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曜日替わり能力  作者: 向風
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宿の朝ごはん〜ダイヤトラウトのムニエル〜

異世界4日目


窓から差し込む朝日が顔に当たり目を覚ました。


「…朝か。」


とりあえず体を起こすことにする。


「んー、時間は昨日と同じくらいかな。昨日の雑貨屋さんには時計とか売ってなかったし、ギルドに置いてあるような大きいのしか無いのかな。あれ、動力なんだろう。ゼンマイ? いや魔道具だろうし魔法かな。てことは高級品の可能性が…。時計のない生活に早く慣れた方が良さそうだな。」


軽く伸びをして立ち上がり昨日買ったカミソリと石鹸を手に取ると部屋の扉を開けて階段を降りる。


「おはよう、今日も早いね。」


1階に降りると女将さんから挨拶をしてくれた。


「おはようございます。洗面所お借りしますね。」

「ああ。それじゃ朝食の準備にかかるよ。」

「ありがとうございます。」



「おや、さっぱりしたじゃないか。」


洗面所で髭を剃って戻ってくると女将さんが俺の顔を見てそんなことを言う。


「ええ、昨日カミソリを買ってきたのでやっと剃れましたよ。」

「まあ、あんたはそんなに髭の濃い方じゃ無いみたいだけどやっぱりきっちりしてる方がいいよ。それにその方があの子にもウケがいいんじゃないかい?」

「あはは、イオルにですか? どうでしょうね。イオルは結構年上好みだと思うので逆効果かもしれませんよ。」

「あの歳でかい? まあ個人の好みに口出しする気はないけどね。っと、悪いんだけど机を拭いてくれるかい?」

「あ、はい。この布巾でいいんですよね。」

「ああ。あんたは色々動いてくれて助かるね。」



机に朝食が並べられる。

今朝の献立は昨日に引き続いて魚。ダイヤトラウトだ。

だが昨日の焼き魚とご飯という和食のようなものとは違い、バターのような香りの漂うムニエル風に生野菜のサラダ。そして主食はパンという洋風仕様となっている。

そしてもう一つの違いはそれが2人分用意されている、ということだ。


「さて、それじゃあ食べようかね。足りなかったらパンと魚はおかわりもあるからね。」

「ありがとうございます。じゃあいただきます。」


まずは魚からパクリと口に放り込む。

口に入れた瞬間にジュワッと旨味が広がる。そして少し遅れてふわりとバターの香りが鼻を突き抜ける。

美味い。純粋な焼き魚も美味かったが今日のも負けず劣らずだ。

口の中にムニエルの旨味を残したままパンを齧る。

こちらのパンは少し硬めのようだ。

だがパサパサしているということはなくしっかりとした味わい深さがある。

これがまたダイヤトラウトのムニエルと合うのだ。


「とても美味しいです。やっぱり女将さんは料理が上手ですね。」

「そうかい。そりゃあよかった。まあ私もそれなりに長く料理をやってるから多少は自信はあるがね。」


俺が素直な感想を述べると女将さんはニコリと笑って答えてくれる。


「でも俺と一緒の朝食で良かったんですか? 俺が起きてくるまでお待たせしちゃったんじゃ?」


昨日は俺が起きてくる頃には女将さんはほとんど朝食を終えていたのを思い出す。わざわざ待っていてくれたということだろう。


「いいや、別に普段から決めた時間に食べてるわけでもないさね。客が誰もいなけりゃ昼前に済ますこともあるんだ。気にすることじゃないよ。それとも年増と一緒に朝飯は食いたくないかい?」

「いやいや、そんなわけないじゃないですか。」


揶揄うようにそんなことを言ってくる女将さんに全力で否定する。


「あはは、あんた面白いねぇ。そんなに必死になることじゃないよ。じゃあ悪いけどしばらく朝食は一緒にさせてもらおうかねぇ。」

「いえ、悪いだなんて。こんな美味しい食事を出して貰ってありがたい限りですよ。」

「持ち上げるねぇ。魚のおかわりはいるかい?」

「あ、はい。いただきます。」

「はいよ。パンの追加も持ってくるからしっかりお食べ。」

「ありがとうございます!」


この後持ってきてくれたパンに魚とサラダを乗せてフィッシュバーガーっぽくしたり、それならいいものがあると言って台所に戻った女将さんがパンに魚と野菜、そしてチーズを乗せて軽く炙って持ってきてくれたりした。

チーズ自体は食べ慣れたものとは違う香りの濃いものだったがこれがまた美味しかった。

俺ほどは食べないので先に食事を終えた女将さんに冒険者としてうまくやっていけそうかと聞かれたのでイオルの友達でギルド職員をしているユーンさんがパーティに入ったことやユキノシタの納品依頼にゴブリンと戦ったことを話すと楽しそうに聞いてくれた。


オークと戦った話はあまり話さないことにしようと昨日ユーンさんに言われたので内緒にした。ユーンさんも昨日ギルドの食堂でタマさんと話した時に内緒にしてたしね。

新米冒険者がオークを倒したなどというのが知られると変に意識される可能性もあるし、何より自分たちもそれくらいできる! などと思った冒険者が無茶をするかもしれないという判断らしい。

門の警備兵たちは大丈夫だとしても助けた兄妹には口止めしておかないといけないな。


そんな会話をしつつ、女将さんの料理を堪能して朝の時間が過ぎていくのだった。




ちょっとでも飯テロになったらいいな、なんて思っております。


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