんに合わせる顔もなくそのまま部屋に逃げてきてしまった。
「…ほんとにどうしよう。」
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イオルを追って2階に上がるとそのままイオルの部屋の前まで行き扉を叩いて声をかける。
「イオル、ちょっといい?」
「へっ、ジ、ジンさん⁉︎ ち、ちょっと待って! えっと、ど、どうぞ。」
慌てたようにゴトゴトと音がした後、イオルが自分から扉を開けて迎え入れてくれた。
「お邪魔します。」
「出かける準備してるところだったのにごめんね。」
「ううん! 全然! あ、イス、使って!」
「そう? なら悪いけどイス借りるね。」
俺はイスに座るがイオルは立ったまま俺の顔を見ては目を逸らしと挙動不審な様子。1階で待っていた方がよかっただろうか?
「……。」
「……。」
少し気まずい沈黙が流れる。
このままだと話が進まないと思ったので俺の方から話を切り出す。
「えっと、イオルを起こしに来たことなんだけど…」
「ご、ごめんなさい!」
話し始めたところですぐにイオルが頭を下げて来た。
「え。いや、そんなに謝らなくても。」
「だ、だって…。昨日あんなにちゃんと起きるって言ったのに結局起きれなくて…、その上ジンさんに起こしてもらってそれからも…い、色々ご迷惑をかけたみたいで…。」
「寝ぼけてた時の記憶あるの?」
「あうっ…。その…、靴を履かせてもらったりとか、階段降りるの手伝ってもらったりとか、水を、の、飲ませてもらったり、とか…。」
頭を下げたままポツポツと話す。寝ぼけてたのにしっかり覚えているみたいだ。
どうもイオルは俺が怒っていてこれから怒られるんじゃないかと思っているみたいだ。
もちろん俺にそんなつもりはないのだが
うーん、良し。
茶化すか!
「そっか。あっ、ちなみにほっぺたペチペチしたんだけどそれも覚えてる?」
「…っへ? ほっぺたペチペチ?」
下げていた頭を上げると俺を見て声をあげる。
「うん、イオルを起こすときにね。ほっぺたペチペチしながら起きてーって声かけてたら起きて来たんだよ。」
「なっ⁉︎ えっ? お、覚えてない…。」
「そっか。どうにかして起きてもらおうと思ってやったんだけど、やっぱり配慮が足りなかったかなって思うんだ。ごめんね。」
今度は俺が頭を下げて謝罪する。
「そんな⁉︎ ちゃんと起きれなかったのは私が悪いせいで…」
「いや、俺はイオルが朝、起きれなかった事については怒ったりしてないんだよ。イオルは能力のこともあって睡眠が多く必要なのは分かってるし、朝が苦手なのも仕方ない。それよりも俺はイオルの方が怒ってると思ってたんだよ? 勝手に部屋に入られて嫌がってた寝顔も見られて、色々余計なお世話されてさ。」
こうして口に出すとかなりやばいことしてるよね。怒られても文句言えないと思う。
まあイオルならそんなに怒らないんじゃないか、なんて甘えがあるのかもしれない。
「それは…、恥ずかしいのは間違い無いけど…。怒ったりはしないよ。」
良し! 許された!
「うん、ありがとう。じゃあこの話はこれで終わりでいいかな? それじゃ、俺は先に下に降りて待ってるね。イオルはゆっくりでいいから準備が終わったら降りてきてねー」
俺はそれだけ告げるとサッと立ち上がり扉に向かって行く。
「え、あ、うん。」
イオルの部屋の外に出て扉を閉めるときにキョトンとした顔でそれだけ発したイオルをチラッと見ると一度部屋に戻り、手早く着替えてから昨日買ったナイフを持って下に降りた。
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「えっ、何、これ。許して貰えたってこと…?」
最後にお礼を言われてなんだかよくわからないうちに話が終わってしまった。
「これ、許して貰えたってことでいいのかな…?」
もう一度、確認するように言うと自分の手で頬に触れて見る。
「でも…、ほっぺたペチペチって…」
そう呟いて、ふと机の上にある鏡を見ると、頬に手を当てて真っ赤な顔をした自分の顔が映っていた。
いつの間にか前回投稿から1週間も空いておりました。申し訳ない。
今回、点線で区切ってイオル視点、ジン視点、イオル視点とやって見たんですけど如何だったでしょうか。
作中に誰々視点とか入れた方がいいのかな?




